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fate もしもモードレッドが喚ばれたら

原作: Fate 作者: MM
目次

方針の確認

 ライダーとの戦闘を終えた翌日。再び昼休みの屋上で作戦会議を始める。今度は人払いをしての話し合いだ。互いのサーヴァントも姿を現していた。
「まず目的を明確にする必要があるわ」

「バーサーカーとライダーの打破か?」
 二大脅威が残っている。ランサーも恐ろしいが、二対一ならば戦える気がした。
 この二騎は二対一でも危うい相手だ。明確な対抗策を用意しなければ、打倒出来るイメージが浮かばない。

「そう。校舎の結界は解除されたけど、あの魔眼は脅威よ」
 石化の魔眼は凄まじい効力を感じさせた。まともに受けたならば、前回と同じ結果になるだろう。
「アーチャーの援護があって、ようやく五分。何よりまだ切り札はあったでしょうね」

「幸い矢避けの加護などは確認出来なかった。石化の魔眼さえ対処出来れば、私も力を振るえるだろう」
 アーチャーの弓技はバーサーカー戦で知っている。ライダー相手ならば、かなりの効力を発揮出来るだろう。問題は最後に発動した宝具だ。恐ろしい。ライダーの言葉を信じるならば、石化の魔眼よりも脅威なのだろう。

「セイバー、貴方の切り札で倒せる?」
「私が宝具を解放したなら、バーサーカーでもなければ殺しきれます」
 一撃の破壊力ならば相当な自信がある。完全にバーサーカーの正体に気付いているような発言だが、特に追求はしない。対等な同盟関係が故の反応だ。

「問題はその」
「俺の魔力量だな」
 ただでさえセイバーの能力は高い。そうして、士郎の力量は一流には届かず。代を重ねていない魔術師にしては悪くはない。といったレベルである。

「…言いづらいことですが、私のステータスを維持するだけでも負担になってます」
 通常ならば不足する事はないが、切り札を使えば話は別だ。それだけ燃費の悪い宝具でもある。
「宝具を放てても一度。それを外せば休息が必要になるでしょう」

「分かった。もし必要になったら、魔力は私がフォローする。状況に応じて動きを変えましょう」
 一発の破壊力は恐らくセイバーの方が上だ。ならば同盟相手として、その後の用意をしておかねばならない。
「ライダーの対処はそれで良いわね」

 宝具にさえ対応出来たなら、然程の脅威にはならない。油断は絶対に出来ない相手だけど、純粋に戦うと考えれば、ランサーの方が遙かに手強いだろう。
「問題は、さっき話にも出たけどバーサーカーよ」

「異常なレベルで強かったよな」
 セイバーの白兵戦の能力は知っている。ランサーを圧倒する力量があるのに、バーサーカーは余裕で受け流していた。一対一で打倒出来るイメージが湧かない。

「他の英霊と戦って、改めて規格外のステータスに気付かされたわ」
「私の切り札を使っても、傷一つ負わなかった様子だ。膨大な魔力放出で相殺していたように見える」
 純粋な出力差だけではなく。その場での最善を選び取る直感が厄介だ。

「万全の英霊二体を相手取っても、宝具すら切らなかった。多分だけど。最後に構えたのも宝具じゃなくて、ただ大きな一撃を放とうとしていただけよね」
 真正面から打倒するだけが手段ではない。常道として、マスター殺しも視野に入れるべき。

「マスターの力量も超一流。悔しいけど、真正面からだったら私でも勝てない」
 あれだけ自信家の彼女が言うのだ。万に一つも勝機はないのだろう。
「もう少し油断を誘える程の力量差があったら、逆に攻め込む奇策も打てるんだけどね」

 イリヤは凜を侮っていない。本気ですり潰しに来る。隙は見せてくれない。まだ絶対的な格上で、見下している相手の方が殺しやすい。
「…子供を、理不尽な死をばらまいていない子供を、殺すのか」
 呟きは朧に揺れて、確固たる信念は感じられなかった。

「必要があればね」
「必要なければ良いんだろう?」
 この言葉にアーチャーが眉をひそめた。そうではないだろう。とでも言いたげで、複雑な表情をしている。

「ええもちろんその通りよ」
「シロウ?」
 セイバーも怪訝そうな顔をしている。情けをかけられる相手ではない。
「ん。大丈夫だ」

 深く噛みしめるようにもう一度。
「…大丈夫だから」
 士郎の言葉を聞きながら、改めて凜が状況を説明する。

「問題はこの二騎だけじゃないの」
 当然ながら他の敵だっている。与えられたクラスは七つだ。

「即死級の切り札を隠し持つランサー。時間を与えるほど脅威が強まるキャスター」
 紅の魔槍は明確な死を予感させた。魔術師の英霊に時間は与えたくない。どちらも敵に回せば恐ろしい相手である。

「一番、あたし達にとっては恐ろしいアサシン」
 純粋な戦闘ならば脅威ではないかもしれないが、マスター殺しのクラス。…バーサーカーのマスターを処理してくれれば、ありがたいのだがね。

「まだこれだけの問題が待っているわ」
 当初の同盟関係はバーサーカーだけだったが、互いに相性も悪くない。このまま継続したいと、彼女の本音を聞かせてくれた。

「とは言え、同盟の条件は二騎の打破。それにあんまり組みすぎていると、教会から警告が入るのよ」
「警告?」
「戦争の硬直は避けたいし、一陣営に力が集中すると危険なのよね」

 単純に考えれば二倍の規模で戦えるのだ。周囲の環境を二倍の規模で壊すと言っても良い。神秘の隠蔽が絶対だからこそ、後処理に手間がかかる事態は避けねばならない。
「ま、短い付き合いかもしれないけど。改めてよろしくね」
「よろしく頼むぞ」
「それじゃあまた放課後に動きましょう」
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