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山姥切国広極めたらもう一人増えました

原作: その他 (原作:刀剣乱舞) 作者: レジス
目次

緊急事態


乱藤四郎に審神者さんを助けて欲しいと頼まれてすぐ私たちは来た道を引き返し始めた。
歩きながら長義は祭さんに連絡を取っている。
「あぁ……だから刀剣男士の謀反だって言ってるだろう?……いや、俺に言われても……」
何かを言われたらしく面倒臭そうに携帯端末を私のほうに渡してきた。
「もしもし?」
『国姫無事ぃいいいいい?!』
「だ、大丈夫です。何もされてませんから!」
『本当?もしもの時は長義を盾にしてもいいからね?!』
「いやそれは……」
むしろ現状危ないのは私より恨まれているらしい長義のほうなんだけれど。
「それよりも主、解呪か浄化が得意な審神者さんに協力要請をかけてください」
このままじゃ本当にあの審神者さんにかけられた呪詛が完成してしまう。
そうなる前に浄化できれば……
『それは大丈夫、今暁に出動要請かけたから』
「暁さんですか?」
それは、この前演練に出た時にナンパしてきた三日月の審神者さんだったような。
『そうだよ。彼はああ見えて解呪も浄化もできちゃう優良物件だったんだよー』
「えぇー」
優良物件て言い方……
でも知り合いに使える人がいたのは良かった。
「これから乱の案内で審神者さんと接触します。できるだけ他の刀剣との接触はさせないようにするつもりですがどれくらいかかりそうですか?」
『一時間以内には動けるようにしているところだよ。無理はしないでね』
「了解です」
『あ、長義に代わって』
「あ、はい」
言われたので長義に携帯端末を返す。
「何だい?……うん、うん。わかってるよ……えぇ……大丈夫じゃないかな?うん、了解だ」
少し話して長義は携帯端末の通信を切った。
丁度審神者さんのいる執務室へ到着する。
「さて、ここの審神者はどう動くかな」
ぼそりと長義が呟くのが聞こえた。
「主さん!ちょっといいかな?」
「……乱か?どうした?」
審神者さんの代わりに乱藤四郎の呼びかけに答えたのは山姥切国広極だった。
うちの本丸の山姥切国広と同じように布をキャストオフしている。
「うん。ちょっと大事な話があるんだって」
「そうか……少し待て」
乱藤四郎が言うと山姥切国広極は部屋の中へ戻って行く。
暫くすると障子が開けられた。
「主が話を聞くそうだ」
案内されて部屋の中へ足を踏み入れると少し空気が変わったのを感じる。
少し息苦しい。
私の様子に気が付いたのか長義がポンと肩を叩いた。
すると不思議と息苦しいのが無くなる。
驚いて長義の方をみると得意げな表情で笑った。
部屋の中にはたくさんの書類が山のように積み上げられていた。
それはもううちの本丸なんて比じゃない量だ。
祭さんはランカーだからこそ大量の書類があると言っていた。
特にランカーでもないのにこんなに書類があるということは恐らく書類を貯めこんでいたのだろう。
足元にまで詰まれた紙の山には聚楽第の情報が書き込まれていた。
きっと聚楽第再調査にあたって情報を集め直したのかもしれない。
読んでいた書類から顔を上げた審神者さんが長義を見る。
その目は少し淀んで見えた。
「あぁ、どうした?」
「単刀直入に言おう。呪詛がかけられている疑いがある。素直に浄化の儀式を受けてくれないか?」
「なんだって?」
「呪詛なんてかけられる覚え、有り過ぎるんだろう?」
「……」
長義の言葉に審神者さんが黙る。
身に覚えがありすぎて何も言えないようだ。
私は山姥切国広極に声をかける。
「貴方にも見えていたはずですよね?どうして放置していたんですか?」
すると山姥切国広極は首を横に振った。
「助けを求められる相手がいなかったんだ。すでに本丸中敵だらけで、主は演練にはあまり出ない、つながりのある審神者もほとんどいない……どうしようもなかったんだ」
「だから結界を張り、守っていたと?」
よく見て気付いたことだったけど審神者さんの周囲にぼんやりとした膜の結界が見えた。
それのおかげで審神者さんに呪詛がかかりづらくなっているのだろう。
おそらくそれは山姥切国広極の施した結界だ。
「あぁ、だが今回お前たちが来た。だからどうにかなるかもしれないと思っていたんだ」
いくら近侍でも外に助けを求める事はできなかったようだ。

「呪詛なんて使う刀剣なんぞ折ってしまえばいい!」

審神者さんが何を思ったのかそう言った。
するとすぐさま実行に移そうと部屋を出て行きそうになるので道を塞いで止める。
「待ってください。今他の刀剣と接触するのは危険です」
「危険、だと……俺は主だぞ?!」
「……暴力を振るって、折ると脅すような人を主と認める刀剣はどれほどいると思いますか?」
「なん、それは……」
私の言葉に審神者さんは考えるように俯いた。
「いくら一時の迷いでも暴力を振るわれた方は忘れることはしません。特に私たちは刀剣の付喪神、恨みを持てばその刃は貴方に向かうことだって有りえます」
「国姫……」
長義が私の肩を掴んだ。
もうやめろということだろう。
私は審神者さんに言葉をぶつけるのを止めた。
「主さん、国姫さんたちが助けを呼んでくれたんだ。だから助けが来るまで待とう?」
落ち着かせるように乱藤四郎が言う。
「乱……あぁ、そうだな」
そう言って審神者さんは自分の席に戻って行く。

「助けなんて悠長に待っていたいいのかい?たーいしょ」
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