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あらん

ジャンル: その他 作者: ワーク
目次

血が流れる事を夢見た。

風で草が揺れ、川が流れ続ける。

血の温かさ、を感じながら、

土の上で動く、小さな物を見ている。

雨が降り、増水した川が僕の身体を飲み込んだ。

橋の上を車がいく。ライトで道を照らしながら。

朝が来る。

父も母も、知らない。

知らない、
何も、
知らない、
私も、
父も母も、
何も知らない。
分からない。


9月2日

僕は朝起きて、制服に着替え、玄関に座ってローファーを履くが

玄関からは動けない。

両親が仕事に行った後の事だったので、家には一人だった。

しばらくしたら、電話がかかってきた。時間は10時だった。

ソファーに座って、テレビを点けた。

とんでもなく、不安が襲ってくる。


何もかも、自業自得。


夕方、仕事から帰ってきた母が私の部屋を開けようとして、金切り声を上げた。

夜になって、父が帰ってきて、母と話をした後、僕の部屋を開けようとして、障子の外から、誰もが分かり切っている事を伝えた。


僕は朝起きて、制服に着替え、玄関に座ってローファーを履くが

玄関からは動けない。

両親が仕事に行った後の事だったので、家には一人だった。

しばらくしたら、電話がかかってきた。無視した。

自分の部屋でベッドに籠った。

とんでもなく、不安が襲ってくる。


何もかも、自業自得。


夕方、仕事から帰ってきた母が私の部屋を開けようとして、金切り声を上げた。

夜になって、父が帰り、母とリビングで話しあっていた。

何の話をしているか聞こえなかった。

とりあえず、彼らはひそひそと話し合っていた。

すごく、腹がたった。

イライラして、ベッドを殴った。

ひそひそ声は止んだ。


食パンを一枚食べて、制服を着て、ローファーを履く。

が、僕は玄関に座ったままで動けない。

玄関には父の靴。

家には父がいた。

僕は、自分の部屋に戻り、制服のまま、ベッドに潜った。

父は障子を勢いよく開けた。

「おい、学校、行けよ。」

「なぁ!」

「わかった?」

「わかった?!」

「行けよ!」

力強く障子が閉められる。


僕は、カバンを持って、ローファーを履いて、ドアを開けて家を出た。

社宅の最上階。

下を見下ろす。

ここから、落ちると死ぬかなぁ。

頭が一気に青ざめた。

眼が熱い。

鬱。

足が重い

階段を下って行って、
自転車に乗る。

行先を学校に定めて

ふらふらと自転車を走らせる、

橋から川を見下ろす。


川は流れ続けている。

河川敷に下りる。

草むらを行く。

血を流す夢を見る。

魚に身体を食べてもらう。


学校へ向かうにつれて段々とお腹が痛くなる。

コンビニのトイレに籠る。

無理だ、行けない。

自転車をこぐ、

ペダル。

空は青い。

コーナン

住宅街

田んぼ

痛い。

電車


家に帰ると。父はいなかった。


夕方になり、母がどたどたと、足を鳴らして、
「学校、行かなかったんだって!

お金払っているんだから!

わかった?!」


毎朝、しっかり準備をして、時間通り家を出る事は出来るが、学校へは行けない。

学校が近付くにつれ、どうしてもお腹が痛くなり、トイレに籠ってしまう。

でも、最後の授業だけ行く事があった。

とても気分が悪くなった。

でも、行ってみると大したことは無かった。

担任の先生からは学校に来ない時間が長ければ長いほど来づらくなると言われていた、実際に行ってみると気分が軽くなった。


スクールカウンセラーを薦められた。

月に2回程、大学から派遣された精神科の先生が学校に来る。

時間は約1時間だった。

最初はよく分からなかったが、質問された事に答えていき、話しているうちに段々、心?が軽くなった。

僕はその先部活を辞める事にする。

仕方ない。生きていくためだ。と思いながら。

僕は何か月ぶりに音楽室に行き、顧問に会う。

「あの、、、部活を辞めようと思います。」


僕はまた心が軽くなった。

自転車で爆速で飛ばして、家に帰った。


毎日、学校に行ってはただ家に帰った。

授業が終わるたびに数字を数えた。
1、2、3,4,5,6、

長いときは8時間まであった。

部活をしている時より楽だった。

教室では、基本的に誰とも喋らなかった。

1人でいた。

周りの音を聞いていた。

学校に行けば親は何も言わなくなった。

トイレに行った時、クラスで一番目立つような人と
たまたま二人きりになり、「人生楽しまなあかんで」的な事を云われた。


僕は詩を書くようになった。

授業中でも、休み時間でも

結局それは憎しみや後悔や開き直りだった。

そんな文章でもどうしてこうなったんだろう、どうして自分の人生の中で毎回こんな中途半端な事になってしまうんだろうって事を少しずつ言語化していた。

後、高校が終われば旅に出ようと思った。

誰もいない場所に行きたいを思った。

全てを捨てたいと思った。

大学は、適当に通信の大学を選んだ。



図書館の出っ張りから外を見て果てしないと思う。

僕は旅なんかに出れなかった。

深い闇の森の入り口の目の前まで行って、結局はチャリで帰るだけだった。

でも、持ち物のほとんどを捨てた。

その時に、高校で書いた詩も捨てた。


「音楽って楽しい」

って入った部活に入ったら、僕は1年半ぐらいで病んで精神病になった。


僕は、死んだ。

電車が見える。4階から飛び降りた。

血が飛び散った。

当たり前だった。

僕が死ぬのは、僕は飛び降りる振りをした。

あの日のコンクールみたいに弾く真似をした。

でも、届いた、僕の音は届いた。

母も父も感動した。

僕は頑張った。

いきなり消えてしまったけれど、僕は頑張ったに違いない。

何言ってんのって思われるかもしれないけど。
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