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バカとテストと転校生

原作: その他 (原作:バカとテストと召喚獣) 作者: のんの
目次

第七問③

「試獣召喚!」




現代国語

Bクラス富沢健一
         45点
    VS

Fクラス竜崎智也
        397点




「なっ、なんでFクラスのくせにこんな点数を……っ!?」


「それ、昨日も聞いたな。補習室ででも考えろ」


「く、くそっ!」



 召喚獣を呼び出し、今までの戦闘で点数を消費していたBクラスの生徒に止めを刺す。



「こっちは俺と数人いれば問題ない。空いたやつは左側出入り口に回れ!」



 特殊能力が使えるようになる400点の壁は、惜しくも越えられなかったけど、Bクラス相手ならこの点
数でも充分渡り合えるはず。

 目の前にいるBクラスの生徒も、俺の点数を目にして少したじろいでいる。姫路さん以外にもこんな点数
を持つやつがいるのは、相手にとっては予想外のはずだ。



「さっさとかかって来い雑魚共! それとも、格下のFクラスが怖いのか? はんっ! さすがは卑怯者の
根本が代表のことだけあるな。なあ、負け組さん?」


「……っ! てめぇ、ぶっ殺してやる! 試獣召喚!」


「こっちだって、好きで根本に従ってるわけじゃねえよ! 試獣召喚!」


「ああ! あんな奴がなんで代表なんだよ! 試獣召喚!」



 入り口を守っていた数人の生徒が、思い思いに根本への悪口を言い出す。よほど根本ってのは人望がない
らしい。

 でも、今はそれがありがたい。

 この場を守備している生徒達は、怒りの矛先を俺に向け、召喚獣を呼び出して戦闘態勢を取る。

 これでこいつらは、少なくとも俺を倒すまでここを動かないだろう。もし、戦力を古典勝負が行われてい
る左側出入り口に集中されていたら、少しまずかったかもしれない。


 だけど、これでなんとか時間を稼げるはずだ。




 明久が、根本に一泡吹かせてやるまでの、時間は――

「……っ! まだか明久!」



 俺が前線に出てから、既に数十分が経過していた。

 姫路さんが戦闘に出れない為、雄二率いる本隊まで出動せざるを得なくなってしまっている。

 戦況的には、少しこちらが不利か。



「死ねっ!」


「っと、お前が死ね」




現代国語

Bクラス村上真
        125点
    VS

Fクラス竜崎智也
        254点




 相手の攻撃をなんとかかわし、ハルバードを敵目掛けて振り下ろす。




現代国語

Bクラス村上真
        46点
    VS

Fクラス竜崎智也
        254点




 俺の点数が減っているためか、あるいは、疲労で召喚獣の操作が上手くいかないからか、一撃で倒せなく
なってきた。



「……っ! はぁっ!」



 素早く体勢を立て直し、再度斬り倒す。これで敵召喚獣の点数は無くなり、戦死となった。



『お前らいい加減諦めろよな。昨日から教室の出入り口に人が集まりやがって。暑苦しいことこの上ないっ
ての』



 少し距離がある左側出入り口の方から、根本の声が聞こえてきた。



『どうした? 軟弱なBクラス代表サマはそろそろギブアップか?』



 と、今度は我らが代表、坂本雄二の声。



『はァ? ギブアップはそっちだろ?』


『無用な心配だな』


『そうか? 頼みの綱の姫路さんも調子が悪そうだぜ? あの転校生には驚いたが、もうすぐ戦死しちまう
ぞ?』


『……姫路はお前ら相手じゃ役不足だからな。休ませておくさ。それに智也は、そう簡単にくたばったりしないだろうよ』


『けっ! 口だけは達者だな。負け組代表さんよぉ』


『負け組? それがFクラスのことなら、もうすぐお前が負け組代表だな』


「……っ! くそっ!」




現代国語

Bクラス沢城美紀
        166点
    VS

Fクラス竜崎智也
        194点




 雄二と根本の会話に気を取られている内に、いつの間にか接近してきていたBクラス生徒の召喚獣。

 何とか相手の槍がとどく寸前で距離をとろうとしたが、少し掠ってしまった。点数も、かなり消費してし
まっている。そろそろヤバくなってきた。



『……さっきからドンドンと、壁がうるせぇな。何かやっているのか?』



 根本の言う通り、少し前から雄二達がいる左側の壁から、何度かドンドンと鈍い音が響いていた。

 音から察するに、後一、二撃加えれば、というところだろうか。

 まったく……アイツは本当に凄い奴だと思う。フィードバックによるダメージもかなりのものだろうのに。



『さぁな。人望のないお前に対しての嫌がらせじゃないのか?』


『けっ。言ってろ。どうせもうすぐ決着だ。お前ら、一気に押し出せ!』


『……態勢を立て直す! 一旦下がるぞ!』


『どうした、散々ふかしておきながら逃げるのか!』



 雄二の指示に従ってその場を離れる。対峙していた相手も、俺達を追って教室の外へと出てきた。



「あとは任せたぞ、明久」


「しっかりやれよ!」



 本隊を率いた雄二と合流した後、明久に聞こえるようよく通る声で、壁の向こうに告げる。



 午後三時ジャスト。ここからの主役は、俺と雄二じゃない。

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