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春が訪れるかも

原作: その他 (原作:花より男子) 作者: inoiti
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誘拐された

今日は、マークの手作りの料理を食べにきた。
私の好きなバカリャウ・ア・ブラスやアローシュ・デ・ポルヴォを、
作ってくれるらしい。
彼の得意料理も、、
と聞いた。
お手並み拝見という感じだ。
彼のお店は、セドナ広場の近くにあった。
ピンク色した建物だった。
今の私は、ピンク色を見るたびに切なくなる。
マークと別れてからも、明智さんから何度も電話があった。
そのたびに私は行けないと言った。
あきらに会いたくない。会う理由もない。
ケガしても関係ない。
中に入るともう一人女性がいた。
誰?この人?
この感覚は、メイに会った時に似ている。
嫉妬するたびに気を失いそうになる。
頭も痛くなる。
そう言えば私は、
いつのまにか類様の事を忘れていた。
あんなに好きだったのに。最低だ。
そう考えて、ぼーっとしていたらマークが喋りだした。
「桜子、僕の姉貴だよ。姉貴!!!」
「あーあ、そうなんだ。ごめんなさい。」
「もしかしたら、嫉妬した。
嫉妬くれたら嬉しい。」
マークはこういう事を平気で言う。
お金も払ってくれる。
「まずはバカリャウ・ア・ブラスから作る。
桜子、大好物と言ってたよな。」
そういうと大きい干しタラを見せてきた。
「市場で買ってきた。」
「シンプルな料理だから時間かからないよ。」
と言った。
「あっちの方で休憩していて。」
と言われた。
お姉さんと一緒に、ソファーに座った。
するとお姉さんから話しかけてきた。
「あなたが噂の桜子さんね。
弟が好きになるのも分かるわ。」
マークのお姉さんは、マークによく似ている。
「大好きな大好きな弟だから大事にしてね。
でもあなた、日本に帰るのよね。」
「はい。」
「また、遊びに来てね。」
また、遊びに来る事は出来るのだろうか?
そもそも一回、日本に帰ってしまったらマークに会えない気がする。
バカリャウ・ア・ブラスが完成したようだ。
色々なスパイスを振っている。
あれが、マーク流なのだろう。
マークが、
「次は、アローシュ・デ・ポルヴォを作るよ。」
と言っている。
「ほら、新鮮なタコを用意したよ。」
「今度は、少し時間がかかるから姉貴、手伝って。」
「もう、しょうがないなぁ。
分かったよ。」
お姉さんは嬉しいようだ。
二人で大きい鍋を出している。
きっとタコを煮る用だろう。
私は、一人テラスに出た。
ここから見える景色も異国だ。
一人旅行が、こんなに楽しいとは思わなかった。
たぶん楽しいのは、マークのおかげだ。
マークがいなかったら楽しくなかっただろう。
ニンニクとオリーブ油のいい香りがしてくる。
テラスの奥にたくさん綺麗な花が咲いている。
それを見に行った。
あとから見に行かなければ良かったと後悔した。
花を見ていたら、後ろに何かを感じた。
次の瞬間、5人くらいの男に囲まれた。
私はこう見えて空手を小さい頃から習っている。
一応、戦ったが相手は巨漢の男なので負けた。
抱え込まれて車に乗せられてしまった。
一応、叫んだけどマークには聞こえていなかった。
車に乗せられた途端、手と足をロープで縛られた。
身動きが取れない。
逃げ出せない。
涙が出てきた。
だってマークの料理食べてない。
だってマークにはもう会えない。
生きて、日本に帰れるかも分からない。
あー、鞄をレストランに置いてきた。
他の荷物もホテルだ。
どうしよう。
大体この車、どこ運転しているの?
マカオ旅行は初めてなのでよく分からない。
あーあ、少しは一人で観光しておけば良かった。
車が止まった。
ここはどこ?
降りろと巨漢の男達に言われた。
どうやら空港らしい。
日本に帰れるかも。
少し期待した。
日本に帰れば、拉致された事も解決しそうな気がした。
巨漢の男の一人が、私の荷物を持っていた。
「何で……」
パスポートを出すように言われた。
よく分からないまま手続きをした。
飛行機の中にてー
巨漢の男達が席に案内した。
なぜか案内したあと飛行機を降りた。
そして私は一人になった。
一人なったとたん、逃げようとした。
すると私の動きを止める人が現れた。
明智さんだった。
明智さんは私の横に座った。
「桜子様、手荒な事をして申し訳ありません。
でも桜子様も悪いのです。」
「私が何をしたと言うんです?
何もしていません。」
「お坊っちゃまがケガしたと連絡したのに、
拒否したではありませんか?」
「だって行きたくないんだもの…」
「お坊っちゃまには、黙っておきますが他の男性にときめきましたね。」
「あきらとは、別れています。」
「いいえ、お坊っちゃまは、桜子様に執着しています。」
「私もあきらが大好きでしたがもう疲れました。
だってメチャメチャですよ。性格。」
「それは、桜子様に甘えているのです。可愛いではありませんか?」
すると飛行機が動き出した。
「そう言えばこの飛行機、どこに行きますの?」
「ロンドンです。」
びっくりしすぎて言葉も出ない。
どうしよう。本当に本当に行きたくない。
「降ろして下さいーーー」
「無理です。」
「はい、航空券。」
ロンドンに着くまであと数時間もある。
ロンドンに着いたら逃げよう。
そしてまた、マカオに戻ってこよう。
そしてマークに告白しよう。
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