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バカとテストと転校生

原作: その他 (原作:バカとテストと召喚獣) 作者: のんの
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第八問①

 Bクラス戦が終わり、点数補給のテスト、その他もろもろを終えた二日後の朝。

 いよいよAクラス戦を残すのみとなった俺らは、もうじきお別れになる予定のFクラスで最後の作戦の説
明を受けていた。



「まずは皆に礼を言いたい。周りの連中には不可能だと言われていたにも関わらずここまで来れたのは、他
でもない皆の協力があってのことだ。感謝している」


「ゆ、雄二、どうしたのさ。らしくないよ?」


「ああ。自分でもそう思う。だが、これは偽らざる俺の気持ちだ」



 確かに、この最低クラスがここまでこれるなんて。なんだか胸が一杯になってくる。



「ここまで来た以上、絶対にAクラスにも勝ちたい。勝って、生き残るには勉強すればいいってもんじゃな
いという現実を、教師どもに突きつけるんだ!」


『おおーっ!』


『そうだーっ!』


『勉強だけじゃねぇんだーっ!』



 最後の勝負を前に、皆の気持ちが一つになっている。そんな気がした。



「皆ありがとう。そして残るAクラス戦だが、これは一騎打ちで決着をつけたいと考えている」



 いつぞやの昼食時に雄二から聞いていた俺や明久達は驚かなかったけど、クラスの皆はかなり驚いたらし
く、教室中にざわめきが広がった。



『どういうことだ?』


『誰と誰が一騎打ちをするんだ?』


『それで本当に勝てるのか?』


「落ち着いてくれ。それを今から説明する」



 雄二がバンバン、と机を叩いて皆を静まらせる。

 初日みたいに崩れたりしないようで安心した。



「やるのは当然、俺と翔子だ」



 ……翔子?



「……明久、翔子って誰だ?」


「ああ。Aクラス代表の霧島さんのことだよ」



 なるほど。Aクラス代表の霧島翔子と、Fクラス代表の坂本雄二。クラス間の戦争を代理で行うのだから
、代表同士の一騎打ちは当然と言えば当然だろう。

 だが、Aクラス代表である以上、霧島とやらの点数はかなりのもののはずだ。正直――



「馬鹿の雄二が勝てるわけねえぇぇぇっ!?」



 思わず口に出ていた俺の頬をカッターがかすめる。殺す気か!?

 って、いくら雄二でも、友人を本気で殺そうなんて考えるワケが、



「次は耳だ」



 俺は友人としてカウントされてないようだ。



「まぁ、転校生の言うとおり翔子は強い。まともにやりあえば勝ち目はないかもしれない」



 認めるならカッターを投げつけないでくれ。



「だが、それはDクラス戦もBクラス戦も同じだっただろう? まともにやりあえば俺達に勝ち目はなかっ
た」



 だが、俺達は今こうして勝ち進んできている。



「今回だって同じだ。俺は翔子に勝ち、FクラスはAクラスを手に入れる。俺達の勝ちは揺るがない」



 最初は勝てないと思っていた試召戦争を勝利に導いてきた雄二の言葉だ。無理な話に思えても、否定する
人間はもうこのクラスにはいない。

 ……ぶっちゃけ、勝てたのは姫路さんのおかげな気もするけど。



「俺を信じて任せてくれ。過去に神童とまで言われた力を、今皆に見せてやる」


『『『 おおぉーーーっ!! 』』』



 意志の確認は必要なさそうだ。皆が雄二を信じている。



「さて、具体的なやり方だが……一騎打ちではフィールドを限定するつもりだ」


「フィールド? 何の教科でやるつもりじゃ?」


「日本史だ」



 日本史? Aクラス代表が日本史を苦手とするのか、はたまた、雄二は日本史が大得意なのだろうか?



「ただし、内容は限定する。レベルは小学生程度、方式は百点満点の上限あり、召喚獣勝負ではなく純粋な
点数勝負とする」



 小学生程度のレベルで満点あり?

 その条件だと、満点が前提となって、ミスをした方が負けるといった注意力勝負になるだろう。正面きっ
てやりあうよりは勝ち目があるかもしれない。



「でも、同点だったら、きっと延長戦だよ? そうなったら問題のレベルも上げられちゃうだろうし、ブラ
ンクのある雄二には厳しくない?」


「確かに明久の言う通りじゃ」


「そうだそうだー! 馬鹿の雄二じゃ勝てるわけないだろぉぉぉぅっ!?」


「ちっ、外したか」



 さっきの宣言通り、カッターで耳を狙われた。マジで死ぬかと思った。



「ま、あまり俺を舐めるな。いくらなんでも、そこまで運に頼り切ったやり方を作戦などと言うものか」


「?? それなら、霧島さんの集中を乱す方法を知っているとか?」


「いいや。アイツなら集中なんてしていなくとも、小学生レベルのテスト程度なら何の問題もないだろう」


「雄二。あまりもったいぶるでない。そろそろタネを明かしても良いじゃろう?」



 クラスの皆も木下の言葉にうなずいていた。



「ああ、すまない。つい前置きが長くなった」



 かぶりを振って、雄二は改めて口を開いた。
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