21
しのぶが悔しそうに拳を握り締めたとき、ゆりえの目がゆっくりと開かれた。
「ぁ…ここ…は…?」
玄弥「あっ!」
実弥「起きたかァ!」
しのぶ「ゆりえさんっ!」
目を開けると見慣れない天井が目に入りました。
ここはどこでしょうか。
嗚呼、この声は…
また新たな雇主か…それとも何処かに捕まったのでしょうか…。
起き上がらなければなりませんね。また人を不快にさせてしまいます。
「申し訳ありません。ご迷惑をおかけしました。」
何か迷惑をかけてしまったに違いありません。
謝らなければなりません。
しのぶ「また毒を摂取しましたね?!」
「…また、とは…?」
どこか様子のおかしい彼女にしのぶ達は眉を潜めた。
しかしそんなこともお構いなしにゆりえは立ち上がるとキョロキョロと出口を探しているようだった。
しのぶ「まだ安静にしてないといけませんよ!」
しのぶの言葉に反応することもなく、近くにいた玄弥に「出口はどこですか?」と書いた。
玄弥「だめですよっ!まだ安静にしてないとってしのぶさんも…」
「あぁ。そうでした。」
ゆりえはそう言うと懐から札束を出すとすっと膝をつき布団の前にそれを置いた。
「ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。お布団の弁償代と手当てをしていただいた代金、ご迷惑をおかけしてしまった分のお金です。申し訳ありませんでした。」
そう言って額を地面につけた後また立ち上がり庭に続く襖を開けた。
しのぶ達がそれを追うもす早すぎて追い付けたのはゆりえが庭に出た瞬間だった。
そのまま逃げてしまうのでは、とおもったがゆりえは一点を見つめたまま立ち尽くしていた。
その視線の先には以前柱稽古の時に自分が的にされていた木だった。
そしてしのぶ達が近づこうとしたその時、頭を抱えてその場に蹲ったと思えばそのまま倒れてしまった。
しのぶ・玄弥・実弥「「ゆりえさん!!/ゆりえ!」」
3人が駆けつけ、実弥が体を起こしてやると今度はすぐに目を覚ました。
「…っ!!」
目の前の実弥を見るなり声にならない声を出したかと思うと顔を真っ青にして怯えた顔をしていた。
そしてゆっくりと実弥の腕から離れると先程まで見つめていた木のほうにゆらりと歩いて行った。
玄弥「ゆりえさん…?」
暗い表情のまま自分を木に貼り付けにしてただ俯いた。
しのぶ「なにを…しているんですか…?ゆりえさん…」
しのぶがあおざめた顔で言うもゆりえを見ると小さく震えているだけで何も答えなかった。
玄弥「あ….柱稽古の時と一緒だ…」
玄弥の言葉にはっとした実弥はばっと立ち上がるとゆりえの元に駆け寄った。
実弥が近づくとより一層体を硬らせてうつむいた彼女に実弥は奥歯を噛み締めた。
実弥「悪かったァ…俺が間違ってたんだァ…もうそんなことすんなァ…」
実弥がそう言って貼り付けにした紐を解いてやるとゆりえはその場に崩れ落ち、実弥の目の前で震えて土下座をしていた。
「申し訳ありません…もう失敗しませんから…どうか、どうか私を働かせて下さい…」
しのぶ「ゆりえさん…?」
しのぶと玄弥が駆け寄ってしのぶがゆりえの肩に手を置くとびくっと体を硬らせた。
「もう…何も…何も望んだりしませんから…。」
様子がおかしい彼女に声をかけたのは玄弥だった。
玄弥「ゆりえさん、俺たちの事、わかりませんか?」
しのぶ・実弥「!!」
「私を雇ってくださる方ですよね…。申し訳ありません。名前は伺えなかったので存じ上げません…申し訳ありません…」
玄弥「謝らなくて大丈夫ですよ。えっと…鬼殺隊のことはわかりますか?」
玄弥がそういうとびくっとした後に口を開いた。
「鬼を狩るお仕事をされてる方々のことですよね…。私も一度は雇って頂いたのですが…。今は一人で鬼狩りをしています。…村でお世話になった方々のお役に立たなければなりませんし…。それくらいしか私の価値はないので…。ですが日中はしっかり働きますのでどうか…働かせて下さい…。」
彼女がそう言った時、3人は顔を見合わせた。
しのぶ「お館様に報告をしなければなりませんね…。これは、記憶障害かもしれません…」
そしてすぐにしのぶは屋敷を出て行こうと支度を始めた。
しのぶ「では不死川さん。玄弥くん。少しの間ゆりえさんをよろしくお願いします。」
しのぶはそういうと颯爽と屋敷を出ていった。
実弥「おいっ、胡蝶………ッチ…」
しのぶを呼び止めようとしたが少し遅く、行ってしまったことに舌打ちをした不死川にゆりえは青い顔をしていた。
「申し訳ありません…私がいたばかりに…」
そういうとその場で地面に頭をつけて震えていた。
玄弥「あ!違いますよ!兄ちゃんは怒ってなくて!」
「いえ…私が悪いんです…。」
実弥「お前のせいじゃねェ。」
実弥はそう言うとゆりえに背中を向けた。
その様子に更に小さくなる彼女に声をかけた。
実弥「飯にすんぞォ」
「っ!! は、はいっ、すぐに準備致しますっ」
そう言って屋敷を出ようとするゆりえの腕を実弥が掴んだ。
実弥「どこ行くつもりだァ」
玄弥「に、兄ちゃん、怖いよ…」
実弥「っ…」
「ぁ…ここ…は…?」
