後編
今日は部活が休みだったからテストの補習をツナと一緒に受けた後に独り屋上へと向かった。」
屋上へ行けば獄寺に逢える気がしていたからだ。
屋上の扉を開けると夕日が差し込む光景の中に本当に獄寺が居た。
獄寺はフェンスに寄り掛かり煙草を吸っている。
獄寺が本当に居てくれた事にオレは嬉しくなった。
「そんなモン吸ってると長生きできないぜ?」オレは背後から獄寺に声を掛けた。
「あ?んだよ、余計なお世話だ。野球馬鹿が……」
獄寺はいつもの調子でオレに接してくれたが、ここ数日間獄寺の様子が少し変だと思っていた。
そう、オレの家で寿司を食べて恋バナをしたあの日から獄寺は何かに悩んでいるかの様だった。
ツナに対してはいつも通り犬の様に尻尾を振っているかの様に接しているしオレにも普段と変わらず悪態をついていたが何かが変だ。
獄寺が転校してきてからずっと獄寺を見ていたオレだからこそ小さな変化も分かる。
そんなオレの気持ちは伝えられない。
一目見た時から心の奥深くを掴まれ惹かれていた事。
でも、この想いを伝えれば獄寺との関係が壊れてしまうかもしれない……それが一番怖くてオレの胸の奥に押し殺していた。
オレは獄寺の隣に向かい「煙草って美味いのか?」と尋ねた。
「んだよ、興味あんのか?」
「興味っつーか、いつも獄寺は美味そうに吸ってるからよ。」
「やめとけ。野球に支障が出る。」
「優しいとこもあんのな。獄寺は。」オレがヘラッよ笑うも獄寺の表情は眉間に皺をよせたままだ。
「何かあったのか?」オレが尋ねると獄寺は言い難そうに言葉を紡ぎだした。
「テメェは本当に鈍感だな。野球の事しか頭にねえのかよ……。この間のヒントで何か分かった事はあるか?」
「自分にがもってないものをもってる奴がタイプって事?」
「そうだ。んで、答えは?」
「オレから見れば獄寺にだってオレがもってないものを沢山持ってて羨ましく思うぜ。」
そう言うオレに獄寺は盛大に溜息を吐いた。
「テメェは一生野球とイチャイチャしてろ。」
「野球か……。獄寺、毎日放課後にこの屋上で外の部活動の連中の事眺めてただろ?もしも、それがオレを見ていてくれたら良いなー。なんて思ってた。悪い、変な事言っちまった。忘れてくれ。」獄寺は一瞬目を丸くした。オレはマズい事を言ってしまったと後悔の念に駆られていると「妙なとこだけ鋭いじゃねーか、流石は天然スケコマシだな。」と予想外の返答が返ってきた。
「え……。それってどういう……」オレがしどろもどろになっていると獄寺が日頃の鬱憤を晴らすかの如く感情的になりキレて一気に言葉を吐き出した。
「ああ、そうだよ!オレはテメェを見てた。最初は外で部活をやっている連中を眺めてたが、気が付いたらいつもいつもテメェの事しか目に入らなくなってよ!テメェは女にモテるから告白される度に胸が苦しくなるわ何だわでムカついてたんだよ!天然なのか知らねえが、オレの気持ちも知らずにいつもいつもヘラヘラしやがって!誰にでも社交的に接して人望が厚いテメェにはオレなんて居なくても良いんだろ?!」
「獄寺が居なくても良いなんて思わない。いや、思えない……オレの家に寿司を食いに来た日から獄寺の様子が変になってたのも気が付いてた。獄寺こそ一年前に転校して来た時からオレが獄寺に特別な感情を持っていた事を知らなかったクセに……この気持ちを伝えて獄寺と話せなるのが怖くて今日まで言えなかった。オレが告白されても誰とも付き合わなかった本当の理由は……獄寺の事が好きだからだ。」
「クソ……。いつもいつもオイシイ所を持って行きやがって……山本、テメェは気に食わねえ……。ムカつきもするが……それ以上に山本の事が大好きだ。」獄寺は小さな声でオレへの気持ちを呟いてくれた。
「あー!緊張した!こんなに緊張したのは初めてだ。」オレが笑い掛けると獄寺も「緊張し過ぎて心臓が止まった。」と零した。
「大好きな獄寺の心臓が止まったらオレが人工呼吸して直ぐに生き返らせてやるよ。あー、まだドキドキが止まらねえ。」すると獄寺は煙草を一本差し出して悪戯な笑みを浮かべて「一本だけなら許す。それ以上は野球に悪影響だ。気持ちが落ち着くぜ。」
「付き合い記念日の煙草って事で良いか?」
「よくもまあ、そんな恥ずかしい事を口に出来るな。」
「これから何があっても獄寺の事を大切にするっていう誓いの煙草だな。」
一本、煙草を貰って一口吸うと勢いよく煙を吸い込んでしまったのかオレは盛大に咳込んでしまった。
獄寺はそんなオレの様子を笑いながらオレが手に持っている煙草を奪い「煙草の味は充分に分かっただろ?」「よくこんな物が普通に吸えるな……」未だに咳が止まらないオレに対して奪い取った煙草を吸い始めると「この煙草はいつもより美味く感じんな。」と呟いた。
間接キスだという事は後から気が付いたが、獄寺のその言葉で獄寺への溜まっていた愛情が一気に溢れて気が付いたらオレは獄寺を力強く抱き締めて口付けをしていた。
ふと我に返ると顔が真っ赤になった。
獄寺の頬も赤く染まっている。
夕日とお互い赤面した顔を見詰めていると自然と微笑みが零れて「今」からの時間を獄寺と久遠に過ごしていきたいと決意した。
初めてのキスの味は少しほろ苦かったけど、だからこそ一生忘れない味だろう。
