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真選組の女の子

原作: 銀魂 作者: 神崎しおり
目次

屯所

「また気失っちまったよ。銀さんまいったなぁー」

さほどまいってないような表情で、銀時は頭をぽりぽりとかいている。

「決めやした。こいつ屯所に連れて帰りやす。記憶喪失なら、行く当てもなさそうでィ女中にでもしまさァ。旦那、いいですよねィ?」


「え、ああまあ、いーんじゃねぇの」

「おいサド!その子に変なことするんじゃないアルよ」

「わかってまさァ」

そう言うと沖田はアリスを姫様抱っこして、万事屋を後にした。

「おい総悟、なんだその女は」

「拾ってきやしたァ」

「いや、拾ってきたってお前・・・・・・」

「どうやら記憶失ってるみたいでさァ、ここで働かせてやったらどうでィ」

「そんな簡単に言うなよお前、だいたいそんな身元の知れねぇやつ・・・・・・」

土方はタバコをふかしながら不服そうに言う。そんな2人の会話を聞いていた近藤がひょっこりと会話に参戦した。

「まあまあいいじゃないかトシ。困ってる人を助けるのも俺らの仕事。帰る当てがなく、その子が了承するならそれもいいんじゃないか?」

「近藤さんがそう言うなら・・・・・・仕方ねぇなぁ。まったく、近藤さんは人が良すぎるぜ」

「流石近藤さん、堅物土方は話しにならねぇから困りやす」

「総悟、てんめっ」

「とりあえず総悟、その手足の縄はとってあげなさい・・・・・・」

「へいへい、わかりやしたァ」

アリスが再び目を覚ますと、またまた知らない場所。横に寝かされ、縛られていた縄はいつの間にかほどかれていた。

そしてアリスを囲むように座っていた男が3人。

「お、目ぇ覚ましたか?」

精悍な顔をしたゴリラのような人がそう言った。

「・・・・・・えっと、えっと」

状況が飲み込めずアリスはうろたえた。そして懐にある銃を反射的につかもうとしたが、なかった。

「あぁ、あんたの銃と木刀ですかィ?物騒なんで没収しやした。万事屋にいた時みたいに暴れられたら困るんでねィ」

アリスは別に暴れるつもりはなかったのだが、そう言われ動きをとめた。

「つーかなんでこんな物騒なもん持ってたんだ?まさか攘夷志士じゃあねぇだろうな」

土方がそう聞く。

「じょういしし?って、なんですか?」

「あぁそうか、こいつ記憶・・・・・・にしても攘夷志士もわからんてかィ。北条さん、だっけ?あんたここで働く気はないですかィ?」

「そもそも、ここはどこですか?」

アリスがゆっくりとした口調で聞く。

「真選組だ。ちなみに俺は真選組副長、土方十四朗」

「局長の近藤勲だ、よろしくな」

「一番隊隊長、沖田総悟でィ」

「・・・・・・」

3人が流れで自己紹介をしたが、アリスはだんまり。

「まさか、真選組もわからないってか?」

土方が言うがアリスは

「いえ、それはわかります」

あのチンピラ警察よね、とアリスは心の中で思っていた。


「私は北条アリスです」

アリスも一応自己紹介をした。

「まあアリスちゃん、今日はいろいろと疲れただろ?とりあえず休むといいよ。部屋もここを君の部屋にしていいからさ」

アリスちゃんは状況についていけてないよな、落ち着くまで休むがいい、と近藤は続けた。

「トシ、総悟、出るぞ」

近藤にそう言われ土方も沖田もひとまず立ち上がった。

この人達、なんか悪い人達ではなさそう。一応助けてくれたみたいだし、私をここにおいてくれるみたいだし・・・・・・アリスは考えた。

「ま、待ってください!」

アリスの声を聞き、3人の足は止まった。そして、同時に振り向いた。


「あの、なんかよくわかんないですけど、あ、ありがとうございます!」

アリスはここにきて初めてのとびっきりの笑顔でそう言った。

「お、おう、気にすんな」

「いいってことでィ、まあゆっくり休みなせェ」

土方と沖田の頬はほんのりと赤くなっていた。そして2人とも同じことを思った。こいつ、なかなか可愛いな、と。

そんな2人の様子を見て近藤さんはガハハと笑い、なんか面白いことになりそうだな、と呟いた。

朝。アリスは真選組屯所で朝を迎えた。

うーん・・・・・・・

よく寝たかなぁ、でもここどこ?

あ、そうか私、なんだかんだでここにお世話になることになったんだっけ?

覚醒しきっていない頭でそう考えていると

「入りやすぜィ、起きてやすか?」

と言いながら沖田がアリスの部屋に入ってきた。

「い、いきなり入ってくるなんて」

アリスは少しむぅっとしたが

「なんでィせっかく朝飯持ってきてやったのに。いらねぇのかィ?」

そう言う沖田の右手にはおぼんがあった。

「・・・・・・た、食べる」

しばらくろくに何も食べていなくお腹がすいていたアリスは即答した。

「ご飯、持ってきてくれてありがと」

アリスはにこりと笑いお礼を言った。

かぁっと沖田の顔は一瞬赤くなった。そんな顔を見られるのが恥ずかしかったのか沖田はそっぽを向いた。

「え、と、沖田さん?だっけ。熱でもあるんですか?」

しかしアリスには赤くなった顔はばっちりと見られていた。

「なんでもねぇやィ、それより、しっかり食べて体力つけてくだせェ」

アリスはうふふと笑い、味噌汁に手をつけた時だった。

「入るぞ」

今度は突然土方が部屋に入ってきた。

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