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真選組の女の子

原作: 銀魂 作者: 神崎しおり
目次

マヨネーズ

「んーっと、土方さん?おはようございます」

アリスはなんだか落ち着いていた。自分が入った時と態度が違うので沖田は少しだけむっとした。

「土方やらしぃでィ、女の子の部屋に突然入るなんて」

「総悟、そしたらてめぇはどうなるんだよコノヤロー」

「何しに来たんでさァ土方死ねコノヤロー」

「お前が死ね。俺はただこいつの様子を見にきてやっただけだ。あとは・・・・・・」

「あとは?」

アリスが続きを促すと、土方が懐からある物を取り出した。


それはマヨネーズ。

「こいつにうめぇ飯食わせてやろうと思ってな」

そう言うと土方はアリスのご飯、米にマヨネーズをにゅるるるっとかけた。

尋常じゃないマヨネーズの量にアリスは思わず固まった。

「遠慮しなくていいんだぞ」

なぜだかご機嫌な感じで土方は言うが、別に遠慮して固まったわけではない。

「あーぁ可哀相でさァ、いきなり犬の餌を食わされるはめになるだなんて」

「なんだとテメェ」

ほらもっとやるよ、と言い味噌汁にもマヨネーズをかけようとしたので流石にアリスはとめた。

そしてアリスは思った。土方さんって、マヨラーなの・・・・・・?


けっきょくマヨご飯は土方が食べ、土方は去っていった。

「けっきょく何しに来たんでィ土方のヤロー」

アリスも沖田と同じことを思った。

「それにしても北条さん、あんた本当に二十歳?その面じゃ、俺と同い年か年下にしか見えないでさァ」

「んー、二十歳じゃないかも」

「へ?だって昨日・・・・・・」

「実は年齢も曖昧なの。でも多分二十歳。もしかしたらそれ以上かなぁ」

「それはねぇですぜ。記憶喪失って年齢も曖昧になるもんなんですねェ。もしや北条アリスっていう名前も違うんじゃないですかィ?」

「んー、下の名前、アリスは確かなんだけど」

「確かなんだけど?」

「上海だったかなぁ、私の苗字」

「・・・・・・北条ってことにしときまさァ」

沖田は少しあきれたように言った。


「ところで沖田さんは何歳なんですか?」

「俺は18でィ」

そんな会話をしながらアリスはご飯を完食した。空腹は満たされたが、アリスはもう1つ満たしたいことがあった。

雨に濡れ、道端で汚れた昨日と同じままの髪と服。自然乾燥で乾きはしたものの、なんだか少し気持ちが悪い。シャワー、浴びたいな・・・・・・沖田さんに聞いてみようかな。

「あの私、シャワー浴びたいんですけど」

少し上目遣いになってそう聞いた。アリスは言ってから気づいた。シャワーを浴びさせてもらっても、着替えがないではないか、と。

「風呂場なら、ここを出てすぐ右にありまさァ。着替えなら、俺の隊服でも着てくだせェ」

どっから出したのか、沖田はきれいな隊服をアリスに手渡した。

沖田さん、優しいな。

あっ・・・・・・でも私、替えの下着がない。


こればかりは男の人に言うの、恥ずかしい。でもここには女の人いないみたいだし・・・・・・やっぱ沖田君に言うしかないのかな。

「あ、の、沖田さん」

顔を若干赤らめてアリスは聞いた。

「なんでィ」

心なしか沖田は少しにやにやとしていた、ような気がした。

「あのー、私・・・・・・替えの下着が無いんです」

恥ずかしそうにアリスは言った。しかし沖田の答えは

「知ってまさァ」

という予想外のものだった。どことなく黒い笑みを浮かべていた沖田にアリスは

「えっ・・・・・・?」

と呟いた。

「風呂上り、ノーパンにでもなってればいいんじゃないですかィ。それが嫌ならシャワー浴びるんじゃねぇでさァ。さて俺はそろそろ行きまさァ」

沖田はそう言うと片手をあげながらアリスの部屋を去っていった。


アリスはぽかーんとしていた。

知ってるって、え?

ノーパンって、え?

沖田さん、困った顔の私を見てなんだかにやにやしていたような気がする。

そういえば昨日、手足を縛られたし、もしかして沖田さんって、S?嫌だなぁ、私Mじゃないのに。

しょうがない、恥ずかしいけど土方さんにでも下着がないこと言おうかな。

そう思ってアリスは立ち上がった。

が、すぐにアリスはまた座った。

また土方が部屋に入ってきたからだ。今度はタバコをふかしながら。


「飯も全部食ったようだし、元気そうだな」

あなたのせいでお米は食べれませんでしたけどね、と思いながらアリスは頷いた。

「あのぉ、土方さん、突然なんですけど」

「おぅ、なんだ」

「私の、替えの下着が無いんです」

「なっ//」

土方は思わずくわえていたタバコを下に落とした。

「仕方ねぇな、ほら金やるから買ってこい」

「・・・・・・私、道よくわからない」

「ちっ、俺がついてってやるよったく世話が焼けるぜ」

そう言う土方の表情は嫌そうではなく、照れているというか、どことなく嬉しそうだった。


「土方が行くくらいなら俺がついていきまさァ」

どこからともなく沖田が出てきた。

「俺が行くからいい、てめぇはくんな」

「土方さんさっき仕方ねぇって言ってやせんでした?嫌々行かなくてもいいでさァ、俺今日非番ですぜ」

「いいからてめぇは引っ込んでろ、北条について行くのは俺だ」

いきなりの2人の討論に軽くうろたえるアリス。

「俺がついて行く」

「いや俺が行きまさァ」

「俺が」

「俺が」

「あ、あのぉ・・・・・・それなら、3人で行きませんか?」
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