謎の裏切り
「じゃ、始めるか」
「あいよ」
目の前の二人が声を掛け合った。
「悪いけど手早く済ませてもらうよ」
そういって俺よりちょっと年下くらいの外見のやつが背中に背負っていた何かを取り出した。何か太い棒のようなものだった。それが鼻先に突きつけられた。その突きつけられたのが金棒だということに俺がようやく気がつく。
「金棒・・・ってことはまさか、鬼!」
「おらはただの鬼じゃないぞー」
そいつが立ちはだかった。そういやよく見ると頭に角が生えている。その鬼の言葉に呼応するように
「そうだ、こいつの名は酒呑童子。鬼の中でも特に凶暴な鬼だ」
酒呑童子・・・という名前は聞き覚えはないがとにかく逃げないといけない。
「美香起きろ!」
「んー、だめだよヨッシー、激しくしちゃ・・・」
「頼むから起きてくれ!」
俺は何とか寝てる美香を起こそうとするが身かはまったく起きてくれない。酒呑童子がそんな俺らを哀れむように見ている。
「そんなの置いてさっさと逃げりゃいいものを。悪く思うなよ」
酒呑童子がそういって金棒を振り上げる。俺が美香を守ろうとして美香の上に覆いかぶさる。美香が
「え?何、ちょっと何してんの!」
といいながら目を覚ます。っとそのとき酒呑童子の動きが止まった。
「・・・ん、どうした?酒呑童子」
背高のっぽが不思議そうに酒呑童子の顔を覗き込んだ。
「何してんだよ酒呑童子。さっさと始末しろ!」
雪男が怒鳴るが酒呑童子はまったく動かない。
「ったく使えないやつだな。どけ」
背高のっぽが呆れたような声で進み出る。すると、
「や、やめろ!手を出すな!」
何を考えたのか酒呑童子が突然金棒を振り回して背高のっぽに向けた。
「酒呑童子、俺らを裏切るつもりか?」
冷静に見える背高のっぽもこの展開に驚きを隠せず、声が少し震えていた。
「見損なったよ酒呑童子」
「残念だが、裏切り者は排除しないとな」
背高のっぽが歩み寄り、酒呑童子と対峙した。雪男も、暗くて顔が見えないがかなり怒っているようで体を少し震わせている。酒呑童子はというと、ちょっと困ったような顔だったが、腹を決めたようで、金棒を握り締めた。
何で酒呑童子がいきなり裏切って味方になったのか分からない。
「おい、そこの人間」
酒呑童子がいきなり俺のほうを見ていった。
「おらがここを食い止める。お前はその女を連れて逃げてろ」
「そ、それは・・・」
「はよいけ!」
酒呑童子が怖い顔でいったので俺は仕方なくその場から逃げた。
でもただ逃げたわけじゃない。のっぺらぼうたちを探していたのだ。いくら妖怪だってなんとなくほっとけないじゃんか。
「のっぺらぼう!おゆき!」
俺がやっとみんなを見つけた。
「おぉ、由布由君。どうかしたのか」
「それが・・・」
俺はとりあえず先ほど雪男が現れたことと、酒呑童子のことを話した。
「酒呑童子が?」
のっぺらぼうが信じられないという顔で聞き返した。
「何で酒呑童子が人間の味方をするんだ」
「酒呑童子ってあれだよね、確か金太郎に倒されたやつ」
ろくろ首がいった。
「そのとおり、だけど酒呑童子は子供がいたとかいう噂がいてその子供が生き残ったらしい」
「それが今の酒呑童子、人間嫌いで有名だけど・・・」
「ツララお姉さまと同じですね」
おゆきが笑いながらいうとツララがおゆきをにらみつけておゆきが震え上がる。
「ツララは怒ると本物の鬼よりも怖いからなぁ」
「突き刺しますわよ?のっぺらぼう」
「とにもかくにも、事実がどういうことなのか確かめねばなりますまい」
カラス天狗が口を開いた。
「まずそれがしがいって確かめてきまする。由布由殿、道案内を!」
「分かった!こっちだ」
そういって由布由が走り、カラス天狗がそれを追いかけた。
「ったく、何で人間って言うのはこう世話が焼けるのかねぇ」
のっぺらぼうがその後を追って歩き出すと、ろくろ首がそれを追った。
「人間が世話が焼けるんじゃなくてのっぺらぼうが世話を焼きすぎるんじゃないの?」
「へっ、うるせーよ」
のっぺらぼうがポケットに手を突っ込んで少し歩きを早めた。
「あいよ」
目の前の二人が声を掛け合った。
