第七師団所属主 R-18
窓の外はどこを見ても闇。
深くて、先なんて見えなくて、終わりもあるかも分からないこの空間。
まるで侵食していくかのようにそれは部屋の中へ広がり、私の中へ広がっていく。
「ひっ、ん、ぅ…っ!」
「…あっ、はぁっ…。」
部屋の中には男に跨がり啜り泣く私の声と、
男の悩ましげな声が反響していた。
闇にうっすら浮かび上がるように透き通るような白い肌をする男は、普段の飄々とした表情とは違う、余裕の無い顔で私の腰に手を触れていて。
私は引き締まった男のお腹に手を置いて腰を前後にグラインドさせていた。
「神威…っ、すき…好き…。」
「っは、ぅ、くっ…。」
「好き…っ。」
こんな酷い形で気持ちを伝えることになるなんて夢にも思わなかった。
「好き…。」
昨夜、宇宙海賊春雨は、この男神威によって実質解体したと変わらないことになった。
その圧倒的な力に惹かれて、真っ直ぐ突っ走る背中に惚れて、多くの団員が神威についたことで起こった反乱だった。
おかげで阿呆提督に雇われていた私は突然雇用主がいなくなり、新しく提督という立場になった神威からは、明日には地球に帰ってもらうと通告を受けた。
要するにリストラ。
ずっと第七師団を陰ながら支えてきた私に、その団長である神威から解雇を言い渡された。
ひっそりと神威に想いを寄せていたものの、第七師団の皆を支え続けると決めていたから、その気持ちは墓まで持っていくつもりだったのに。
そんなの、無いよ。
「す、き…っ。」
「はぁ…っ…は……っ!」
地球に帰る準備をしながら、涙が止まらなくて。
色々考えているうちに、ぷつんと糸が切れた。
気が付けば私は神威の部屋に押し入っていて、
驚いた様子の神威に無理やりキスをして、押し倒して、何も言わない神威の服を脱がせ、自分も身に纏うもの全て脱いで、
神威を、犯した。
「す、きぃ…っ。」
泣きすぎて目元がヒリヒリする。
それでも涙は止まらなかった。
地球に帰ればもう二度と神威に会えない気がして。
神威といた何かが欲しかった。
繋がりたかった。
嫌われてでもいいから、神威が欲しかった。
…違う。
嫌われたかったんだ、私は。
酷いこと言って、拒絶して欲しかった。
そうでもしないと神威のことを好きで居続けてしまうから。
いっそのこと、嫌いたかった。
なのに。
「…っ、あ…。」
なんでそんなに優しい瞳で私を見つめるの。
なんで私を、受け入れるの。
神威の太ももが小さく震えている。
もう限界なんだろうと察して、私は今のペースを崩さないようにして腰を動かし続けた。
神威が欲しい。
神威の、子種が欲しい。
私とあなたが確かに繋がったという証が欲しい。
「な、か…出して…ぇっ!」
「…っい…あっ、つ、イく…!」
「ひ、ぁあっ!!っく、ん!!」
私の腰を強く掴んだ神威が、下から突き上げるように私の奥へとそれを押し込む。
たちまち中は圧迫感でいっぱいになっていく。
…これで、もうおしまい。
私と神威も、これでもうおしまい。
中で脈打つ神威のそれを引き抜いたその時から、もう他人として生きていかなければならない。
「…はぁっ…はぁ…っ。」
「神威…。」
片腕で目元を覆う神威。
その姿がまるで泣いているように見えて錯覚して、
…本当に、酷いことをしてしまったと罪悪感で胸がズキズキ痛む。
「愛してる…。」
最後の一粒の涙と共に、それは神威の胸に落ちた。
その涙が横へと流れた時。
神威は目元を覆っていた腕を外し、 私の腰を掴んだまま私を後ろへ押し倒した。
「…俺が、どんな思いでお前を地球に帰すかなんて、知らないくせに。」
ぽつりと呟くように発された言葉が、闇に溶ける。
暗闇の中なのにはっきりと見える神威の双眼がぎらりと光った気がした。
正常位で腰を打ち付ける度に、中に出した神威の白濁液がお尻に伝い落ちていく。
騎乗位と違って至近距離にくる神威の顔が、歪んだ形で笑っていた。
「…どう、いう…っ。」
「…今までと違って、激しい戦争が続くから、ただの地球人のお前は帰すって皆で決めたんだよ…。
お前にだけは生きていて欲しくて…っく、ぅ。」
そう言いながら私の膝裏を掴んだ神威は、予告もなく中に熱い液を注ぐ。
何を言われているのか理解しようと思っても上手く頭が回らない。
ぽかんと開けたままの私の口元に神威は自身の唇を寄せて舌を差し込んだ。
熱く火照る神威の舌が、私の舌を絡めてその熱を移していく。
「…神威がいない人生なんて、死んでいるのと変わらないよ…。」
「…そうだね。
俺も、お前がいない人生を生きていける気がしないよ。」
眉を下げて笑う神威が優しく私の頭を撫でる。
止まったかと思っていた私の涙がまた顔を出して、
私はすがり付くようにその透き通るような白い体を抱き締めた。
互いの体液が混ざりあって、どちらのものか分からなくなるくらいぐちゃぐちゃになって。
それがひとつになっているのだと知らしめるようにシーツへと落ちていく。
言葉が無くても全身でそれを伝えてくれるようなこの行為に、
愛しい彼の精一杯の愛情表現に、溺れた。
end
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