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【ビックリじじいと】早く帰りたい【サバイバル生活】

原作: その他 (原作:刀剣乱舞) 作者: レジス
目次

遭難一日目

「ほら、お前の望んでいた驚きだぞ喜べ」
私がそう言うと隣の鶴丸国永は大きくため息をついた。
「こんな驚き求めてなかったんだよなぁ……」

私たちはなぜか今、無人島にいる。

【第一話 遭難一日目】

どうしてこうなったのか、それは至極簡単な理由だ。
元JD審神者の私はたまの休日に万屋へ行こうと転送装置を操作したら誤作動を起こしたらしく全く違う時空座標へ飛ばされてしまったのだ。
これが街とかであればまだ救いもあったのだがついたのはなんと歩いて二時間で一周できる規模の無人島。
周囲はどこまでも続く水平線。
軽く四回は絶望した。
私たちはとりあえず好奇心から砂浜に横たわりじりじりと太陽に焼かれている。
人はこれを現実逃避ともいう。
「あーもぉおおおおこれどうすんだよぉー!」
「騒がないでくれ、余計暑い」
「起きよう」
「おう」
唐突に冷静になり二人して起き上がった。
じっとりと汗を掻いてしまっていたのでのろのろと日陰を目指す。
「なぁ、救助は来ると思うかい?」
ぐったりした様子の鶴丸が聞いてくる。
「まぁ端末はなぜか電波生きてるしさっき救難信号を送っておいたしなんとかなるんじゃないかなぁ」
さすが政府の作った最先端技術の塊、携帯端末。
しかし救難信号は送れるが本丸への通話は通じなかった。
大きな樹の日陰に入って一息つく。
「さて、どうしようかなぁ」
「こんな時こそアレをすればいいんじゃないか?」
「アレかぁ……まぁ何するか決まってないしそれも有りだね」
そう言って私は携帯の端末を操作する。
通話は通じなかったがこの政府支給の携帯端末には非常用の機能としてどんな状態でも必ず繋がるさにわちゃんねるなるものがあるのだ。
そこにスレを立てようというのが鶴丸の提案である。
「まぁとりあえずタイトルは【ビックリじじいと】早く帰りたい【サバイバル生活】でいいか」
「これで人が来るか?」
「来るよ。暇人の集まりだから」
中には一日中スレを眺めている審神者もいるとか。
「おし、やるかぁ」

****

【ビックリじじいと】早く帰りたい【サバイバル生活】

1 遭難審神者
遭難した。
というわけで助けてくれ。
まずは何をすればいい?

2 名無しの審神者さん
新手の山籠もりスレですか?

3 名無しの審神者さん
ビックリじじいと一緒とか大変ですね

4 名無しの審神者さん
まずは経緯の説明をしてくれよ!!

5 名無しの審神者さん
というわけがどういうわけなんだ???

6 名無しの審神者さん
まずは救難信号を送れ、それで解決だ

7 遭難審神者
ビックリじじいと万屋行こうとしたら無人島にいた。
救難信号は発信済。
ちな山籠もりじゃない証拠な。
【水平線を背景にピースする審神者と鶴丸の写真】

8 名無しの審神者さん
えぇ

9 名無しの審神者さん
えー

10 名無しの審神者さん
簡潔すぎてわかりやすい

11 名無しの審神者さん
なるほど?

12 名無しの審神者さん
万屋は無人島だった?

13 名無しの審神者さん
まさかのwww無人島生活ですかwwww

14 名無しの審神者さん
家作らなきゃ……(使命感)

15 遭難審神者
で、どうすればいい?
家作ればいいの?

16 名無しの審神者さん
まずは何を持ってるかだな

17 名無しの審神者さん
そうだな、持ち物によってはできること変わってくるし

18 名無しの審神者さん
刀www刃物あるだけで十分やっていけるジャマイカwww

19 遭難審神者
持ち物か、私は携帯端末にハンカチ、財布、酢昆布で鶴丸が刀(自分)に飴5個、以上だな

20 名無しの審神者さん
わぁすくなぁい

21 名無しの審神者さん
なぜに酢昆布

22 名無しの審神者さん
それな
それにしても鶴丸なんで飴持ってるん……

23 名無しの審神者さん
やったね、今日の晩御飯は飴ちゃんだよ!

24 遭難審神者
酢昆布おいしいやろ!
鶴丸のは短刀たちに配り歩いた残りだそうだ

25 名無しの審神者さん
酢昆布に対する熱い信頼

26 名無しの審神者さん
せやな、うまいな

27 名無しの審神者さん
だからなんで酢昆布持ってるのか聞きたいんだけどwwww

28 遭難審神者
今日の私のおやつが酢昆布だった。

29 名無しの審神者さん
お、おう?

30 名無しの審神者さん
おやつなのかwww

31 名無しの審神者さん
無人島ならまず飲み水の確保からじゃないか?

32 名無しの審神者さん
ここまで有力な助言1個www

33 名無しの審神者さん
緊急事態感が無いのがいけないw


****


「よし、まずは水の確保か」
お礼を言ってとりあえず端末をしまう。
「水か……森の中に入らないといけないな」
「うーん。虫とか嫌なんだけどなぁ」
そうは言うが探索のために審神者服の袖を纏める。
「まぁある程度は俺が斬り払ってやるから」
「頼んだ」
鶴丸が刀を抜いて進行方向にある蔦を切り払ってくれた。
そのまま先を歩き出したので後ろについて歩く。
森の中を歩いて十分も経たない頃、私達は水場を見つける。
わき水で出来たらしい小川だった。
飲み水にするには十分綺麗な色をしている。
「これ、大丈夫かな?」
私の言葉に鶴丸は止める間もなくわき水を掬って飲んだ。
「鶴丸?!」
「んー……問題ないな!」
「問題あったらどうすんの!」
思わず鶴丸の頭をはたいた。
「まぁ俺の腹が壊れてもなんとかなるんじゃないか?」
「病気とかになったらどうするのよ」
「その時は手入れを頼む」
「道具が無いから無理に決まってるでしょ?!」
何神妙な顔で言っているのか。
手入れ道具なんて無人島にあるわけがないのに。
でも、鶴丸のおかげで飲み水の確保をすることができたのだった。
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