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山姥切国広極めたらもう一人増えました

原作: その他 (原作:刀剣乱舞) 作者: レジス
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買い物


「堀川、山伏!」
書類整理を終えて二人のいる部屋に向かうと各々自由に過ごしていたらしい彼等は嬉しそうに微笑んだ。
「いらっしゃい国姫」
「よく来たのである」
「用事があるって聞いたのだけど……」
私が言うと二人は頷いた。
「国姫はまだ万屋って行ったことないでしょ?だから一緒に行ってみようかと思って」
「護衛は拙僧に任せるがいい」
「ね、どうかな?」
初対面があんなに酷かったのに二人は私に歩み寄ろうとしてくれている。
それを感じで胸が熱くなった。
「うん、行こう!」
「よし決まりだね!あ、その布は置いて行って」
「え、なんで?!」
笑顔で布を奪われてしまう。
「国姫また裾引きずって歩いたでしょ?汚いから洗おうね」
「う……」
この体は山姥切国広より若干背が低いせいかよく布の裾を引きずってしまうのだ。
だからすぐ洗おうと言われる。
元イケメン山姥切フェイスを大衆の目に晒すことになるのでこれで外出するのは控えたいのだが……
「お、お願いだから買い物の後にしてくれないかな?」
「駄目だよ」
「ああああああ……」
私の願いは聞き入れられることなく布は洗濯籠に放り込まれてしまった。

****

「うぅ……視線が痛い」
結局そのまま本丸から連れ出されてしまい好機の視線に晒されている。
レアな顔出し山姥切のうえ女性という亜種が歩いていたら見ないわけがない。
「ごめんね国姫」
「謝るなら布をください……」
「それはダメ」
「なんで?!」
「ほら、目的地に着いたよ」
そう言って堀川が立ち止まったのは服屋の前だった。
「服……?」
「そうである」
「ほら、国姫ってば兄弟と同じ服ばかり着てるじゃない?女の子なんだから他にも服を持ってていいと思うって主さんに言ったら買ってくるといいよって」
祭さんも一枚かんでたのか!
堀川と山伏に手を掴まれて服屋に入っていく。
中は意外と広くて、術式で空間をいじっているのかもしれない。
「さぁ選んできて」
そう言って背を押される。
「え、でも私お金持ってないし……」
「それは主さんから預かってきてるから大丈夫」
oh逃げ場無し!!
「じゃあ僕たちはそっちのほうにいるからね」
「あ、うん」
観念して私は近くにあった洋服を手に取る。
真っ白なワンピース、これは派手かな……いやでも今は山姥切国広フェイスなんだからわりといけるのかもしれないな。
でも後で山姥切国広に何か言われそうだったので服を戻した。
普通のレベルの服を何着か選んでカゴに入れる。
「あ」
通り過ぎそうになったコーナーの前で慌てて立ち止まった。
まさかの下着コーナー……
もしや二人はここに立ち寄ることも考えて離れた場所に待機しているのだろうか。
気遣いに気付かなかったことに申し訳なくなり私はそそくさと下着を選んでカゴに入れた。
「すまない、時間がかかった……それは?」
急いで二人の元に向かうとその手に何着か服が持たれている。
「あぁ、兄弟と話してて国姫に似合いそうだなって思ってさ」
「いや、私の分はすでに選び終わりましたけど?」
「これもついでに、ね?」
そう言って無理矢理カゴに突っ込まれてしまった。
そして取り出す間もなくカゴを山伏に奪われてしまう。
二人はそのままズンズンと会計に進んでいく。
強引だな!!
と思いながらも私は後をついていく。
特に何もなく会計を済ませ店を出るとちょっと驚く光景に出会う。
おそらくうちの本丸の長義が短刀の子に絡まれている。
「ねぇお願い!」
その子はゲームでお世話になっていたから覚えている。
髪の長い女の子のような短刀で乱藤四郎だ。
乱藤四郎は長義の腕を掴んで何かを言っていた。
「そんな事言われても無理だってわかってるだろ?」
「でもっ!」
何か焦っている様子の乱藤四郎を見て私は放っておけないと思った。
「長義!」
そう呼ぶと長義がこちらを見る。
堀川と山伏も乱の様子がおかしいことに気が付いたみたいで少し警戒していた。
「どうしたの長義」
そう言って近づくと乱藤四郎が私の方を見る。
すると何かに気が付いたようで驚いた表情を見せた。
「山姥切……のお姉ちゃん?」
「うん、どうしたのかな?」
乱藤四郎に聞けば彼は少し悩んだ様子を見せ、口を開く。

聞いた内容はこうだ。
山姥切マニアの主は常に山姥切国広(通常)と(極)を傍に置いているが、少し前に山姥切長義が実装された時聚楽第の任務で実力不足とされて入手できなかった。
それからは山姥切長義を連れている審神者を見るたびに発狂して絡み厳重注意を喰らうなど通常の本丸運営ができなくなっている。
刀剣に対しても「長義が手に入らなかったのはお前らのせいだ!」と乱暴を振るうようになり短刀は特にひどい仕打ちをうけている。
だから乱藤四郎は主を落ち着かせるために本丸に来てくれる山姥切長義を探していたらしい。

完全に真っ黒な案件じゃないですかーやだー。
だから長義も無理だと言っていたのか。
「それはここではなく政府に相談する内容じゃないかな?」
「それはダメ!政府にバレたら皆を折るって……」
「胸糞悪い話だね」
そう言って長義が端末を取り出してどこかへ連絡をし始める。
まさか政府に?と乱藤四郎と二人で慌てるが堀川になだめられた。
「あぁ、主か?実は……うん、わかった。一回戻る」
完結に内容を伝えた相手は祭さんだったようだ。
安心して息をついた。
電話を終わらせた長義が乱藤四郎を見る。

「この件は穏便には済ませられそうにない、君には一度俺たちの本丸に来てもらうよ」
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