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ガンダムNT:S007

原作: 機動戦士ガンダム 作者: よしふみ
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ACT193    『技術の進化』





「分解されていたことにも、意味があったわけね。私は、たんに運びやすいとか、ガンダムを作ることのリスクを考えてのことかと思っていたわ」
「そうですな。そういう点も確かにありはするんですが……我々としての本音は、そっちですよ。素材の資料としては、面白いものじゃあったんです……まあ、サイコフレームや、より純度の低いガンダリウム合金のデザインに、材料開発部の興味は動いちゃったんですけどね」
「より純度の低いガンダリウム合金、オレたちが乗っているジェスタのようなものか」
「そうです。ガンダリウム合金ってのは、どうしても割高です。製造にコストがかかり過ぎるもんで……まあ、ガンダリウム合金にしか出来ないコトってのは、そうあるわけじゃありません。パイロットたちも死にまくったことと、操縦技術教本の充実により、突飛な動きをしなくなりました……ガンダリウム合金の需要は、減っちゃいるんです。我々も企業なもんで、どうしても需要が減ると、研究できなくなる……」
「……なるほどな。そいつは仕方がないことか……ジェスタの性能も、悪いと思ったことはない……」
「νガンダムには近づけましたよ。安価で出来て、サイコミュ兵装のない。軍隊で使われるには、実に丁度良い性能だと、我々も自信を持っていますよ、ジェスタには。ガンダムやジェガンで培ったノウハウも活かされていますから……汎用性は十分にあったでしょう?」
「まあな。一生かかっても、全てを使いこなせそうなレベルにはある」
「でしょうな。そんなこともありますから……製造と開発は、ジェガンとジェスタに回りましてね……ガンダムは……サイコフレーム系列の素材にチェンジしましたし」
「サイコフレームの研究は盛んだったのね?」
「ええ。興味深いですからね。人の感応波を帯びた状態では、ガンダリウム合金よりも、はるかに強度を高めてしまうのですから……パイロットの理想を補助しながら動いてくれる金属……場合によれば、戦闘行動の中にも、最適の強度にフレームの強度を変える……ときには硬度よりも柔軟性があった方が強い場合があります」
「金属の強度を、意図的に変えているのかしら……」
「そうです。とんでもない兵器でしょう?……設計以上の動きをしますよ、パイロットがそれを願い、その想像力が工学的に正しくて、なおかつ……異常なまでの感応波を放つことが出来る人物ならば……真のニュータイプならば、その機能は拡張を極めてくれる」
「νガンダムと、ユニコーンたちは、そういうことをしたのね?」
「……そうとしか考えられませんね。Iフィールドの発生を、機体全体に広げて、安定したメガ粒子をまとう……ぐらいのことをしてたんじゃないでしょうか」
「Iフィールド……ミノフスキー型の核エンジンの内部に展開しているものね」
 その仕組みは、エネルギー場を固定することが出来るのが特徴である。ミノフスキー粒子がジャミング装置として働くのも、そういう性質のおかげだ。空間に不変なる領域を作る。そのバリアの中で核反応をさせることで、安定した高純度のエネルギーを生み出しているのだ。
 モビルスーツに搭載出来るほどのエンジン……それは、基本的にIフィールドの恩恵である。このIフィールドを発展させたものが、対ビーム用のバリア兵器である……面白い発明よね―――。
「―――そうです。Iフィールドは核エンジンを搭載している全てのモビルスーツにあるわけですね……そのIフィールドの伝達を上昇させ、触媒物質として力場の発生を拡張させる……サイコフレームなら、そういうバリアを発生させることも可能です」
「……サイコフレームならね」
「……まあ……Zガンダムのバイオセンサーで、それを行ったパイロットもいたんですよね……」
「……Zガンダム。エゥーゴのカミーユ・ビダン中尉か」
「知っているの、イアゴ・ハーカナ少佐?」
「顔見知りじゃない。でも、グリプス戦役の英雄の一人だ。エゥーゴの中心だった船……アーガマ付きのニュータイプだった」
「そう。本物の天才ですよ。ニュータイプでありますし……Zガンダムの設計に対しても、最高のアイデアやビジョンを提供してくれました。彼の英雄的な活躍があったことと、エゥーゴをアナハイム・エレクトロニクス社が支援していたことから、あんな高コストの機体の設計が許されたわけです…………彼以外には、実質、限界性能を引き出すことなんて出来なかったでしょうね……ビームどころか実弾まで弾いていたバリアと……メガ粒子の制御領域を拡大する攻撃まで行ったそうです」
「バイオセンサーは、そんな能力があるのか?」
「……無いです」
「え?」
「無いですけど……出来ちゃうんでしょうな、カミーユ・ビダンなら。そう言うしかありませんよ」
「ニュータイプってのは、スゴいってこと?」
「ええ。バイオセンサーを用いて、Iフィールドの力場を拡張させることが出来るぐらいには……超能力でしょうね。時間や空間や、物理現象までも超越する能力があるっぽいですよ……オーガスタやフラナガンみたいに、人体実験をしたくなる気持ちは……正直なところ、分かりますよ」


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