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METAL GEAR SOLID the ROCK

原作: その他 (原作:メタルギアソリッド) 作者: gekco
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第二話

「どうやってロックに潜入する?」
モニターに衛生写真を映し出しながら、オタコンが説明した。
「すでに、Seal’sが海中から小型潜水艇で潜入したことから、彼らは海中への警戒を強めているだろう。ソナーを設置しているに違いない。そこで君には、HARO降下で潜入してもらおうと思うんだ。」
「HARO降下・・・高高度降下、低高度開傘か。訓練ではやったが・・・実戦で試したことはない。ここ最近はアラスカの海を泳がされたり橋の上からタンカーに飛び降りさせられたりしていたからな。」
スネークの脳裏に、苦い思い出ばかりが浮かぶ。
「もちろん、パラシュートと君の体が視認されないよう、ステルス迷彩を施す。が、恐らく着地の衝撃で壊れてしまうだろう。」
「どっちみち、あんなものに頼って任務を遂行するつもりはない。いつも最後に任務の成否を決定するのは、人間自身だ。」
「作戦決行は今日の深夜だ。午前1時に降下開始する。スネーク、頼むぞ。」
そう言って、キャンベルは通信を切った。
スネークは新しいタバコに火をつけ、ゆっくりと吸い込む。
あのハメル将軍に、何があったのか。


6月7日、午前1時。
黒々としたサンフランシスコ湾に、武骨な建物の並ぶ島が見えてきた。
通常の開傘高度よりもかなり低い。
猛スピードで落下する中、スネークはラインを引いてパラシュートを開く。
開いた瞬間、空間が歪んで見えたものの、ステルス迷彩の効果ですぐに見えなくなった。巡回中の海兵隊員には見えていない。
そのまま降下し、建物から少し離れた海岸に着地する。
着地の瞬間、衝撃でステルス迷彩装置が壊れ、スニーキングスーツ姿のスネークが姿を表した。
強い衝撃を緩和するため、そのままパラシュートを切り離して前方へ転がり出るスネーク。
あまりの衝撃にしばらく伏せていたが、ゆっくりと起き上がり、眼前の建物を眺めた。
アルカトラズ。かつて「脱獄不可能」と呼ばれた洋上の監獄。
飾り気の一切ないコンクリート製の建物が、冷たくそびえたっている。
近くの木陰に隠れ、スネークは通信を入れた。
「こちらスネーク。スニーキングポイントに到着。待たせたな。」
「そろそろ連絡があると思っていたよ。いつもながら、鮮やかな潜入だね。」
「降下中に哨戒中の海兵隊員を見かけたが、他に見張りはいないようだ。敵は14人で確かなんだな?」
キャンベルが答えた。
「ハメル将軍は、准将としてのコネで海兵隊武装偵察隊の中でも選りすぐりのエリートを集めて組織したようだ。隠密行動、というより犯罪なのだから、人数は最小限に絞ったのだろう。」
オタコンが続ける。
「スネーク、今回のミッションはアメリカ政府からの依頼だけど、あくまで非公式任務だ。いつもと同じように隠密行動、武装も限られている。くれぐれも無用な戦闘は避けてくれ。僕とキャンベルが、無線で君をサポートするよ。」
「すまない、スネーク。この任務の件については、私達とホワイトハウスのごく一部しか知らないことになっている。Seal’sが全滅した以上、軍上層部は空爆の決断を大統領に迫るだろう。大統領の時間稼ぎにも限界がある。できるだけ速やかに任務を全うし、そこから脱出するんだ。まずは建物内部に潜入し、Seal’sの生存者と接触するんだ。」
スネークが皮肉な笑みを浮かべる。
「いいのか?俺が任務を放棄してさっさと脱出するかもしれんぞ?」
「君がそんな人間でないことは、私がよく知っているよ。・・・ハメル将軍もな。」
ふーっと大きく息を吐くと、スネークはホルスターからSOCOMピストルを抜いた。
「これより任務を開始する」


同時刻、アルカトラズ内、司令室。
「また、同胞を無駄死にさせてしまった。犠牲は出したくないと言ったはずだぞ!」
口調を荒げるハメルに、腹心の部下バクスター少佐が答えた。
ベトナム戦争のテト攻勢からの付き合いからか、ハメルがこういう人間であることはバクスターが一番よく知っていた。
「予期できた事態です、将軍。仕方がありません。」
死体を検分していたダロウ大尉が報告する。
「突入してきた連中は海軍特殊部隊Seal’sで間違いありません。奴ら認識票は着けていませんが、あの装備は特殊部隊のものです。」
「丁重に安置しておけ。我々が撤退したあと、政府の連中がきちんと埋葬できるように。」
ダロウ大尉と入れ替わりで、フライ大尉が報告に来た。
「将軍、自分もダロウと一緒に奴らの死体を見ていたんですが、ちょっと様子がおかしいんです。」
同胞の死体を、じろじろ観察していたのか。
やるせない怒りを押し殺すハメルに代わって、バクスターが確認した。
「何かあったのか?」
「誘導ミサイルを無力化するための工具を持った者がいません。俺たちを全滅させるためだけに突入するのはおかしいですし。」
「つまり?」
「奴らの生き残り、しかも、ミサイルの解体技術を持った奴が、まだ生き残っています。」
「ミサイルを無力化されたら終わりだ。追え!逃がすな!」
フライが数名の部下を引き連れ、Seal’sの生き残り追跡に向かった。
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