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バカとテストと転校生

原作: その他 (原作:バカとテストと召喚獣) 作者: のんの
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第七問④

「できたわよ」



 着付けを手伝ってくれた女子の声。振り向くと、そこには女子用制服に身を包まれた変態の姿が。



「うっわ……気持ち悪いなぁ……」



 木下が着るのとは大違いだ。

 なんか一気にテンションが下がってきた。



「はぁ……。雄二、俺は帰るぞ」


「ん? なんだお前、根本の撮影会を見てかないのか?」


「ああ、んなもん興味ねえよ。あ、ただ、撮った写真はくれよ? 後々使えるだろうし」


「ああ、わかった。んじゃ、お疲れさん」


「おう」



 雄二に挨拶し、Bクラス教室を後にした。

 そういえば、鞄をFクラスに置きっぱなしだったなと思い出し、Fクラスへと向かう。



「あ、竜崎君」


「ん?」



 すると、前から軽やかな足取りで歩いてくる姫路さんの姿が。



「どうしたの、姫路さん? 何だか嬉しそうだけど」


「は、はい。……ちょっと、良いことがあったものですから」


「……へぇ」



 何故かはわからないけど、今無性に明久を殴りたい。



「それより、その、ありがとうございました!」


「おう? 何のこと?」


「その……封筒のこと……」


「そのことなら、俺は何もしてないさ。頑張ったのは明久だ」


「それでも、ですっ!」


「…………」



 ……ここで 『なら俺と付き合って』 なんて言ったらどうなるだろうか……。

 ……いや、やめておこう。



「……なら、さ、俺のお願いを一つ聞いてくれないかな?」


「お願い……ですか?」


「そ。俺のこと、名前で呼んで欲しいんだ。親しいやつから苗字で呼ばれるの嫌いでさ。そんで、できれば
姫路さんのこと、名前で呼びたいなって」


「名前で……ですか?」


「もちろん、今すぐじゃなくてもいいから。姫路さんが呼んでもいいかな、って思ったらで」


「……わかりました。その、今すぐには無理ですけど……」


「ん。なら、今回のことはこれでチャラだ」


「……はいっ!」



 いつの日か、姫路さんが俺のこと名前で呼んでくれればいいなと、心からそう思った。


「…………何、やってるんだ、明久」


「うわっ!? 智也!? いつからそこに?」



 姫路さんと別れFクラスに向かうと、室内には雄二の席で何かをしている明久の姿が。

 教科書を取り出して、落書きをしているように見えるが……。



「……最低だな」


「う……ち、違うよっ! これは雄二が悪いんだ!」


「雄二が?」


「そうさ! Fクラス男子が幸せになるのは許せない!」


「…………」



 その理屈からいくと、俺は真っ先にお前を殺すことになってしまうんだが。



「……まあ、いいや。んじゃ、俺は帰るぞ」


「あれ? 智也帰っちゃうの?」


「ああ。疲れたからな」


「ふぅん。お疲れ~」


「おう。……あ、貸し八だからな、忘れるなよ?」


「だから多いって!」



 自分の席に置いてある鞄を手に取ると、それを担ぎ教室を後にする。

 明日からまたテスト漬けだと思うと自然に溜息が漏れるが、今回の補給テストは真剣に受けないとな。

 いよいよ、Aクラス戦が始まるのだから。


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