前編
夕焼けが黄昏時を思わせる放課後。
オレは屋上で独り煙草を燻らせいた。
目に飛び込んでくる光景は部活をしている奴等の元気が良い掛け声。
その中の光景の一つにオレはボーっと煙草を吸いながら見詰めていた。
山本武。
野球部の期待のエースだ。二年生ながら重要なポジション、ピッチャーで四番を任されて、この並盛中学を全国大会へと導いてくれると野球部の顧問を始め、部員達からも先輩、後輩関係なく信頼も厚い。
おまけに女子生徒からもモテる。山本が告白されている場面を目撃した事はあるが、ことごとく振っている。
折角の機会なのに何故だとオレはいつも疑問に思っていた。
山本が野球で汗を流す姿を見ているのは居心地が良い。
アイツはいつもヘラヘラしていて十代目とも仲が良いから気に入らないところも多いがオレはアイツから目それはが離せなかった。
一年前、獄寺が転校して来た。
第一印象はヤンキーだったか……。でもそれから会話を重ねる度、ヴァリアーとのリング争奪戦などを経て、獄寺の印象はがらりと変わっていた。
ツナへの忠誠心から義理や人情にも厚い人間だって分かったし、不器用ながら面倒見も良い奴だ。
オレに対しては悪態をつくけど、なんだかそれも可愛く思えてオレもついつい獄寺をからかったり、頻繁に話し掛けたりしている。
「十代目の右腕はオレだ。テメェは引っ込んでろ!」と言われても所謂ツンデレってやつかな?偶に見せる素直な態度にオレは獄寺の事をもっと知りたい、もっと仲良くなりたいと思っていた。
ある日、獄寺に実家の寿司屋に食べに来ないかと誘う事にした。
「おーい、獄寺。寿司は好きか?」
「寿司?好物だが、それがどうした?」
「オレの家寿司屋だろ?親父に言ったらタダで好きなだけ寿司を振る舞っても良いって言ってもらえてよ。良かったら食いに来ないか?」
「……中トロや大トロも食べ放題なのか?」
「勿論だ、遠慮なく食えよ。」
「じゃあ、行く。」
「よし!決まりだな。今日の放課後でいいか?」
「ああ。」
その日の放課後、実家の竹寿司で帰るや否や親父が「獄寺君かい?いつもウチの武が世話になってるね。仲良くしてくれてありがとう。今日は獄寺君へのお礼も兼ねて好きなだけ寿司を食べて行ってくれ。高級なネタだからって遠慮は要らないからよ。」
「あ、ありがとうございます……。」
初めて見るぎこちない獄寺の態度に思わず笑ってしまうと獄寺は親父には気付かれない様に起用にオレを睨み付けてきた。
「獄寺君、最初は何が食べたい?」
「中トロで……」
「あいよ!」
親父はいつも以上に気合が入っている気がした。
獄寺に中トロの寿司を握って目の前に出した。獄寺は一口で一貫食べると自然と「う、美味え……」と感想を漏らした。
親父は更にご機嫌になって獄寺にたらふく寿司を握った。
「ご馳走様でした。」
「また、食べてくれよ。お代は要らないしな。あ、折角だからもう少しゆっくりしっててくれ。武の部屋は汚ねえから恥ずかしいけどよ。」
「ちゃんと掃除もしてるって。」
二階に在るオレの部屋へ獄寺と向かった。
なんだろう……獄寺と二人きりででオレの部屋に行くって胸がドキドキする……。
何故だ?たかが野球馬鹿の部屋に行くだけなのにこの緊張感は……。
初めて訪れた野球馬鹿の部屋。如何にも男子中学生の部屋です。といった印象で部屋の様子を眺めていた。
「あんまり見んなって。恥ずかしいからさ。」
「ん?見られてやましい物でも置いてあんのか?」
「そんな物無いって!」
「よし、じゃあ、野球馬鹿の性癖を知る為にも先ずは定番のベッドの下から抜き打ちチェックをしてやるか。」
「勘弁して下さい。獄寺さん……」
「現行犯逮捕だな。」
「そんな事はさっさと忘れて適当に寛いでくれよ。」
「お、おう。」
胡坐をかいて正面に座り顔を見合わせていると、いざ何を話せばいいかお互い話題が浮かばない感じになってしまっている。
「獄寺は好きな奴は居ないのか?」
修学旅行の夜の様な話題を振ってしまった。
「そういう野球馬鹿はあんなに女どもから告白されまくってモテモテの良いご身分なのに何で誰とも付き合わないんだよ?」
「いや、なんつーか告白してもらるのは嬉しいし有難い事なんだけど、全然話もした事がない相手に告白されてもな……」
「この天然スケコマシ野郎が……」
「え!何でそうんるんだよ?」
「その野球馬鹿の陳腐な脳みそでせいぜい一生懸命か考えろ。」
「オレ、勉強もそうだけど難しい事を考えるの苦手なんだよなー。」
「オレは自分に持ってないものをもっている奴が好みだ。ヒントはここまで。さてと、長居いちまったな。親父さんには改めて寿司が美味かった事と礼を伝えておいてくれ。」
そして、その日は獄寺とは別れた。
オレは屋上で独り煙草を燻らせいた。