「悪いけど手早く済ませてもらうよ」
そういって俺よりちょっと年下くらいの外見のやつが背中に背負っていた何かを取り出した。何か太い棒のようなものだった。それが鼻先に突きつけられた。その突きつけられたのが金棒だということに俺がようやく気がつく。
「金棒・・・ってことはまさか、鬼!」
「おらはただの鬼じゃないぞー」
そいつが立ちはだかった。そういやよく見ると頭に角が生えている。その鬼の言葉に呼応するように
「そうだ、こいつの名は酒呑童子。鬼の中でも特に凶暴な鬼だ」
酒呑童子・・・という名前は聞き覚えはないがとにかく逃げないといけない。
「美香起きろ!」
「んー、だめだよヨッシー、激しくしちゃ・・・」
「頼むから起きてくれ!」
俺は何とか寝てる美香を起こそうとするが身かはまったく起きてくれない。酒呑童子がそんな俺らを哀れむように見ている。
「そんなの置いてさっさと逃げりゃいいものを。悪く思うなよ」
酒呑童子がそういって金棒を振り上げる。俺が美香を守ろうとして美香の上に覆いかぶさる。美香が
「え?何、ちょっと何してんの!」
といいながら目を覚ます。っとそのとき酒呑童子の動きが止まった。
「・・・ん、どうした?酒呑童子」
背高のっぽが不思議そうに酒呑童子の顔を覗き込んだ。
「何してんだよ酒呑童子。さっさと始末しろ!」
雪男が怒鳴るが酒呑童子はまったく動かない。
「ったく使えないやつだな。どけ」
背高のっぽが呆れたような声で進み出る。すると、
「や、やめろ!手を出すな!」
何を考えたのか酒呑童子が突然金棒を振り回して背高のっぽに向けた。
「酒呑童子、俺らを裏切るつもりか?」
冷静に見える背高のっぽもこの展開に驚きを隠せず、声が少し震えていた。
「見損なったよ酒呑童子」
「残念だが、裏切り者は排除しないとな」
背高のっぽが歩み寄り、酒呑童子と対峙した。雪男も、暗くて顔が見えないがかなり怒っているようで体を少し震わせている。酒呑童子はというと、ちょっと困ったような顔だったが、腹を決めたようで、金棒を握り締めた。
何で酒呑童子がいきなり裏切って味方になったのか分からない。
「おい、そこの人間」
酒呑童子がいきなり俺のほうを見ていった。
「おらがここを食い止める。お前はその女を連れて逃げてろ」
「そ、それは・・・」
「はよいけ!」
酒呑童子が怖い顔でいったので俺は仕方なくその場から逃げた。
でもただ逃げたわけじゃない。のっぺらぼうたちを探していたのだ。いくら妖怪だってなんとなくほっとけないじゃんか。
「のっぺらぼう!おゆき!」
俺がやっとみんなを見つけた。
「おぉ、由布由君。どうかしたのか」
「それが・・・」
俺はとりあえず先ほど雪男が現れたことと、酒呑童子のことを話した。
「酒呑童子が?」
のっぺらぼうが信じられないという顔で聞き返した。
「何で酒呑童子が人間の味方をするんだ」
「酒呑童子ってあれだよね、確か金太郎に倒されたやつ」
ろくろ首がいった。
「そのとおり、だけど酒呑童子は子供がいたとかいう噂がいてその子供が生き残ったらしい」
「それが今の酒呑童子、人間嫌いで有名だけど・・・」
「ツララお姉さまと同じですね」
おゆきが笑いながらいうとツララがおゆきをにらみつけておゆきが震え上がる。
「ツララは怒ると本物の鬼よりも怖いからなぁ」
「突き刺しますわよ?のっぺらぼう」
「とにもかくにも、事実がどういうことなのか確かめねばなりますまい」
カラス天狗が口を開いた。
「まずそれがしがいって確かめてきまする。由布由殿、道案内を!」
「分かった!こっちだ」
そういって由布由が走り、カラス天狗がそれを追いかけた。
「ったく、何で人間って言うのはこう世話が焼けるのかねぇ」
のっぺらぼうがその後を追って歩き出すと、ろくろ首がそれを追った。
「人間が世話が焼けるんじゃなくてのっぺらぼうが世話を焼きすぎるんじゃないの?」
「へっ、うるせーよ」
のっぺらぼうがポケットに手を突っ込んで少し歩きを早めた。
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