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バカとテストと転校生

原作: その他 (原作:バカとテストと召喚獣) 作者: のんの
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第二問③

 お弁当? 女の子の? 手作りの?



「本当にいいの? 僕、塩と砂糖以外のものを食べるなんて久しぶりだよ!」


「はい。明日のお昼で良ければ」


「良かったじゃないか明久。手作り弁当だぞ?」


「うん!」


「だが、残念だ。明久はその弁当を食べれない。何故なら――俺が殺すからだぁっ!!」


「うわっ!? 何? 何で智也は僕にボールペンを投げるの?」



 ちっ、外したか。残念だが今は生かしておこう。



「……ふーん。瑞希って随分優しいんだね。吉井だけに作ってくるなんて」


「あ、いえ! その、皆さんにも……」


「俺達にも? いいのか?」



 女神や~。ここに女神がおる~。



「はい。嫌じゃなかったら」


「それは楽しみじゃのう」


「…………(コクコク)」


「……お手並み拝見ね」


「あなたは神か?」



 これで姫路さん本人も含めると七人分。作るのが大変そうだ。



「わかりました。それじゃ、皆に作ってきますね」



 それなのに嫌そうな顔一つしない彼女。



「姫路さんって優しいね」


「そ、そんな……」


「今だから言うけど、僕、初めて会う前から君のこと好き──」


「おい明久。今振られると弁当の話はなくなるぞ」


「──にしたいと思っていました」



 変態だ。ここに変態がいる。



「明久。それでは欲望をカミングアウトした、ただの変態じゃぞ」


「明久。お前はたまに俺の想像を越えた人間になるときがあるな」


「お前、凄いよ。……いろんな意味で」


「だって……お弁当が……」



 涙を流す哀れな明久を見ていると、さすがに同情したくなった。

 ……今度何か食い物をやることにしよう。片栗粉辺りでも持ってくるか。


「さて、話がかなり逸れたな。試召戦争に戻ろう」



 おお、そういえばそうだった。すっかり忘れてた。



「雄二。一つ気になっていたんじゃが、どうしてDクラスなんじゃ? 段階を踏んでいくならEクラスじゃ
ろうし、勝負にでるならAクラスじゃろう?」


「そういえば、確かにそうですね」


「まぁな。当然考えがあってのことだ」



 雄二が鷹揚にうなずく。



「どんな考えですか?」


「色々と理由はあるんだが、とりあえずEクラスを攻めない理由は簡単だ。戦うまでもない相手だからな」


「え? でも、僕らよりはクラスは上だよ?」



 確かに明久の言うとおり、クラス分けが成績順になっている以上はEクラスが俺達Fクラスよりも振り分
け試験の点数は良い。それなのに戦うまでもないなんて。



「ま、振り分け試験の時点では確かに向こうが強かったかもしれないな。けど実際のところは違う。オマエ
の周りにいる面子をよく見てみろ」


「えーっと……」



 雄二に言われたとおりその場にいるメンバーを見渡す明久。



「美少女二人と馬鹿が二人と転校生が一人とムッツリが一人いるね」


「誰が美少女だと!?」


「ええっ!?雄二が美少女に反応するの!?」


「………… (ポッ)」


「……明久、俺は男だぞ?」


「ムッツリーニと智也まで!? どうしよう、僕だけじゃツッコミ切れない!」


「まぁまぁ。落ち着くのじゃ、三人とも」


「そ、そうだな」


「いや、その前に美少女で取り乱すことに対してツッコミいれたいんだけど」


「ま、要するにだ」



 コホン、と咳払いして雄二が説明を再開する。



「姫路に問題のない今、正面からやり合ってもEクラスには勝てる。Aクラスが目標である以上はEクラス
なんかと戦っても意味が無いってことだ」



 格下のクラス代表にここまで言われるとは……さすがにEクラスが可哀想になってきた。


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