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バカとテストと転校生

原作: その他 (原作:バカとテストと召喚獣) 作者: のんの
目次

第四問①

 Dクラス代表 
   平賀源二 討死



『『『うぉぉーーっ!』』』



 その報せを聞いたFクラスの勝鬨とDクラスの悲鳴が混ざり、耳をつんざくような大音響が校舎内を駆け
巡った。



「凄ぇよ! 本当にDクラスに勝てるなんて!」


「これで畳や卓袱台ともおさらばだな!」


「ああ。アレはDクラスの連中の物になるからな」


「坂本雄二サマサマだな!」


「やっぱりアイツは凄い奴だったんだな!」


「坂本万歳!」


「姫路さん愛してます!」



 代表である雄二を褒め称える声がいたるところから聞こえてきた。

 その雄二はというと、がっくりとうなだれているDクラス生徒たちの奥で、Fクラスのクラスメイト達に
囲まれていた。



「坂本!握手してくれ!」


「俺も!」



 英雄扱いされる雄二。皆の喜びようを見ると、どれだけあの教室に不満を持っていたかがよくわかる。

 本当なら俺も雄二や皆と喜びを分かち合いたいところだけど、その前に今回の勝利の立役者である姫路さ
んの所に向かう。



「おつかれさま、姫路さん」


「あっ、竜崎君」


「ん、立てる?」


「あ、はい。ありがとうございます」



 安堵からか、その場にへたり込んでいた姫路さんに手を差し出す。

 姫路さんはにっこりと微笑むと、俺の手を掴み、立ち上がった。


「まさか姫路さんがFクラスだなんて……信じられん」


「あ、その、さっきはすいません……」



 姫路さんがDクラス代表の平賀の下へ駆け寄るので、俺もそれに着いて行く。

 それにしても、わざわざ謝ることなんてないのに……。姫路さんはなんて優しいんだろう。



「いや、謝ることはない。全てはFクラスを甘く見ていた俺達が悪いんだ」



 お、なんかこいつかっこいい。



「ルールに則ってクラスを受け渡そう。ただ、今日はこんな時間だから、作業は明日で良いか?」



 若干落ち込みながら平賀がそう言う。可哀想だが、これが代表の運命。勝てば英雄扱いだが、負ければ戦
犯として扱われる。仕方のないことだ。



「もちろん明日で良いよね、雄二?」


「いや、その必要はない」



 明久がそう聞くと、雄二は当然のようにそう返事をした。



「え? なんで?」


「Dクラスを奪う気はないからだ」


「雄二、それはどういうこと? 折角普通の設備を手に入れることができたのに」


「決まってるさ。雄二の……俺達の目標はAクラスだからな」



 明久の問いに、雄二の代わりに俺が答える。

 すると明久は何かを考える素振りをみせた。



「でもそれなら、なんで標的をAクラスにしないのさ。おかしいじゃないか」


「少しは自分で考えろ。そんなんだから、お前は近所の中学生に 『馬鹿なお兄ちゃん』 なんて愛称をつ
けられんだ」


「なっ! そんな半端にリアルな嘘をつかないでよ!」


「それは違うぞ雄二。近所の小学生だ」


「……人違いです」


「まさか……本当に言われたことがあるのか……?」


「……哀れだ」



 見下すように明久を見る俺と雄二。

 小学生にまで馬鹿扱いとは……さすが明久。俺の期待を裏切らない。

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