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山姥切国広極めたらもう一人増えました

原作: その他 (原作:刀剣乱舞) 作者: レジス
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山姥切長義


落ち着かない様子の乱藤四郎をつれて本丸に帰ってきた。
来客用の部屋に通してお茶を出す。
しかし対応に慣れていないのか手をつけようとしない。
「お待たせー準備に手間がかかっちゃって」
そう言って祭さんが部屋に入ってくる。
手には何枚か書類を持っていた。
「あ、あの……!」
意を決して何かを言おうとした乱藤四郎の言葉を遮って祭さんは言う。
「政府担当の方々と協議した結果、貴方の主を試すことになりました」
「え……」
「主、政府に知られたら乱の仲間が……!」
折られてしまう。と私が言うと祭さんは手に持った書類を机の上においた。
「でもそちらの主にとってはまたとない機会のはずよ」
書類には『再度聚楽第の調査を任命する』と書かれていた。
聚楽第ってあれよね、成果次第で長義が本丸に配属される任務。
それをもう一度やるということらしい。
「ただし、派遣されるのはうちの長義と国姫の二人よ。ちゃんと通常の本丸運営ができると判断されれば本当に山姥切長義を配属させるけどもしもブラック本丸に認定されたら審神者の資格をはく奪します」
「待ってくれ、なんで国姫まで!」
長義が待ったをかける。
確かに、なんで私も行くことになってるんだろう。
相も変わらず練度は1のままだし、役に立てることなんてないと思うんだけど。
「なんでって。山姥切マニアなんでしょ?だったら誘惑材料が多い方が試しやすいと思って」
「思って、じゃない!国姫に何かあったらどうするんだ!!」
モンペ長義、ついにキレる。
「何かないように一緒に行くんでしょー」
「仕事振りが無茶ぶりすぎだろ」
「まぁ落ち着けお母さん」
「誰がお母さんだ!」
場を和ませようとしたのか山姥切国広が長義をお母さんと呼んだ。
確かに、長義は面倒見がいいのでお母さんみたいだ。
と一人心の中で頷いていた。
「大体こういう無茶ぶりを止めるのが近侍の役目だろ?!」
「主がそれくらいで止まるはずない」
「開き直るな脳筋!」
あー!と頭を抱えてしまう。
「君も少しは拒否というものをしたほうがいいぞ?!」
おっとこんどはこっちに矛先が向いた。
私は困った表情でやりとりを見守っている乱藤四郎と顔を合わせる。
「私は国姫、よろしくね」
「あ、うん……よろしく」
「自由か!!ここには自由な奴しかいないのか!!」
ひとしきり叫んだ長義は自分を落ち着かせるように深呼吸をし始めた。
その様子を見て祭さんは笑っている。
「じゃあ準備を整えたら政府に行くよ」
祭さんの言葉に私は頷いたのだった。

****

「おー……」
待ち合わせ場所に現れた長義はいつもの姿と違っていた。
布を被っている長義の姿が珍しくて声が出る。
「なんだ」
「いや、何それ仮面?」
フードでただでさえ顔が見えないのにさらに隠すように仮面のようなものをつけていた。
「これが監査官としての姿なんでね」
「監査官……私も顔隠したほうがいいの?」
今私は綺麗になったぴかぴかの布を被っているのだけれどもっと顔を隠した方がいいのだろうか。
「いや、君は山姥切国広として行くんだからそのままでいい」
「そっか。わかったよ」
「あとはこれを持っていてくれ」
そう言って何かを手渡される。
よく見るとお守りのようなものだった。
「一度だけ刀剣破壊を防いでくれるお守りだ」
「え、そんなすごいものを私が持っていてもいいのかな?」
「君のために注文したらしいからね。いいんだろう」
「わかった。大事にする」
ぎゅっとお守りを握りしめると長義は苦笑する。
「もしもの時は迷わず使うものだからな」
そう言って長義は転送装置のほうへと向かう。
転送装置の前に祭さんと山姥切国広、乱藤四郎はいた。
「長義、国姫準備はいい?」
「あぁ、大丈夫だよ」
「大丈夫です」
「じゃあ行くよー」
そう言って祭さんがカチカチと転送装置の操作をする。
装置が光を放って次の瞬間には政府施設の中にいた。
いつ体験してもこの瞬間移動には慣れない。
「あぁ祭さんいらっしゃい」
「藤さん、来ましたよー」
祭さんが待っていたらしい政府の制服を着た人と話をし始める。
「今回のは特例ですよ?件の本丸に対して聚楽第再調査の先駆けとして実施することになりました。ですので何か予測不能な事態が起こる可能性もありますのでそこは注意してください」
「それは向こうの審神者には?」
「伝えてあります」
「反応はどうだった?」
「大喜びでしたね。今度こそ山姥切長義が手に入ると」
その言葉に祭さんが渋い顔をする。
「聚楽第の調査は任務なんだけどなぁ……そこの審神者わかってるんだろうか」
ボソリとつぶやかれたその言葉に政府役人は苦笑いをした。
「乱、あなたの本丸ってどんな所なの?」
「え?えっとね……レア刀は少ない、かな。でも皆練度は高くて任務は回せてる。ただ政府からの特別任務に対して主のやる気が少なくて……」
なるほど、だから特別任務で手に入るレア刀剣が少ないのか……イベントガチ勢ではないようだ。
エンジョイ勢かな?
「なるほど」
「あ、でも一兄はいるよ!」
「いちにぃ?」
「藤四郎たちの兄、一期一振だ。うちの本丸にもいるだろう」
「いちご……いちご……あぁあの青いお兄さんか」
確か畑仕事で一緒になったことがあった。
その時はこまめに水分補給するんだよとか細かい気配りを受けた気がする。
確かにお兄ちゃんぽい人だ。
「でも主の最近の行動のせいで少し荒れ気味なんだ」
「一期一振が?それはもうアウトなんじゃないか?」
「そんなにマズイことなの?」
私の言葉に長義は頷いた。
「王子様を絵に描いたような性格をしているからね」
「王子様……」
うちの本丸の一期一振さん、そんな人だっただろうか。
確かに優しくされたけど王子様かと言われたらそうじゃない、近所のお兄ちゃんくらいの印象なんだが。
「まぁとりあえず行ってみればわかる」
その言葉にわりと楽観的に考えていた私は後にこれを後悔することになる。
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