ネット喫茶.com

オリジナル小説や二次創作、エッセイ等、自由に投稿できるサイトです。

メニュー

若様の優雅なインペルダウン生活

原作: ONE PIECE 作者: 茶木代とら
目次

看守たちの長期休暇(奴らに見つかったぞ編)その1

海軍の天竜人対応特殊捜査係の少将1は、ドフラミンゴ達が船から降りないうちに、急いで変装姿で船を降りた。彼が乗ってきた海軍の小型船は、さっき港に着いたばかりである。

(あの馬車に付いているマークは…)

馬車に乗った二人を尾行するには、こちらも馬車か馬でなければいけない。港には大きな貨物船から荷物が下ろされるのを待っている荷馬車が何台かあった。しかし、そのうちのどれかにあの馬車を追ってくれるよう頼んでも、引き受けてくれないだろう。

(まあ、いいさ。歩いてあのマークの天竜人の屋敷まで行けばいい。馬車が屋敷ではなく他のところに行ったとしても、ちょっと探れば奴の居場所くらい分かるだろう)

天竜人対応特殊捜査係の少将1、少将2、准将1の3人は、ニョロニョロ島の港でバーティがこの船から降りていくのを、偶然見かけた。甲板の上ではペラムが手を振っている。

「おい、見ろよ」「え?」「あの時の二人だ…」
この3人は、数か月前にペラムが父親に誘拐された時、その事件を担当したのだった。

それだけだったら、この3人もそれ以上何も思わなかっただろう。
しかし、日常の任務の中で鍛えられた嗅覚が働いたのだろうか。3人は、バーティとペラムが乗ってきた船の船体に空いた小さな窓から、ドフラミンゴの姿を垣間見た。
目隠し用のレースのカーテンはかかっていた。しかし、光の加減や角度などの条件が偶然に重なって、奇跡的に部屋の中の様子が3人の目に届いたのだった。

「おい、何か聞いてるか?」「いえ」「自分もです」

「この船はインペルダウンから来たのか…」
船自体には不審な点はなかった。しかし、船員にこの船には誰が乗っているのか聞いても、マリージョアへの普通の輸送船だとしか答えない。

「何かありそうだな」「ええ」「怪しいです」

誰が何の目的でドンキホーテ・ドフラミンゴをインペルダウンから連れ出したのは分からないが、何かあったら海軍にとばっちりの仕事が回ってくるのは分かり切っている。今のうちに探りを入れておいたほうがいいだろう。

少将1は、船から降りていくバーティに目を向けた。
「あれも気になる。准将1、後をつけろ。連絡は随時入れるように」「了解しました」

ドフラミンゴを乗せた船がニョロニョロ島から出航すると、20分後に少将1と少将2を乗せた船も出航した。
船の行き先がマリージョアなのはラッキーだった。海軍の船がずっと後ろに付いてきても、たまたま目的地が同じだと言うことができる。

翌日、今度はペラムが船を降りていった。ペラムには少将2が尾行についた。

そして数日後の今…。少将1は、看守に鎖で拘束されながら、迎えに来た馬車に乗り込んだドフラミンゴの行き先を探るべく、マリージョアの町の中を歩きだしたのだった。

職業柄、天竜人のことには精通している。待てよ、あのマークの家系の出身で、特別室担当の看守が一人いたのではなかっただろうか。さっき囚人を護送していた看守がそうか?

准将1と少将2からは、すでに何度か報告があった。バーティは別の船で海を航海している最中だという。ペラムはあの後すぐに母親の船に合流して、どこか他の場所に向かっているらしい。

ペラムを尾行中の少将2の報告は、以下の通りだ。
「今のところは異常ありません。看守が囚人の輸送隊から離れて、母親と一緒に船に乗っている理由は不明ですが…」

何らかの事情で囚人を他の場所に移動させる場合、看守の数は多いほうが良いはずだ。なぜわざわざ3名の看守のうちの2名が、単独で他の場所に向かったのだろう。何か特別な任務でも受けたのだろか。

それに、母親と一緒にいるというのは何故だ?ドフラミンゴを護送していた看守が、世界政府の馬車でなく、自分の家の馬車で移動したのも不可解だ。
天竜人や元天竜人相手の仕事は、常識が通用しないことがほとんどだが。


カスターとドフラミンゴは、カタコトと呑気に揺れる馬車で港から街に出た。大通りを抜け、小さな橋を渡ると、道の片側が高い石塀になった。この石塀の中に、カスターの両親の屋敷がある。
石塀の中に入るための門に着くまで、意外と長い距離があった。それだけ敷地が広いということだ。だが、やがて馬車は大きな門にたどり着き、門番が門扉を開けて馬車を通した。

ドフラミンゴの日記より …カスターの親の家にて
×月×日
カスターの家は快適だ。海楼石の手枷と足枷は付いたまんまだが。
屋敷の敷地が広くて、周りは高い石の塀で囲まれているから、庭に出ても外から姿を見られることはない。

カスターの父親と母親は、皺だらけのジイサンとバアサンだ。二人とも歳の割りには元気な老人で、親子は再会を喜んでいた。
カスターには妹もいるらしい。妹も、カスターがここにいるうちに来るとか来ないとか3人の間で話していたが、よく聞いていなかった。

×月×日
昨日と今日と、カスターの家で二日過ごしたが、さっそく飽きてしまった。おれにはジイサンバアサンと積もる話もねえし、この屋敷に残した子供の頃の思い出の品なんかもねえ。

カスターの野郎の目の届くところにいなきゃならねえのも煩わしい。
何でもいいから暇を潰せるものを見つけにゃならん。
目次

※会員登録するとコメントが書き込める様になります。