ネット喫茶.com

オリジナル小説や二次創作、エッセイ等、自由に投稿できるサイトです。

メニュー

真選組の女の子

原作: 銀魂 作者: 神崎しおり
目次

お父さん

「だって、なんだか固まってやしたから、吹っ飛ばしたら面白そうだと思いやしてねェ」

と言いにやりと笑った。

私は総悟の言葉に、だって、じゃないし!と思い、自分の吹っ飛ばされた着地地点が客人の膝の上だということに気がついた。

「あ、すみません・・・・・・!」

私はすぐにその場を離れようとしたが、客人が私の肩を両手でがっちりと掴み、私の名を呼んだ。

「アリス!!」

「・・・・・・へ?」


「アリス、会いたかった!」

私はわけがわからなかった。この男の人、誰?歳は近藤さんよりも少し上といったところだろうか。

私がなかなか状況を理解できずにいると

「いや~よかったねアリスちゃん!お父さんに会えて!」

近藤さんの言葉にきょとんとする私。バズーカをかまえていた総悟も近藤さんの言葉に耳を傾けていた。

「アリスちゃんのお父さん、北条タケシさんが、君を探しにきたんだよ!」

私はやっとのことで状況を理解した。この人が、私のお父さん・・・・・・?近藤さんに向けていた顔を今度は男の人に向けなおす。

すると、私のお父さんだという人は私の視線に気づき、にこりと優しそうに微笑んだ。


「さ、アリス。帰るよ」

そう言って私の手をタケシさんが引くが、待って、話しが急すぎる。

「ごめんなさい、えっと、私、何も覚えてなくて・・・・・・」

「わかってるよ。記憶、失ってるの。ごめんな、あの日お父さんがちゃんとしていれば・・・・・・」

あの日ってどの日?思い出そうとしても思い出せなくて、なんだか気持ち悪い感覚に陥った。

「アリスちゃん。ここは一旦、お父さんと一緒に帰ったらどうだ?親子ってのは、一緒にいるのが一番だ」

「でも、私は真選組・・・・・・」

「やっぱ、女の子が真選組に入るたぁ、ちと無理な話しだったのかもしれん。ここにはいつでも遊びに来ていいからな、ただし電話の一本は入れてからな!」

近藤さんは笑っているが、どんどん話しが進んでいくので私は困惑している。

「近藤さん、それは流石に急すぎじゃねぇですかィ」

すると、黙って聞いていた沖田が口を挟んだ。


「そうか?まあアリスちゃんがここにいたいってのなら話しは別だが、でもよぉせっかくお父さんがきてくれたのに・・・・・・」

と近藤さんはぶつぶつと言い出した。私も、お父さんに会えて嬉しくないわけではない。でも、タケルさんには申し訳ないけど、私はこの人のこと何も覚えていない。

私のために、ここに来てくれたんだし、やっぱり一度帰るべき?いろいろと考え、私は決断した。

「・・・・・・近藤さん、私帰りますね。今までお世話になりました。また遊びに来ますので、その時はよろしくお願いします」

「おう、そうか、じゃあなアリスちゃん!」

近藤さんは豪快に笑っていたが、総悟はどこか冷めた目をタケルさんに向けていた。


そして、タケルさんと一緒に真選組屯所を後にした。

お父さんに会えて嬉しいはずなのに、なんだか、哀しいのはなぜ・・・・・・?振り返り屯所を見ながら私は思った。

私は真選組を、こんなにもあっさりと辞めさせられたというの?

2人で歩いているが、なんだか気まずい。とりあえず私は

「あの、タケルさん。私のお母さんは?」

と聞いてみた。

「アリス?前みたいに、お父さんって呼んでくれよ。あと、アリスはな、父子家庭だったんだ。だから母さんはいない」

「そうなんですか・・・・・・あの、私。お父さんって呼べません。ごめんなさい。やっぱりどうしても思い出せなくて・・・・・・」

私が申し訳なさそうに言うと、タケルさんは一瞬悲しそうな顔をしたが

「まあ、無理もないよな。どれ、そこの甘味屋でなんか食べてくか」

と言ったので店に入ることにした。

娘にお父さんと呼んでもらえないんだ、あんな顔をするなんて、私悪いことしたな・・・・・・とアリスは少し反省した。

でも、どうしてもお父さんとは呼べないや。ごめんねタケルさん。


その後私達は甘味屋を後にし、タケルさんの提案で動物園へと向かうことにした。

なんだか、親子ってこんな感じなんだ、と思うことができ、なんだかんだでタケルさんと楽しい時間を過ごすことができた。

「お父さん、ちょっとジュース買ってくるな。アリスはここで待ってなさい」

そう言われタケルさんの帰りを待っていると、ふと、長髪の男の人を見かけた。横に白い謎の生物も連れている。あれは、ヅラさん・・・・・・!?

「ヅラさん!!」

いつの間にか私はそう叫んで、その人のもとへと駆け寄っていた。

「お主は、いつぞやの・・・・・・?あとヅラじゃない、桂だ」

ヅラさんこと桂さんはすぐに私に気づいてくれた。


「あなたが、私を助けてくれたんですよね。ありがとうございます」

「ああ、そうだ。元気そうで何よりだ。お主よ、名は?」

「私は、北条アリスです。なんだかんだで、真選組に入っ・・・・・・あ、でも今は違うのかなぁ」

自分で言葉にしたにも関わらずアリスは悲しくなってきた。桂は真選組という言葉にぴくりと反応し

「アリス殿。真選組なら、俺を捕まえるというのか?」
目次

※会員登録するとコメントが書き込める様になります。