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バカとテストと転校生

原作: その他 (原作:バカとテストと召喚獣) 作者: のんの
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第二問①

「騙されたぁっ!」



 吉井がそう叫びながら教室に転がり込んできた。よほど危ない目にあったのか、吉井は疲れきっているよ
うだ。
 
 そんな息を切らせてへたりこんでいる吉井に雄二が視線を落とし、



「やはりそうきたか」



 平然と言い放つ。



「やっぱりってなんだよ! 使者への暴行は予想通りだったんじゃないか!」


「当然だ。そんなことが予想もできないで代表が務まるか」


「少しは悪びれろよ!」



 そんなやりとりを交わす二人。こんな光景を見ていると、さすがに吉井が可哀想に思えてくる。



「吉井君、大丈夫ですか?」


「あ、うん。大丈夫。ほとんどかすり傷」



 ところどころ制服が破れている有様を見て、姫路さんが吉井を心配する。

 前言撤回。やはりこいつは殺すべきだ。



「吉井、本当に大丈夫?」



 姫路さんに続き、島田さんまで吉井の心配。

 会って間もない人にここまで殺意を覚えるのは初めての経験だ。


「平気だよ。心配してくれてありがとう」


「そう、良かった……ウチが殴る余裕はまだあるんだ……」



 殺意が急激に治まっていく。やっぱり吉井は可哀想な奴だった。



「そんなことはどうでもいい。それより今からミーティングを行うぞ。転校生、お前も来い」


「……おう?」



 何故か俺までミーティングに呼ばれる。周りにいた面々も、転校して間もない俺が呼ばれるのが不思議な
ようで、明らかに 「何で?」 といった視線を俺に向けてくる。

 そんな俺達を一瞥し、雄二は扉を開けて外に出て行った。どうやらほかの場所で話し合いをするらしい。

 仕方がないなと呟きながら、俺も雄二の後に続いた。


 雲一つない空から眩しい光が差し込む。
 風ではためく姫路さんのスカートを凝視している土屋を除いて、俺達はそろって目を細めた。



「明久。宣戦布告はしてきたな?」


「一応告げて来たけど……」



 雄二がフェンス前の段差に腰を下ろしたので、俺達も各々腰を下ろした。



「それで雄二、何で竜崎君を?」



 そんな中吉井が、雄二にそんな質問を投げかける。俺と雄二を除いた皆もそのことが気になるようで、視
線を雄二に集めた。

 雄二は、顎に手を当て何か考える素振りをしてから、 『まあいいか』 と呟いて、俺の方を見る。



「ああ、それはだな……」


「切り札だから……だろ?」


「!? ……気づいてたのか?」


「あ、当たり前じゃないか」



 いや、実際は適当に言っただけなのだが……まあいいや。



「「「 切り札? 」」」



 と、声を上げる五人。



「そうだ。転校生は我がFクラスの切り札だ」


「じゃが、何故竜崎が切り札なのじゃ?」



 時代背景の異なる口調で雄二に尋ねるのは、見た目美少女の木下だ。近くで見ると、男だと分かっていて
も可愛いと思える。



「ああ、転校生の学力、つまりは召喚獣の戦闘力なんだが、他のクラスの奴等にとっては未知数だからな。
やりようによってはAクラスレベルがもう一人いるように見せかけることができるってわけだ」



 要するにハッタリだな、と付け加える雄二。

 なるほど……そういうことだったのか。

 と、俺を含めた面々が、納得したような顔をする。



「ははは、馬鹿だな~雄二は。そんなことできるわけないじゃないか」



 しかし、吉井だけは反応が違った。



「ほう。何故だ?」


「だって、竜崎君が転校してきたのはFクラスなんだよ? それじゃあどうしようもないバカだって誰にだ
ってわかるじゃないか」



 胸を張って自信満々に言う吉井。どうしよう、警察にばれない殺害方法ってないのだろうか?


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