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真選組の女の子

原作: 銀魂 作者: 神崎しおり
目次

雨の日の子犬のような

ぽつ、ぽつ

雨がしんしんと降っている。

そんな天候の中、あまり目立たない道端に倒れている女の子が1人。

腰より上、肩の下まである長めの髪はすっかり濡れて、地面と服にひっついている。

「む……?」

そんな状態の彼女を、彼女と同じ位の長さの髪をもつ男が、発見した。


「あーあ今日も暇だなコノヤロー」

こちらは万事屋。坂田銀時が独り言を言いながら漫画雑誌、ジャンプをめくっている。

「誰でもいいから誰かこないアルかねぇ」

「こういう時に限って、誰も訪ねてこないものですよ。というかほぼいつもですけど」

そう新八が言った瞬間、ガララと万事屋の扉が開いた。

「銀時、いるか?」

「なんだヅラかぁ、んまい棒ならいらねーよ」

「来たアル。新八の嘘つきネ。今日からお前は嘘八ね」

神楽の、じとーっという効果音がつきそうな横からの視線に新八はなんとかたえた。


「おや?」

銀時は視線はジャンプに向けたまま、神楽は新八に視線を向けていたため気づかなかったが、新八は気づいた。桂が女の子を抱えていることに。

「桂さん、その女の子は誰ですか?」

そう新八が言った瞬時に、銀時も神楽もバッと桂の方を向いた。

「この娘だが、道端で倒れていてな。ほっとけなくて連れてきてしまった」

「ヅラぁ、なぜここに連れてくるんだここに」

「うちにはもうエリザベスがいるのでな、あとヅラじゃない桂だ」

「いや、その娘のことペットみたいに言わないでくださいよ桂さん」

新八は冷静に突っ込みを入れた。


この男、桂は根は優しく困っている人を見捨てられない性分。今回もその優しさが発動してしまったのだ。

「で、俺にどうしろってんだ、その子。まさかとは思うけど……」

「この娘をここにおいてあげてほしい」

銀時の思ったまさかは的中した。

「無理だ。うちにはもう定春がい「いや、あんたもこの人のことペットみたいに言わないでくださいよ」

新八がまた突っ込みを入れた。

「ぱっつぁん、冗談だ冗談。とりあえず、そいつが目を覚ますまでな」

銀時は仕方ねぇな、と言った感じで言葉を放った。

「旦那ぁ、さぼりにきやしたァ」

そんなやり取りをしていると、もう1人来客がやってきた。


「かーつらぁー!!」

その男、沖田は桂を見つけるとバズーカを放った。

しかし、桂は瞬時にその場から去った後だった。

「あれ?今桂がいやせんでしたか?気のせいですかィ?」

「ちょっと、総一郎くーん!?ここでバズーカ放つのやめてくんない!?ここ室内だし俺のジャンプとかボロボロなんですけどぉ」

「いきなり何するネ、この糞サド!」

「いーじゃないですかィ旦那ァ、次のページ、または次の章にはもう元通りなんですから」

「いや、何の話?それ」

新八は突っ込みに忙しい。

「ん……うーん」

バズーカの衝撃音が彼女の目覚まし時計となったのか、女の子が声をあげた。


そこで沖田は女の子の存在に気がついた。

「旦那ぁ、なんでィこの娘。誘拐ですかィ?調教していいですかィ?」

「いやなんかいろいろとおかしいからね総一郎君?」

「総悟です」

そこで、やっと完全に目を覚ました女の子は、状況の整理をし始める。

見知らぬ場所に、見知らぬ人が4人ほど。女の子は混乱状態に陥り、何を思ったか懐に持っていた銃を発砲した。

「あぁぁああぁ!!」

ドォン ドォン

「!?」

突然の事態に驚く4人。銃は空砲だったからよかったものの、女の子のパニックはとまらない。

「ちょっと君ぃ、落ち着け、落ち着けって、な!?」

「……ここは俺に任せてくだせェ、旦那ぁ」

次の瞬間、沖田がとった行動とは。


沖田は女の子の手足を、縄でぐるぐると起用に素早く縛り上げた。

「これでよし、と」

「いや、よしじゃないですよ沖田さん!?」

女の子は暴れ疲れたのか手足を縛られ観念したのかすぐに大人しくなった。

「君、名前は?僕は志村新八です」

とりあえず、新八が優しく問いただしてみた。

「……」

しかし、女の子は大人しくはなったものの警戒した視線を向けている。

「言わないならこのムチで……」

沖田はどこからともなくムチをだし、両手でぴーんとムチをはった。


「アリス。北条、アリス」

それを見たからかどうかはわからないが、女の子、アリスは名を名乗った。

「ちっ、言いやがりましたかィ」

沖田は残念そうな黒い笑みをうっすらと浮かべていた。

「北条アリスさん、可愛らしい名前じゃないですか。君、倒れてたんだよね?なにかあったの?」

新八が続けて問う。他の3人もアリスの言葉に耳を傾けようとする。

「……」

アリスはまただんまりとしてしまった。


「……わか、わからないんです」

「「「「へ?」」」」

その場にいた4人全員が一斉に声を揃えた。

「ここに来る前の、記憶が、ないんです」

アリスはそう言葉を続けた。

「記憶喪失ってこと?」

と銀時。

「北条さん、歳はいくつでィ?」

「いや、沖田さん、その質問するタイミング間違ってますよ!?」

「20」

「あんたもすんなり答えるのぉぉ!?」


アリスが年齢を答えた後、アリスに頭痛が走り、また気を失ってしまった。
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