雪男再来
それから数日後、新年も妖怪の連中と一緒に過ごしていた俺たち。てか俺ほかに友達いないんだよね。結局ろくろ首のいるファーストフード店に俺たちは集まっていた。てかここのファーストフード店マグドナルドっていうんだが、よく訴えられないなと来るたびに思う。
「いやぁ、やっぱ新年はにぎやかに越すのが一番だなぁ!」
のっぺらぼうがビールを飲みながらいった。
「いらっしゃいませー、ご注文お決まりでしょうか・・・てかもう飲んでるし」
注文をとりにきたろくろ首が腰に手を当てて呆れ顔になった。
「ちょっとのっぺらぼう、店に酒を持ち込むのやめなさいよぉ」
「へっへっへーん、怒った顔のろくろちゃんも可愛いねぇ」
「か、からかわないでよ!バカ!」
ろくろ首はちょっとうつむいていった。
「まぁまぁ、そう硬いことを言いなさんなろくろ首。今日は無礼講といこうじゃないの」
「猫又さん、何でメイド服なんですか?」
「そうそう、それが聞いてよー、猫耳をツインテールにするためのゴムをなくしちゃってさー、こういう格好をしていればばれないかと思ったんだけど」
猫又が困っているのか嬉しがっているのかよく分からない口調で答えた。
「あー、猫耳メイドってやつですか?うーん、まぁばれはしないけど猫又さんの年齢ではちょっと無理があるような」
「何かいった?」
「あ、いえ、何も」
ろくろ首が何食わぬ顔で隣の席に移った。隣の席にいるのはツララ女にカラス天狗、そしておゆきに美香にこの俺が座っている。
「なぜそれがしがこのような子供椅子に・・・」
容貌がまるっきり子供のカラス天狗は子供の椅子に座っている。仕方ない、一つのテーブルにつき椅子は四つしかない。
「それがしは納得がいきませぬ。それがしは立派な大人でありまするぞ!ここのテーブルでは最年長でござる!」
「まぁまぁカラス天狗」
ツララがカラス天狗をなだめる。
「なぁ、今からちょっとみんなで夜の街に繰り出さないか?」
「夜の街?」
のっぺらぼうの提案にろくろ首が聞き返した。
「そうさ!面白いぞ!」
「そうねー、何か年越しの夜って化けて出るわけにもいかないし何か暇なのよねー」
猫又が二股に分かれているふさふさしたしっぽをなでながらいった。
「夜の街か、いいね」
「面白そうです!」
「でございまするな」
ツララにおゆきにカラス天狗もそれに乗った。
「ちょっと俺らはパスだ」
「そうですな、もう夜の12時過ぎ。人間はとっくに眠くなる時間でございまする」
カラス天狗が時計を見やる。
「じゃぁ俺らだけでいくから人間諸君は帰ってな」
のっぺらぼうの言い方がなぜか何か傷つく。てか本当に陽気な妖怪だよなぁ。
「いってきます由布由殿!明日の朝には戻りますから!」
おゆきもそういってその妖怪たちの後ろについていっていた。残されたのは美香と俺。っていうか美香はさっきから静かだと思ったら完全に眠ってしまっていた。
「ったく、しかたねぇやつだなぁ」
起こすのもちょっと可哀想なのでおぶってやる。
「あん、だめだよよっしーそんなところ・・・」
「夢の中でも下ネタかよ」
俺がため息をついて外に出たときだ。
「由布由」
いきなり名前を呼ばれ、俺が振り向く。
そのとき目から火が飛び、鈍い痛みが襲ってくる。
「こいつが由布由ってやつかー?何か手ごたえがねぇなぁ」
「当たり前だ、人間だからな」
今の声に聞き覚えがある。倒れた俺、当然背中におぶってた美香も地面に投げ出される。カラス天狗ものっぺらぼうもツララ女もいないし・・・まずい。
「雪男・・・」
俺はそいつの名前を呼んでやった。だが相手はひるむ様子もない。
「女がいるな」
短く、怒気を押し殺.したような声が聞こえる。前の二つとはまた違う声だった。雪男が仲間を連れてきたというのか。
「本当にやるのか?雪男」
「か弱き人間を一人殺.して何になるというのだ」
「うるせぇ。つべこべ言ってるんじゃねぇよ!」
雪男の怒鳴り声が響く。ため息が聞こえて二つの人影が近づいてきた。一つの人影は小さい、俺より背が低そうだ。もう一つの人影が・・・めちゃくちゃでかい。三メートル、いや、四メートル以上はありそうなでかさだ。
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