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バカとテストと転校生

原作: その他 (原作:バカとテストと召喚獣) 作者: のんの
目次

第二問②

「……明久、お前は知らんようだから言っておくがな、振り分け試験後に転入してきた生徒は学力に関わら
ずにFクラスに配属されるんだ」


「そうなの?」


「ああ。そうだよな、転校生?」


「ああ」


 雄二の言うとおり、振り分け試験後の転入生は、無理やりFクラスに配属される。

 非常に残念だ。そのことをもっと早くに知ることができていれば、振り分け試験の前に転入してきてたの
に。

 雄二の言葉に吉井は納得したような顔をする。……何故か島田さんと木下と土屋まで吉井と同じような表
情をしてるのが気になるけど。



「へぇ~。ところで、竜崎君って頭いいの?」


「智也でいいぞ? 同性から苗字で呼ばれるのはあんまり好きじゃないから」


「そう? じゃあ僕も下の名前でいいよ。よろしくね、智也」



 笑顔で手を出してくる吉井。



「ああ。よろしくな、え~と……明久、でいいのか?」


「ああ、うん。吉井明久だよ。改めてよろしく」


「おう」



 熱い友情の握手。うん、吉井……明久は多分いいやつだ。バカだけど。



「それで、改めて聞くけど、智也は頭いいの?」


「ふっ、明久よりは上だと言っておこう」


「……それ世界中の人類全てじゃないか」



 雄二の冷静なツッコミ。

 でも、さすがの明久でも小学生には負けないだろう……自信はないけど。


「…………土屋康太」



 と、吉井との挨拶が終わると、横から声。見ると、土屋康太ことムッツリーニが俺に向かって手を差し出
していた。それに応えるように俺はムッツリーニの手を握る。



「よろしくな、ムッツリーニ」


「…………人違い」


「そうなのか? なら、この写真集はいらないな?」


「…………俺がムッツリーニだ」



 俺がちらつかせた写真集を素早い動きで奪い取って、がっかりしているムッツリーニ。うん、おもしろい
奴だ。

 俺の持っていた写真集 『癒しねこ Vol3』 がよほど気に入らなかったのか、ムッツリーニは俺を
めちゃくちゃ睨んでいた。……可愛いのに、猫。



「わしは木下秀吉じゃ。よろしく頼むぞい」


「うちは島田美波よ。よろしくね、竜崎」


「私は姫路瑞希です。よろしくおねがいしますね」


「ぜひとも!」



 ムッツリーニがこの世の終わりみたいな顔で落ち込んでいる最中、美少女三人……おっと、美少女二人と
男一人がそれぞれに声をかけてくれる。

 本当に、今後とも良いお付き合いをしていきたい。……本当に。


「自己紹介はそんなもんでいいだろ。それより明久、開戦予定は午後からと伝えたな?」


「え? あ、うん。ちゃんと伝えたよ」


「それじゃ、先にお昼ご飯ってことね?」


「そうなるな。明久、今日の昼ぐらいはまともな物を食べろよ?」


「そう思うならパンでもおごってくれると嬉しいんだけど」



 一体どんな食生活を送っているんだろうか? 



「えっ? 吉井君ってお昼食べない人なんですか?」



 姫路さんが驚いたように明久を見る。おそらくだが、姫路さんは規則正しい生活をしてるんだろうな。

 ……いろいろと発育が良さそうだし。



「いや、一応食べてるよ」


「あれは食べていると言えるのか?」



 雄二の横槍が入る。



「何が言いたいのさ」


「いや、お前の主食って――水と塩だろう?」



 雄二の哀れむような声。
 …………ん? 水と塩?



「きちんと砂糖だって食べているさ!」


「あの、吉井君。水と塩と砂糖って、食べるとは言いませんよ……」


「舐める、が表現としては正解じゃろうな」


「……って言うか、それは食事でもなんでもねえよ」



 そんな食生活でよく生きていけるな、コイツは……。



「ま、飯代まで遊びに使い込むお前が悪いよな」


「し、仕送りが少ないんだよ!」



 あれ、何でだろう? 仕送りを漫画やゲームにつぎ込む明久が脳内で鮮明に再現される。

 もしかして、明久はカロリーを取らないと死ぬって言うことが分からないくらいバカなのか?



「……あの、良かったら私がお弁当作ってきましょうか?」


「ゑ?」



 突然の優しい言葉に俺は一瞬耳を疑った。


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