玄弥「あっ!」
実弥「起きたかァ!」
しのぶ「ゆりえさんっ!」
目を開けると見慣れない天井が目に入りました。
ここはどこでしょうか。
嗚呼、この声は…
また新たな雇主か…それとも何処かに捕まったのでしょうか…。
起き上がらなければなりませんね。また人を不快にさせてしまいます。
「申し訳ありません。ご迷惑をおかけしました。」
何か迷惑をかけてしまったに違いありません。
謝らなければなりません。
しのぶ「また毒を摂取しましたね?!」
「…また、とは…?」
どこか様子のおかしい彼女にしのぶ達は眉を潜めた。
しかしそんなこともお構いなしにゆりえは立ち上がるとキョロキョロと出口を探しているようだった。
しのぶ「まだ安静にしてないといけませんよ!」
しのぶの言葉に反応することもなく、近くにいた玄弥に「出口はどこですか?」と書いた。
玄弥「だめですよっ!まだ安静にしてないとってしのぶさんも…」
「あぁ。そうでした。」
ゆりえはそう言うと懐から札束を出すとすっと膝をつき布団の前にそれを置いた。
「ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。お布団の弁償代と手当てをしていただいた代金、ご迷惑をおかけしてしまった分のお金です。申し訳ありませんでした。」
そう言って額を地面につけた後また立ち上がり庭に続く襖を開けた。
しのぶ達がそれを追うもす早すぎて追い付けたのはゆりえが庭に出た瞬間だった。
そのまま逃げてしまうのでは、とおもったがゆりえは一点を見つめたまま立ち尽くしていた。
その視線の先には以前柱稽古の時に自分が的にされていた木だった。
そしてしのぶ達が近づこうとしたその時、頭を抱えてその場に蹲ったと思えばそのまま倒れてしまった。
しのぶ・玄弥・実弥「「ゆりえさん!!/ゆりえ!」」
3人が駆けつけ、実弥が体を起こしてやると今度はすぐに目を覚ました。
「…っ!!」
目の前の実弥を見るなり声にならない声を出したかと思うと顔を真っ青にして怯えた顔をしていた。
そしてゆっくりと実弥の腕から離れると先程まで見つめていた木のほうにゆらりと歩いて行った。
玄弥「ゆりえさん…?」
暗い表情のまま自分を木に貼り付けにしてただ俯いた。
しのぶ「なにを…しているんですか…?ゆりえさん…」
しのぶがあおざめた顔で言うもゆりえを見ると小さく震えているだけで何も答えなかった。
玄弥「あ….柱稽古の時と一緒だ…」
玄弥の言葉にはっとした実弥はばっと立ち上がるとゆりえの元に駆け寄った。
実弥が近づくとより一層体を硬らせてうつむいた彼女に実弥は奥歯を噛み締めた。
実弥「悪かったァ…俺が間違ってたんだァ…もうそんなことすんなァ…」
実弥がそう言って貼り付けにした紐を解いてやるとゆりえはその場に崩れ落ち、実弥の目の前で震えて土下座をしていた。
「申し訳ありません…もう失敗しませんから…どうか、どうか私を働かせて下さい…」
しのぶ「ゆりえさん…?」
しのぶと玄弥が駆け寄ってしのぶがゆりえの肩に手を置くとびくっと体を硬らせた。
「もう…何も…何も望んだりしませんから…。」
様子がおかしい彼女に声をかけたのは玄弥だった。
玄弥「ゆりえさん、俺たちの事、わかりませんか?」
しのぶ・実弥「!!」
「私を雇ってくださる方ですよね…。申し訳ありません。名前は伺えなかったので存じ上げません…申し訳ありません…」
玄弥「謝らなくて大丈夫ですよ。えっと…鬼殺隊のことはわかりますか?」
玄弥がそういうとびくっとした後に口を開いた。
「鬼を狩るお仕事をされてる方々のことですよね…。私も一度は雇って頂いたのですが…。今は一人で鬼狩りをしています。…村でお世話になった方々のお役に立たなければなりませんし…。それくらいしか私の価値はないので…。ですが日中はしっかり働きますのでどうか…働かせて下さい…。」
彼女がそう言った時、3人は顔を見合わせた。
しのぶ「お館様に報告をしなければなりませんね…。これは、記憶障害かもしれません…」
そしてすぐにしのぶは屋敷を出て行こうと支度を始めた。
しのぶ「では不死川さん。玄弥くん。少しの間ゆりえさんをよろしくお願いします。」
しのぶはそういうと颯爽と屋敷を出ていった。
実弥「おいっ、胡蝶………ッチ…」
しのぶを呼び止めようとしたが少し遅く、行ってしまったことに舌打ちをした不死川にゆりえは青い顔をしていた。
「申し訳ありません…私がいたばかりに…」
そういうとその場で地面に頭をつけて震えていた。
玄弥「あ!違いますよ!兄ちゃんは怒ってなくて!」
「いえ…私が悪いんです…。」
実弥「お前のせいじゃねェ。」
実弥はそう言うとゆりえに背中を向けた。
その様子に更に小さくなる彼女に声をかけた。
実弥「飯にすんぞォ」
「っ!! は、はいっ、すぐに準備致しますっ」
そう言って屋敷を出ようとするゆりえの腕を実弥が掴んだ。
実弥「どこ行くつもりだァ」
玄弥「に、兄ちゃん、怖いよ…」
実弥「っ…」
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