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春が訪れるかも

原作: その他 (原作:花より男子) 作者: inoiti
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拗ねるあきら

私はあきらの目を盗んで電話をかけた。
相手は大学の友人だ。
私にマカオを勧めてきた子だ。
「もしもし、桜子か。
旅行は楽しい?」
「楽しいわけないでしょう。
あきらに捕まった。」
「良かったじゃない。婚約者でしょう?」
「違います。あなたがお喋りだからでしょう?」
「私は本当の事を言っただけ。
じゃあねぇ。」
これからは誰も信じない。
マークだけは信じる。
肩を落とした私の背中にもたれ掛かっているのは、あきらだ。
あきらの心臓の音が聞こえる。
重たい。
「桜子とロンドンに戻れる。嬉しい。」
「私は嬉しくないもん。」
「あー、じゃあさっきの事を全て話しますね。」
「もう全部、知っているならいいじゃない。
何か問題でも…」
「全てが問題だよ。」
あきらが拗ねた。
そう思ったら長いまつげの瞳でこっちを見た。
忙しいなぁ。疲れないのか。
あきらってこんな性格だったっけ。
「あー桜子、
目をそらした。やっぱりやましい事したんだ。」
「俺は桜子だけなのに。ひどい。」
そうこうしている間に、ホテルに着いた。
「もうムカつくから、一緒の部屋ね。」
手を捕まれた。
でも優しく捕まれた。
部屋に入ったとたん抱き締められた。
部屋には二人きり。
「どうして…俺じゃ嫌なの。」
あきらが泣いているの、
初めて見た。
びっくりした。
「シャワー浴びてくる。
見るなよ。」
見ませんよ。前の時も見たくなかった。
眠たくなってきた。
逃げ回って疲れた。
寝よう。
桜子起きるー
マークが夢に出てきた。
夢の中でマークは、私を探していた。
物凄く一生懸命、探していた。
夢だけど嬉しかった。
横を見ると、あきらがいた。
バスローブ姿だった。
はだけていたので直した。
見たくもない物が見えたからだ。
次の瞬間、あきらが起きた。
「わぁー何?桜子、寝込み襲おうとした?
やっぱり俺の事、好きなんでしょう?」
抱きついてきた。
キスしようとしている。
「そんなわけないでしょう。触らないで。」
「じゃあ、ハグにする?健全でしょう?」
「それも嫌だ。」
あきらを叩いてしまった。
「桜子、痛い。ひどい。最低。」
「じゃあ、明日から俺の思い出探し手伝って。
そしたら全て許す。」
「別に許してもらうような事してないもん。」
「嘘だ。マカオで他の男とイチャイチャしてたくせに。」
「何をしていたかも言おうか。」
「どうして俺はしたらダメなの?」
「私が好きじゃないから、あきらの事を。」
「じゃあ、もう一回惚れさせてみせる。
おやすみ。」
そう言って寝た。
明日が怖い。
次の日ー
朝早く、あきらが起きた。
そして私もあきらからキスされて、
起こされた。
朝から嫌な気分だ。
「あきらってキス魔だっけ?」
「そうだよ。特に桜子には。」
「一緒に朝ごはん食べよう。
ルームサービス、頼んでおいた。」
仕方がない。
一緒に食べた。
なぜか私の大好きな物が多かった。
食べ終わるとあきらが忙しそうに
動き出した。
たくさんの女性物の服を持ってきた。
「どれが桜子に似合うかな。」
「これがいい。」
少し肌が見える服を選んだら、
「だめだ。これにしよう。」
紺の清楚なワンピースにされた。
車の中にてー
車であきらの思い出を探す事にした。
広い車なのにあきらは、ずっと私に引っ付いている。
そしてまたキスした。
息出来ないくらい長かった。
「もう止めて。」
「あの男とはしてたくせに。」
また拗ねた。
ロンドンの中心部にいた。
よく見る光景が広がっている。
ぼーっとしていたらまたキスされた。
「殴るよ。」
「桜子は、令嬢だからそんな事言ったらいけないの。
分かった?」
またキスされた。
するとあきらは、
「何百回しても足りないの。
桜子への仕返しだから。」
桜子はムカついた。
「あきらの思い出の相手、凄く美人だったらいいね。」
「別に。」
「ここら辺で合っているの?
中心部はあっちだけど。」
「あっちは探したけど何もなかった。」
そしてレトロなパン屋の前に来た。
美味しそうな香りがする。
さっきいっぱい食べたばかりなのに、
お腹が空いた。
お店の中に入るとさらにお腹空いた。
日本的なパンもある。
珍しい。
するとお店の中から女性が出てきた。
あきらが挨拶している。
「この子に見覚えないですか?」
きょとんとしていた。
数秒後に、
あきらが考えている事が分かった。
思い出の相手を私だと思っている。
確かに小さい頃、あきらに会った事が数回ある。
でも私ではない。
私は、あきらの幼なじみではない。
「ないわ。もっとふくよかな子だったわ。」
「そうですか。」
あきらは、残念そうだが私は嬉しかった。
これであきらも私をあきらめてくれる。
マカオに戻れる。
マークに会える。
でもあきらは納得していないようだ。

「他のお店に行こう。」
「私じゃないと思うよ。
ほら、思い出の女の子の名前を聞きに行こう。」
「絶対、桜子だ。
仮にそうじゃないとしても、マカオには行かせない。」
「他の子に決まってます。
あきらめて下さい。」
またあきらが拗ねた。
今日だけで何回、拗ねるのだろう。
面倒だ。
「桜子のいじわる、嫌いだ。」
嫌いで結構だ。
すると道の反対側から桜子は呼ばれた。
振り向くと知らないおじさんがいた。
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