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バカとテストと転校生

原作: その他 (原作:バカとテストと召喚獣) 作者: のんの
目次

第九問③

「これで一対一ですね。次の方は?」


「あ、は、はいっ。私ですっ」



 こちらからは姫路さんが出る。



「それなら僕が相手をしよう」



 Aクラス側から歩み出たのは――誰だ?



「雄二。誰だ、あいつ?」


「ああ。久保利光。学年次席だ」


「へぇ……」



 学年次席か。ってことは、姫路さんとは点数の差はほとんどないはず。いや、連戦で疲れている姫路さん
のほうが、負ける可能性は高いかもしれない。



「科目はどうしますか?」


「総合科目でお願いします」



 高橋先生の問いに、久保がそう答える。

 さっきムッツリーニが科目を選択したから、今度はAクラスの番ではあるが……。



「ちょっと待った! 何を勝手に――」


「構いません」


「姫路さん?」



 クレームをつけようとする明久を止める姫路さん。大丈夫なんだろうか?



「それでは………」



 高橋先生が前と同じように操作を行う。

 それぞれの召喚獣が喚び出されて──一瞬で決着がついた。



総合科目

Aクラス久保利光
       3997点
    VS

Fクラス姫路瑞希
       4409点



「マ、マジか!?」


「いつの間にこんな実力を!?」


「この点数、霧島翔子に匹敵するぞ……!」



 至るところから驚きの声があがる。

 点数差400オーバー……さすがは姫路さんだ。



「ぐっ……! 姫路さん、どうやってそんなに強くなったんだ……?」



 久保が悔しそうに姫路さんに尋ねる。当然だな。学年次席ともあろうものが、ここまで点差をつけられた
のだから。



「……私、このクラスの皆が好きなんです。人の為に一生懸命な皆のいる、Fクラスが」


「Fクラスが好き?」


「はい。だから、頑張れるんです」



 姫路さんの嬉しい台詞。

 そっか。姫路さんはこのFクラスが好きなのか。こんな馬鹿でむさ苦しい男だらけのクラスが。その中に
は、俺も含まれているわけで、そう思うととても温かい気持ちになってくる。

「これで二対一です。次の方」



 高橋先生の表情にも微妙な変化が見られる。姫路さんの成長に驚いたのか、あるいはFクラスがAクラス
とまともに張り合ってることに戸惑いを隠せないのだろう。



「転校生、決めてこい」


「……ああ、任せろ」



 これで俺が勝てば、この戦争はFクラスの勝利になる。責任重大だ。



「智也、頑張るのじゃぞ」


「がんばって、智也!」


「頑張ってくださいね、竜崎君」


「任せろ! もし負けたら、今度何か奢ってやんよ!」


「ホント!? 智也! 負けるんだ!」


「最低だなお前はっ! ……まあいい」



 薄情な友人を背に、前に出る。

 さて、対戦相手は……っと。



「……私が行こう」



 Aクラスの生徒の後ろから、一人の生徒が前に出てくる。



「…………っ!?」


「久しぶりだな……竜崎、智也……」


「…………あ~……うん。そうだな」



 俺に鋭い視線を向けてくる目の前の少女。

 腰まで伸びた金色の髪に整った顔立ち、低身長で凹凸のない身体も相まってか、黙っていれば人形のよう
にも見える。



「教科は何にしますか?」


「古典で」 「数学だ!」


「「…………」」



 高橋先生の問いに、俺と金髪は同時にそう答えた。



「……貴様、私が古典苦手なのを知っておるだろう!」


「馬鹿か? これは戦争なんだ、敵の弱点をつくのは当然だろう? ってか、お前だって俺の苦手な数学選
んでんじゃねえか!」


「ふんっ! これは戦争なんだ、敵の弱点をつくのは当然だろう?」


「……お前、相変わらず性格悪いな」


「貴様に言われたくないわっ!」



 睨みあう俺と金髪。

 やっぱり、こいつは変わってなかった。




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