演練
「演練?私がですか?」
「えぇそうなの」
私が祭さんの本丸にお世話になって数日が経とうとしていた。
執務室で書類整理の手伝いをしていた所祭さんにそう切り出されたのだ。
演練ってあれじゃろ?大太刀並べて相手を瞬殺するやつ。
「でも私の練度じゃ……」
まだ一回も出陣していないため練度は1のままだ。
この状態で演練に出た所で大した戦力にならないのは目に見えている。
「何も戦えってわけじゃないの。一緒に行くだけでいいのよ」
「戦わないのに何故?」
私が問いかけると祭さんは申し訳なさそうな表情になった。
「とりあえず貴女のことを担当さんに報告したらそのさらに上司の目に止まっちゃったらしくてね。ぜひ演練に連れてきて欲しいって言われちゃったのよ。さすがに上司のお願いは断れなくて……ごめんね」
「あ、謝らないでください!」
「でも、普通と違う貴女には嫌な思いをさせると思うわ」
「……嫌でも目立つってわかっています」
刀剣男士ではなく刀剣女士、目立たないわけがない。
見世物のようになってしまうことを心配してくれているのだろう。
「だから、ごめんね?」
「大丈夫です」
「心配するな。俺も長義も一緒に行く」
一緒に書類整理をしていた山姥切国広が言った。
なぜ山姥切長義も一緒にいくから心配ないのだろう?
よくわからないけど頷いておいた。
「じゃあ演練は午後の部だから準備しておいで」
「あ、はい。わかりました」
そう言って私は執務室を後にする。
****
「主」
「……ごめんね。安価には逆らえなくて……」
「また!スレを!立てたのか!!」
「ごめんてぇえええだって国姫可愛いんだもんんん!!」
「お前自体がトラブルお取り寄せ体質だってこと忘れてないか?!」
「だから山姥切と長義に国姫の護衛をお願いしますぅうううう!!」
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【うちの子】山姥切国広の亜種を愛でるpart2【可愛い】
251 祭好き審神者
【速報】三日月宗近が釣れる
252 名無しの審神者
お前はもう山国に怒られて
253 名無しの審神者
ナニゴトwwwwwww
254 名無しの審神者
くっそ仕事が終わらヌェー!!!生国姫見たいよぉおおおお!!!
255 祭好き審神者
安価に従って演練に出るじゃろ?
受付済ませるじゃろ?
国姫見当たらないじゃろ?
三日月宗近に壁ドンされてた。←イマココ
256 名無しの審神者
イマココじゃねーんだよ
257 名無しの審神者
ちょ、早く助けてあげて!!
258 名無しの審神者
俺その現場見てるマン。
なんと長義が三日月に殴りかかる。
259 祭好き審神者
長義「うちの子に何してるんだい」
三日月「もちろん口説いている。なぁ山姥切や、じじいの所に来ておくれ?」
国姫「え?え?じじい?え?」
長義「もちろん不可だよ!!!」
260 名無しの審神者
モンペと化した長義
261 名無しの審神者
国姫混乱するところ違うwwww
262 名無しの審神者
確かにあの見た目でじじいとか言われたら混乱するよな……
263 名無しの審神者
【速報】三 日 月 の 審 神 者 参 戦
264 名無しの審神者
265 名無しの審神者
266 名無しの審神者
267 名無しの審神者
え、なんで?!
268 祭好き審神者
なんか三日月よりも俺の方が彼女の事を愛している!!とかほざいてる。
269 名無しの審神者
う、うわぁ
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どうしてこんなことになってしまったんだろう。
私は少ないCPUでひたすら原因を考えたが思い当たらない。
「国姫さぁあああん!」
「えぇい!呼ぶな!見るな!」
見知らぬ男性が私の名を呼び、祭さんが私を守るように間に立ちはだかり長義が青い衣を着た人を牽制しているこの状況は一体なんなのか。
「安心しろ国姫。お前はどこにもやらないからな」
「山姥切……」
私を安心させようとしてか山姥切国広が肩に手を置いた。
「あぁ、怯えている姿も可愛いいいいい!」
そう言って男性が身悶えしているが私は別に怯えていない。
ただ困っているだけだ。
「あの、すみません……あなたたち、誰ですか?」
意を決してそう言えば男性と青い衣の人の動きが止まる。
祭さんはナイス!と私を褒めた。
「さ、審神者よ……そっちの本丸に俺はいないのか……?」
「いるけどいつも内番着だからわからないんだよ」
祭さんの言葉に青い衣の人は膝から崩れ落ちる。
私は首を傾げた。
こんな人、本丸にいただろうか?
「ほら、いつも茶菓子を一緒に食べてる青い方だ」
山姥切国広に言われて思いだした。
そういえば私が通りかかるといつも茶菓子をくれる二人組の片方に顔がそっくりだ。
「え、でも名前わからない……」
「三日月だ。三日月宗近」
「あ、あぁ。確かそんな名前の人いた」
祝いの席で自己紹介してくれた人にいた気がする。
でも青い衣を着ていたのがその時だけでそれ以降は内番着の姿だったので頭の中で姿と名前が結びついていなかったのだ。
ようやく思いだした私の様子に向こうの三日月宗近は安心したように立ちあがった。
「ま、まぁこれから俺を知ってもらえばいいか……」
「だから国姫はやらないって言ってるからね?!」
「そ、そうだよこれから知ってもらえばいいんだ!」
お前誰だよショックから立ち直った男性がそう言って私の方へ一歩近づいてくる。
祭さんが警戒したように私を後ろにかばおうとするがその手を避けて隣に立つ。
「ごめんなさい」
そう言って頭を下げた。
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