目に飛び込んでくる光景は部活をしている奴等の元気が良い掛け声。
その中の光景の一つにオレはボーっと煙草を吸いながら見詰めていた。
山本武。
野球部の期待のエースだ。二年生ながら重要なポジション、ピッチャーで四番を任されて、この並盛中学を全国大会へと導いてくれると野球部の顧問を始め、部員達からも先輩、後輩関係なく信頼も厚い。
おまけに女子生徒からもモテる。山本が告白されている場面を目撃した事はあるが、ことごとく振っている。
折角の機会なのに何故だとオレはいつも疑問に思っていた。
山本が野球で汗を流す姿を見ているのは居心地が良い。
アイツはいつもヘラヘラしていて十代目とも仲が良いから気に入らないところも多いがオレはアイツから目それはが離せなかった。
一年前、獄寺が転校して来た。
第一印象はヤンキーだったか……。でもそれから会話を重ねる度、ヴァリアーとのリング争奪戦などを経て、獄寺の印象はがらりと変わっていた。
ツナへの忠誠心から義理や人情にも厚い人間だって分かったし、不器用ながら面倒見も良い奴だ。
オレに対しては悪態をつくけど、なんだかそれも可愛く思えてオレもついつい獄寺をからかったり、頻繁に話し掛けたりしている。
「十代目の右腕はオレだ。テメェは引っ込んでろ!」と言われても所謂ツンデレってやつかな?偶に見せる素直な態度にオレは獄寺の事をもっと知りたい、もっと仲良くなりたいと思っていた。
ある日、獄寺に実家の寿司屋に食べに来ないかと誘う事にした。
「おーい、獄寺。寿司は好きか?」
「寿司?好物だが、それがどうした?」
「オレの家寿司屋だろ?親父に言ったらタダで好きなだけ寿司を振る舞っても良いって言ってもらえてよ。良かったら食いに来ないか?」
「……中トロや大トロも食べ放題なのか?」
「勿論だ、遠慮なく食えよ。」
「じゃあ、行く。」
「よし!決まりだな。今日の放課後でいいか?」
「ああ。」
その日の放課後、実家の竹寿司で帰るや否や親父が「獄寺君かい?いつもウチの武が世話になってるね。仲良くしてくれてありがとう。今日は獄寺君へのお礼も兼ねて好きなだけ寿司を食べて行ってくれ。高級なネタだからって遠慮は要らないからよ。」
「あ、ありがとうございます……。」
初めて見るぎこちない獄寺の態度に思わず笑ってしまうと獄寺は親父には気付かれない様に起用にオレを睨み付けてきた。
「獄寺君、最初は何が食べたい?」
「中トロで……」
「あいよ!」
親父はいつも以上に気合が入っている気がした。
獄寺に中トロの寿司を握って目の前に出した。獄寺は一口で一貫食べると自然と「う、美味え……」と感想を漏らした。
親父は更にご機嫌になって獄寺にたらふく寿司を握った。
「ご馳走様でした。」
「また、食べてくれよ。お代は要らないしな。あ、折角だからもう少しゆっくりしっててくれ。武の部屋は汚ねえから恥ずかしいけどよ。」
「ちゃんと掃除もしてるって。」
二階に在るオレの部屋へ獄寺と向かった。
なんだろう……獄寺と二人きりででオレの部屋に行くって胸がドキドキする……。
何故だ?たかが野球馬鹿の部屋に行くだけなのにこの緊張感は……。
初めて訪れた野球馬鹿の部屋。如何にも男子中学生の部屋です。といった印象で部屋の様子を眺めていた。
「あんまり見んなって。恥ずかしいからさ。」
「ん?見られてやましい物でも置いてあんのか?」
「そんな物無いって!」
「よし、じゃあ、野球馬鹿の性癖を知る為にも先ずは定番のベッドの下から抜き打ちチェックをしてやるか。」
「勘弁して下さい。獄寺さん……」
「現行犯逮捕だな。」
「そんな事はさっさと忘れて適当に寛いでくれよ。」
「お、おう。」
胡坐をかいて正面に座り顔を見合わせていると、いざ何を話せばいいかお互い話題が浮かばない感じになってしまっている。
「獄寺は好きな奴は居ないのか?」
修学旅行の夜の様な話題を振ってしまった。
「そういう野球馬鹿はあんなに女どもから告白されまくってモテモテの良いご身分なのに何で誰とも付き合わないんだよ?」
「いや、なんつーか告白してもらるのは嬉しいし有難い事なんだけど、全然話もした事がない相手に告白されてもな……」
「この天然スケコマシ野郎が……」
「え!何でそうんるんだよ?」
「その野球馬鹿の陳腐な脳みそでせいぜい一生懸命か考えろ。」
「オレ、勉強もそうだけど難しい事を考えるの苦手なんだよなー。」
「オレは自分に持ってないものをもっている奴が好みだ。ヒントはここまで。さてと、長居いちまったな。親父さんには改めて寿司が美味かった事と礼を伝えておいてくれ。」
そして、その日は獄寺とは別れた。
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