屋上へ行けば獄寺に逢える気がしていたからだ。
屋上の扉を開けると夕日が差し込む光景の中に本当に獄寺が居た。
獄寺はフェンスに寄り掛かり煙草を吸っている。
獄寺が本当に居てくれた事にオレは嬉しくなった。
「そんなモン吸ってると長生きできないぜ?」オレは背後から獄寺に声を掛けた。
「あ?んだよ、余計なお世話だ。野球馬鹿が……」
獄寺はいつもの調子でオレに接してくれたが、ここ数日間獄寺の様子が少し変だと思っていた。
そう、オレの家で寿司を食べて恋バナをしたあの日から獄寺は何かに悩んでいるかの様だった。
ツナに対してはいつも通り犬の様に尻尾を振っているかの様に接しているしオレにも普段と変わらず悪態をついていたが何かが変だ。
獄寺が転校してきてからずっと獄寺を見ていたオレだからこそ小さな変化も分かる。
そんなオレの気持ちは伝えられない。
一目見た時から心の奥深くを掴まれ惹かれていた事。
でも、この想いを伝えれば獄寺との関係が壊れてしまうかもしれない……それが一番怖くてオレの胸の奥に押し殺していた。
オレは獄寺の隣に向かい「煙草って美味いのか?」と尋ねた。
「んだよ、興味あんのか?」
「興味っつーか、いつも獄寺は美味そうに吸ってるからよ。」
「やめとけ。野球に支障が出る。」
「優しいとこもあんのな。獄寺は。」オレがヘラッよ笑うも獄寺の表情は眉間に皺をよせたままだ。
「何かあったのか?」オレが尋ねると獄寺は言い難そうに言葉を紡ぎだした。
「テメェは本当に鈍感だな。野球の事しか頭にねえのかよ……。この間のヒントで何か分かった事はあるか?」
「自分にがもってないものをもってる奴がタイプって事?」
「そうだ。んで、答えは?」
「オレから見れば獄寺にだってオレがもってないものを沢山持ってて羨ましく思うぜ。」
そう言うオレに獄寺は盛大に溜息を吐いた。
「テメェは一生野球とイチャイチャしてろ。」
「野球か……。獄寺、毎日放課後にこの屋上で外の部活動の連中の事眺めてただろ?もしも、それがオレを見ていてくれたら良いなー。なんて思ってた。悪い、変な事言っちまった。忘れてくれ。」獄寺は一瞬目を丸くした。オレはマズい事を言ってしまったと後悔の念に駆られていると「妙なとこだけ鋭いじゃねーか、流石は天然スケコマシだな。」と予想外の返答が返ってきた。
「え……。それってどういう……」オレがしどろもどろになっていると獄寺が日頃の鬱憤を晴らすかの如く感情的になりキレて一気に言葉を吐き出した。
「ああ、そうだよ!オレはテメェを見てた。最初は外で部活をやっている連中を眺めてたが、気が付いたらいつもいつもテメェの事しか目に入らなくなってよ!テメェは女にモテるから告白される度に胸が苦しくなるわ何だわでムカついてたんだよ!天然なのか知らねえが、オレの気持ちも知らずにいつもいつもヘラヘラしやがって!誰にでも社交的に接して人望が厚いテメェにはオレなんて居なくても良いんだろ?!」
「獄寺が居なくても良いなんて思わない。いや、思えない……オレの家に寿司を食いに来た日から獄寺の様子が変になってたのも気が付いてた。獄寺こそ一年前に転校して来た時からオレが獄寺に特別な感情を持っていた事を知らなかったクセに……この気持ちを伝えて獄寺と話せなるのが怖くて今日まで言えなかった。オレが告白されても誰とも付き合わなかった本当の理由は……獄寺の事が好きだからだ。」
「クソ……。いつもいつもオイシイ所を持って行きやがって……山本、テメェは気に食わねえ……。ムカつきもするが……それ以上に山本の事が大好きだ。」獄寺は小さな声でオレへの気持ちを呟いてくれた。
「あー!緊張した!こんなに緊張したのは初めてだ。」オレが笑い掛けると獄寺も「緊張し過ぎて心臓が止まった。」と零した。
「大好きな獄寺の心臓が止まったらオレが人工呼吸して直ぐに生き返らせてやるよ。あー、まだドキドキが止まらねえ。」すると獄寺は煙草を一本差し出して悪戯な笑みを浮かべて「一本だけなら許す。それ以上は野球に悪影響だ。気持ちが落ち着くぜ。」
「付き合い記念日の煙草って事で良いか?」
「よくもまあ、そんな恥ずかしい事を口に出来るな。」
「これから何があっても獄寺の事を大切にするっていう誓いの煙草だな。」
一本、煙草を貰って一口吸うと勢いよく煙を吸い込んでしまったのかオレは盛大に咳込んでしまった。
獄寺はそんなオレの様子を笑いながらオレが手に持っている煙草を奪い「煙草の味は充分に分かっただろ?」「よくこんな物が普通に吸えるな……」未だに咳が止まらないオレに対して奪い取った煙草を吸い始めると「この煙草はいつもより美味く感じんな。」と呟いた。
間接キスだという事は後から気が付いたが、獄寺のその言葉で獄寺への溜まっていた愛情が一気に溢れて気が付いたらオレは獄寺を力強く抱き締めて口付けをしていた。
ふと我に返ると顔が真っ赤になった。
獄寺の頬も赤く染まっている。
夕日とお互い赤面した顔を見詰めていると自然と微笑みが零れて「今」からの時間を獄寺と久遠に過ごしていきたいと決意した。
初めてのキスの味は少しほろ苦かったけど、だからこそ一生忘れない味だろう。
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