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METAL GEAR SOLID the ROCK

原作: その他 (原作:メタルギアソリッド) 作者: gekco
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第五話

スネークが倒した海兵隊員の死体を運ぶと、ジョニーはミサイルの解体作業にとりかかった。
ミサイルのカバーを開き、緑色のガラス球が連なったケースを取り出す。
取り出したケースを、慎重に足元に置き、ミサイル本体の奥に差し込まれた誘導チップを抜いた。
「どうだ、順調なのか?」
話しかけたスネークに、ジョニーが鋭く返した。
「静かに!とても集中を要する作業なんだ。」
大きく息を吐くと、ジョニーは続けた。
「スネーク、このガラス球一つでどれだけの被害があると思う?」
「どれくらいなんだ?」
「ここで一つ落とせば、僕らだけでなくサンフランシスコ湾が壊滅する。」
その言葉に、さすがのスネークも息を呑んだ。
「だけど、揮発させなければ、ただの美しい液体だ。こうして誘導チップを抜いてミサイルが飛ばないようにすれば、もう恐れる必要はない。」
次々にミサイルのカバーを開け、誘導チップを抜き取るジョニー。
慎重な中にも無駄のない動きに、スネークは内心で感心した。
ミサイルの解体を続けていたジョニーが、ふと声を上げた。
「おかしい・・・」
「どうした、ジョニー?」
「12基しかないんだ。ミサイルは15基あるはずなのに。」
緊張が走る。
「大佐、聞いたか?」
「ああ、聞いていたよ。だが、海軍武器庫から盗み出されたミサイルは確かに15基だ。」
「スネーク、もしかして、すでにサンフランシスコに向けて配置されたミサイルがあるんじゃないかな?」
オタコンの言葉に、スネークは考え込んだ。
「だとしたら厄介だな。その場所を探さないといけない上に、ミサイルはすでに発射可能な状態、ということだろう?」
「アルカトラズからサンフランシスコに向けてミサイルを発射できる場所は、そう多くないはずだ。衛星写真で調べてみるよ。」
「急いでくれ、オタコン。そう時間がない。」
そのとき、死んだ海兵隊員の無線から声が聞こえた。
「イーグル2、応答せよ。そっちに敵が向かっているぞ!おい、返事をしろ!」
バレた。
「おいジョニー、もうすぐ海兵隊が来る。すぐに逃げるぞ!」
「あと一つなんだ、待ってくれスネーク!」
どうにかミサイルを無力化したところで、接近する海兵隊員の足音がした。
とっさに廃棄物ダクトを指差す。
「ジョニー、そこに飛び込め!」
「わ、わかった!あんたは・・・?」
「すぐに行くから、先に飛び込め!」
そう言うと、スネークはMP5を構えた。
「待って、スネーク!」
「なんだ!?飛び込むのが怖いって言うんじゃないだろうな?」
「違うよ!ここで銃撃戦になると、ガス球に当たる可能性がある。こんな狭いところでVXガスが拡散したら、僕たちも海兵隊もお陀仏だ。ガス球に当たらないようにしてくれ。」
「他に注文がないなら、さっさとダクトに飛び込め。」
ジョニーがダクトに飛び込んだのを確認したスネークは、MP5を下ろして倒した海兵隊員のM16に持ち替え、素早くドア付近に移動した。
ここからなら、海兵隊員たちをこの部屋に近づけずに足止めできる。
すぐに、スネークの視線の先に都市迷彩を着込んだ海兵隊員たちが見えてきた。5人、というところか。
スネークは一呼吸置いて、M16を構え直した。


遺体安置所に向かうフライたち。若い兵士が先頭を切って走りこむ。もっと身を隠せ。フライがそう言おうとした瞬間、銃声がして跳弾が火花を放つ。
「隠れろ!」
フライが叫ぶ。かすめていく銃弾の音が響く。明らかに遺体安置所から狙ってきている。
「奴はドア付近にいるはずだ!そのあたりを狙え!」
海兵隊員たちが激しい銃撃を浴びせる。隙を見て前進しようとするが、すぐ足元に銃弾が飛んできて身動きが取れない。
やがて、敵の反撃が止んだ。リロードしているに違いない。
「今だ!行け!」
フライの部下が遺体安置所に突入する。
と、すさまじい閃光と爆発音が響く。
ワイヤートラップにスタングレネードを仕掛けたのか。くそ、いつの間に。
一瞬の時間差で物陰に隠れたフライは、のた打ち回る部下を尻目に遺体安置所に突入した。
そこには残弾を撃ちつくしたM16と、倒された2名の海兵隊員の死体が残されているだけだった。
「野郎・・・クソがっ!」
怒りに震えるフライの声が響いた。
「どうした?何があった!」
司令室から駆けつけたハメルたちに、フライが状況を説明した。クリスプ軍曹がミサイルを調べている。
「将軍、ミサイルの誘導チップがすべて抜かれています。これでは発射できません。」
ハメルは、警備を任せていたヘンドリックス大尉に歩み寄った。その顔には冷静な怒りが浮かんでいた。
「ヘンドリックス。ミサイルの警備は万全だと、お前はそう言ったな。この事態を招いたのはお前の見通しの甘さだ。自分で責任を取れ。任務を全うしろ。」
「イエッサー・・・イエッサー!!」
ヘンドリックスは逆上した。
「お前たち、来い!」
フライたちと戦闘しているさなかにマンホールを開ける余裕など、あるはずがない。ヘンドリックスは部下を引き連れ、迷わずダクトに飛び込んだ。
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