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レイン

ジャンル: その他 作者: 紅葉
目次

ショットガン・ロシアンルーレット①

ハルマは壁の端にガラスの灰皿が置いてあることに目を付け、壁にもたれかかりタバコに火をつけた。
横を見ると、金貸しの男も葉巻を咥えて見物していた。
この男もハルマと同じく、代打ちに勝負を委ねている立場。
傍観者なのだった。

部屋の中心を見れば、これから行われるギャンブル・・・「ショットガン・ロシアンルーレット」の準備が、相手の代打ちの男、ショットによって行われていた。
これから行うことが楽しみでしょうがないかのような、嬉々とした態度で準備を続ける。

机には衝立が置かれた。
中心部分を真っ二つに区切るように、かなり高い位置まである塀のようなものだ。
反対側は横から回り込まない限り見えないだろう。

それが準備の第一段階。
次にショットは、部屋の隅に置かれてるクローゼットを開いた。
中には、このギャンブルに名を冠している主が並んでいた。

ソードオフ・ショットガン。
銃身が切り取られ、コンパクトな形状をしたショットガンは、クローゼットの中に
7丁、スッキリと収まっていた。
まるでインテリアのような荘厳さと優美さを讃えていたが・・・、本物の銃を前に、ハルマは目を離せずに灰を落とす。

「すごいな・・・こんなの初めて見たよ」

テーブルの上には、クローゼットに入っていた7丁全てが並べられた。
ハルマにはどれも全て同じ種類に見えたが、7つには通し番号のようなものが刻印されている。
ローマ数字で、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲといった風に、銃身のⅦまで刻まれていた。

「使い方・・・弾の込め方や打ち方は大丈夫かな?」

「それなら大丈夫。なんとなくわかるさ」

「結構・・・それでは」

ショットによる、「ショットガン・ロシアンルーレット」のルール説明が始まった。

① まず、このゲームでは攻めと守りが存在する。
② 攻め側になった者はショットガン7丁の内1丁にだけ弾を装填する。
③ 攻め側は、7丁ある銃を一発ずつ、好きな順番で撃っていく。弾が入っているのは先ほど装填したもののみ。
④ 守り側は、一発ごとに「撃たれる箇所を選ぶ」もしくは「パス」を選択することができる。
⑤ 撃たれる個所は全部で6つ指定できる個所がある、頭、右腕、左腕、右足、左足、シールドである。
⑥ 実際に選んだ個所を撃たれ、弾が入っていれば傷を負う。ただし、シールドであれば弾が入っていても無傷で済む。
⑦ 全ての攻撃箇所、及びパスは1度選択すると以後は選べない。
⑧ このゲームは最終的にポイントの差で勝敗を決するため、結果に応じてポイントが入る。
・パス以外を選択すれば10ポイント
・実弾をパス、シールド以外で受けた場合、残りのショットガンの数×20ポイントを得る。
・実弾をパスした場合、ポイントはなしでゲーム終了となる。
・実弾をシールドで受けた場合、60ポイントを得た上、残り本数×10ポイントを得る
⑨ これを攻守を1度ずつ交互に行い、ポイントが高いほうの勝利。
「以上がルールだ。何か質問はあるかい?」

「ふむ・・・」

レインは顎に手をあて、ショットガンを眺めながら思考する。
このゲーム、運任せのロシアンルーレットとは全く異なる読み合いになる、そう考えていた。
とどのつまりは、相手が何発目に弾を込めてくるかを読むことが全て。

「あんた、このゲームはやり慣れてるのか?」

出した質問は意外なものだった。
ゲームに関する確認ではなく、ショットの経験値を測る質問。

「くっくくく・・・無論だよ」

ショットは上機嫌に自分の両腕の袖を捲る。

「さすがにわかると思うが、このショットガンを至近距離で受ければ腕や足なんぞ弾け飛ぶ。取り戻すのは不可能なレベルにな・・・しかし私は無傷!」

「要するに何人も撃ちまくってきたってことだ」

「ご名答!さすがはレインくん」

レインもつられてクククと静かに笑う。
恐らくは死人が出ることもあったであろうギャンブルを生き抜いてきた猛者を目の前に、毛が逆立つ。
求めてきた勝負はここにあったのだ、と実感する。

「今回のレートはゲーム終了時の点数、1ポイントにつき100万ウルとする。仮に君が100ポイントで私に勝利すれば・・・」

横で聞いていたハルマは頭の中で計算する。
最も、小学生でもわかるレベルの計算ではあるのだが・・・、
1ポイント100万ならば、10ポイントで1000万。
100ポイントならば・・・

「1億!?」

頭の中での暗算結果を、思わず声に出してしまうハルマ。
明らかに400万という借金額からかけ離れた数字だった。

「最悪なら死、よくても四肢欠損、そんなギャンブルをしようというんだ。張れるところまで張らないとな」

「俺はいいよ、それで」

実にあっさりと、レインは承諾する。
机の上に並んでいるショットガンの一つを手に取り、西部劇さながら、指に引っ掛けグルグルと銃身を回転させ、
銃口をショットに向けて、静止させる。

「このゲーム絶対に俺が勝つ」
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