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真選組の女の子

原作: 銀魂 作者: 神崎しおり
目次

定春

――そして次の日。

私は神楽ちゃんと定春と散歩に出かけることにした。

神楽ちゃんも、私を病人扱いごっこ?には飽きてきたらしく、初日の断られ方が嘘のように、すんなりと私が散歩に一緒に行くことを承諾してくれた。

むしろ神楽ちゃんからさそってくれた。私が定春にさわってもふもふ感を楽しんでいると、
あんまりさわると、噛むから気をつけるヨロシ。と注意された。

神楽ちゃんは優しいなぁ、確かに最初は大きくてびっくりしたけど、こんな可愛い瞳をした定春が噛むわけないじゃないの。


散歩から帰ってくると、私は早速クッキー作りにとりかかった。クッキー作りをしていると

うまそうな匂いがするアル~

と神楽ちゃんが摘み食いをしにくるから、ちょっと大変だった。

神楽ちゃんに混じりながらさりげなく摘み食いをする銀さんに、そんな2人のことをとめるぱっつぁん。

なんだか、その光景がおかしくて、私はつい笑ってしまった。

「もうすぐで、できるから、待っててくださいね。あとは焼くだけです」

というか、生の生地食べても、あんまりおいしくないんじゃないかな……?


「銀さんの分は、お砂糖おおめにいれておきました」

というと、銀さんが子どもみたいに喜んだので、私はまた笑った。

ああ、平和。


そして私は今、焼きあがったクッキーを3人に差し出している。

ぱっつぁんが人数分のお茶を入れてくれた。気がきくメガネだなぁ。

クッキーは大好評だったようで、3人ともおいしそうに食べてくれること。

神楽ちゃんの食べるペースが速くて、銀さんが少し怒っているけど。それほどおいしかったのね、うん。

そしてあっという間にクッキーはなくなった。足りなかったかな……そんなことを思っていると

「アリス~もうクッキーないアルか?あ、あっちにあるアル!」

といって、残りのクッキーに手を出そうとする。

「あ、それはダメ!!」

私はすかさずとめた。

「なんでアルか?」

「これは、真選組の皆さんの分です。隊士全員のは流石に無理だから……近藤さんと、土方さんと、総悟の」

あと、ザキ。

地味だから、台詞の中にザキの名前入れるの忘れちゃった。


そんなほのぼのとした生活を、私は万事屋で過ごしていた。


ある日。

「今日は私が晩御飯を作ります!」

「え、そんなのいいですよアリスさん。今日は僕が当番なので、アリスさんはゆっくりしててくださいよ」

突然のアリスの発言に新八が戸惑う。

「作りたいんです。お世話になってるお礼もかねて!」

「俺は、アリスちゃんの手料理食べたいなーこの前のクッキーも絶品だったし」

「私も食べたいネ!男共の料理にはそろそろあきてきていたところアル」

「卵かけご飯しか作れないおめーが何言ってんだよ」

「失礼な、ふりかけご飯もできるアル」

「2人がこういうなら……僕もお願いしようかな。実は僕もアリスさんの手料理食べてみたいな、なんて」

「じゃあ今夜は私が作りますね、楽しみにしててください」

こうして、アリスが晩御飯を作ることが決定した。


そしてあっという間に晩飯時。

「はい、どうぞー召し上がれ!」

アリスは、3人の前に手料理を置く。

「ア、アリスちゃん?これ、なぁに?」

銀さんが冷や汗混じりな顔で聞く。神楽も新八も料理を見た途端、!?という表情をしていた。

「奮発して、肉料理にしてみました~。あ、食費のことなら大丈夫です、食材は私のお金で買ってきたものなので」

「いや、そういうことじゃなくて……」

「あ、私の分がないのはですね、味見しすぎてお腹いっぱいになっちゃったんですよ~」

どうぞ遠慮せずに召し上がってください、おかわりもありますよ。

なんて笑顔で言うアリスだけど、3人の箸は進まない。

別に遠慮しているわけではない。

銀時、新八、神楽の思っていることは一緒。



……これ、なんてダークマター?


「いや、あのさ。はっきり言うけど、これ料理じゃないよね?肉料理?焼肉?違うよこれ、焼けた肉だよ!?つーかそもそもこれ肉?」

「あー……ちょっと焦げちゃったみたいですねぇ」

「ちょっとどころじゃないよねこれぇ!?」

「でもアリスさん、クッキーはあんなにおいしかったのになんでまた……」

銀時はあまりのダークマターに慌て、新八は疑問を感じ、神楽はどこか遠くを見て黙っている。

「特技はダークマター製造ですかコノヤロー!?」

するとアリスも、とうとうダークマターを生み出してしまったことを認め

「……ほら私、記憶喪失じゃないですか。お菓子作りは覚えてたけど、料理の作り方は忘れちゃったみたいです」

てへっと笑うアリスに対し

「どんな記憶喪失ぅー!?」

容赦なく突っ込みをいれる新八。

「定春は、食べてくれるかなぁ……」

皆が箸をつけてくれないので、試しに定春に差し出してみた。

すると、定春なりにそんなものを差し出され怒ったのか、アリスの頭にがぶりと噛み付いた。

「……痛い」

治りかけていた頭の傷口が開き、血がどろどろと流れてきた。

頭を噛まれながらぼーっとする私を、神楽ちゃんが急いで定春から離してくれた。
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