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山姥切国広極めたらもう一人増えました

原作: その他 (原作:刀剣乱舞) 作者: レジス
目次

山姥切国広と亜種

「……ぃ……ぉい!……」
誰かの声がする。
そう認識した瞬間体中の感覚が戻ってきた。
誰かが私の体を揺すっている。
少し思い瞼を開けると眩しいほどの金の髪が見え、翠の瞳と目が合った。
「……ん?」
なんで山姥切国広が目の前にいるの?
混乱していると目覚めた私に安堵したのか山姥切国広は息を吐いて、上体を起き上がらせてくれる。
「大丈夫か?仲間は?近くにいないのか?」
矢継ぎ早に聞かれて驚いた。
山姥切国広ってこんなにグイグイくるタイプだったっけ?
「ま、待って!仲間は……いない……」
「なんだって?一人なのか?」
その問いに私は頷きで答える。
「顕現済みの俺がなぜこんな所にいるんだ……?」
どうやら見た目は違っても山姥切国広と認識してくれているらしい。
困ったように聞かれて私は首を横に振った。
「わからない」
「わからない、だって?」
私がそう言えば彼は少し悩んだ素振りを見せてから立ち上がるように言ってくる。
「もしも行く宛が無いのなら俺と一緒に来い」
「いいの……?」
見るからに面倒な案件な私を彼の独断で連れて行っていいのだろうか。
そう思って聞けば彼は安心させるように私の頭を撫でる。
「心配するな。俺の主は頼まれると断れないたちなんだ」
それはお願い(強制)なのでは……。
やっぱりこの山姥切国広私の知る山姥切国広とちょっと違う?
「あれ、そういえば布はどうしたんだ?」
目の前にいる山姥切国広はいつもの布を纏っていなかった。
もしかして無くしたのだろうか?であれば私の布を貸してもいいのだけど。
そう言えば彼は私を安心させるように微笑んだ。

そう、微笑んだのである。

「っ!!!」
なんだこの微笑みの爆弾は!!
イケメンつよい。
「俺は修行帰りでな。もう写しだなんだと気にすることは止めたんだ」
「修行……?」
なんだそれ。
ゲーム始めたばかりの私にはわからない単語だぞ。
もしかしてゲームを進めて行けば分かったのだろうか?
というか写しコンプレックス克服しとるやないかい。
「修行を知らないのか?心配するな。お前も練度が60を超えれば行ける」
「し、心配なんてしてない!」
Oh…練度60とかまだ一人もなってなかったからわからないシステムで当然だった。
「とにかく、俺のいる本丸にくるといい」
「う、うん……いく」

そうして私は彼について行くことになった。
修行帰り、練度60を超えていたからだろうか途中何度か遡行軍に襲われたけれど瞬殺してみせた。
私も戦って練度を上げようと思ったのだけど敵の練度のほうが高いし一緒にいるだけで少しは経験値が入ってくると言われたら大人しくついていくしかなかった。
数時間かけて歩いて行くと小さな鳥居の前にたどり着く。
「これがゲートだ。端末に打ち込んだ情報の場所に行くことができる」
そう言って端末を操作してみせる。
するとブゥンと音を立てて鳥居の中の空間が渦巻いた。
まるでどこでも○アだな。
山姥切国広に手を引かれて鳥居をくぐると景色が一気に変わる。
目の前に大きな門があって、一目で広い屋敷だとわかった。
「ここが俺の本丸だ」
少し誇らしそうに紹介してくれた彼は門をくぐって玄関の方へ向かっていく。
慌てて後をついて行った。
ガラガラと横開きのドアを開けるとそこには審神者らしき女性と数人の刀剣男士がいるのが分かった。
見たことのない刀剣男士のほうが多いので誰だかわからない。

「おっかえりー!!!山姥切!!!」
困惑している私の前に立つ山姥切国広に向かって審神者が飛びついた。
それをよろけず受け止める彼はカッコいいと思います。
「あぁ、今帰ったぞ」
そう言って審神者を抱きしめる。
途端に周囲からヒュ~と囃し立てる声が。
え、何。ここの審神者とそういう関係なん。
こんなに綺麗な人とそういう関係とかちょっと羨ましいじゃん。爆発して?
「主、帰って早々で悪いが話があるんだ」
「ん。その子の事?」
山姥切国広から離れた審神者の視線が私の方を向く。
その瞳はとても澄んでいて、不思議と心の中まで覗かれているような気分になった。
周囲の視線も集まって、居心地の悪さから山姥切国広の背後に隠れる。
「あぁ、ごめんね。皆この子は大丈夫だから。大広間に戻ってて」
そう審神者が言えばハーイと返事をして刀剣男士達はどこかへ去って行く。
「二人はこっちへ」
審神者に言われて私たちは一室に通された。
書類の山ができているところを見ると執務室か何かだろうか。
落ち着き無く部屋を見渡している私を見て山姥切国広は何を思ったのか少し笑った。
「執務室に入るのは初めて?」
「あ、はい」
「そう」
審神者に聞かれて反射的に答えてしまったが山姥切国広としてこの喋り方はアウトじゃないだろうか?
い、今更か……直せって言われても直せる気がしないのでこのまま行くことにしよう。
「じゃあ状況を報告してもらいましょうか」
「あぁ、修行帰りに戦場を通ったら落ちてた。周囲に仲間の姿もなく、記憶も危うかったので連れて帰った」
「わかったわ。じゃあ貴女にも聞きましょう。何があったの?」

「……わかり、ません」

考えた末私はこう答えたのだった。
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