ショットガン・ロシアンルーレット③
ガシャッ。
レバーを引いた音が衝立の向こうから聞こえた。
後半戦、ショットが攻め、レインが守り。
まずはどのショットガンに弾を装填するかの選択だが、ショットは大して悩まず、すぐに決定した。
自分がレバーを引いた時と全く同じ音が聞こえたのを聞いて、レインは覚悟を決めた。
次は自分が、撃たれる場所を選ぶ番なのだと。
準備が終わり、衝立を回り込み、再び両者が相まみえる。
泣いても笑ってもギャンブルに決着がつく、最後の勝負が始まった。
「さぁ、どこを選ぶんだ?」
この銃の扱いは慣れたものなのだろう。
ショットは軽い調子で銃口をレインに向けた。
・・・その瞬間、心臓を握られたような感覚。
至近距離で、銃口を向けられるということは、ここまで恐ろしいものなのかと。
ハルマは思わず緊張でむせる。あまりのプレッシャーに喉がカラカラになり、タバコの煙も喉を通ってくれない。
レインは向けられた銃の先をじっと見つめる。
その黒い穴の中には、弾が入っているのか否か。
「シールドだ」
「お?」
「俺は1戦目、シールドを選ぶ」
「シールド!?」
シールドということは、レインはこの1戦目に弾が入っていると読んだということだ。
その判断の根拠はどこからきたのかと本気で不安になるハルマだったが、もうひとつの可能性が頭をよぎる。
「く・・・ふ・・くっくくくくく、もしや怖気づいたんじゃないだろうねぇ?」
嘲笑するショット。
そう、シールドかパスを選べば、まず銃で撃たれることはなくなるのだ。
つまり、”読み”がないのであればただの”逃げ”の選択であるということ。
「今までもいっぱいいたよ。土壇場となるとみんなパスかシールド。お金より命が欲しくなるんだ」
そう言いつつ、ショットは壁へ銃を向ける。
「弾なんて入ってないのにな」
カチッ。と、無慈悲な音がわずかに響く。
この銃は空だったのだ。
これでもうシールドを使うことはできない。
次に弾が来た時にパスを選択しなければ、レインに凶弾が放たれることとなる。
「くっくく。せいぜい腕や足を外して、頭に撃つ、なんてことにならないといいねえ。さすがに脳漿をぶちまけるのは目覚めが悪い」
使い終わった銃を置くと、すぐにショットは次の銃を持ち、
レインの真似をして煽っているのか、指を引っ掛け銃身を回転させる。
そして、銃口をレインへ。
「さぁ、次はどうする!?」
「・・・・・」
ハルマは、気づけば手にもっていたタバコの箱をぐしゃぐしゃに握りつぶしていた。
手を開けば、汗まみれの手のひらに空気が通って心地よさを覚える。
レインは銃身をじっと見つめたまま動かないし、喋らない。
もしここでパスをして、実弾でなければ必ず銃を食らうことになる。
かといって、ここで身体を指定してもし弾が入っていたら・・・。
胃がギリギリと締め付けられ、吐き気を覚える。
何も動きを見せないレインが心配で心配でしょうがなかった。
「・・・あんた、やっぱり人を殺したこともあるのか?」
ようやく口を開いたレイン。
それはショットへの問いかけだった。
「ん?そりゃまぁ、こんなギャンブルをしていたらな。文字通り命賭けだもの」
「そうか・・・」
それを聞くと、レインは目を閉じ、ゆっくりと深呼吸を始めた。
深く息を吸い、静かに吐く。
そして、覚悟は決まったとばかりに目を開いた。
「あんたはここで必ず倒す」
「やってみろ!レインくん!お前の力を見せてみろよ!」
「・・・左腕だ」
「ほう」
「レイン・・・!」
レインは潔く、ショットがやっていたのと同じように左腕を差し出した。
その細い腕は、おそらく衝撃で粉々に砕け散ることだろう。
もし、弾が出れば。
「ここは出ない。そう読んだわけかい。なるほどなるほど」
ショットは銃を、いやレインの左腕を弄ぶように、銃口をゆらゆらと揺らす。
しかし、
「いや、逆だ」
ショットはその揺れて定まらぬ銃身を右手で掴むと、自らの左腕の前で固定する。
自分で自分の左腕に、狙いを定めろと運んだのだ。
「入ってんだろ?弾」
「な、なにをやってる!?」
その行為に、ショットは今日初めて狼狽する。
目の前の男が自分の左腕に銃を突きつけさせているのもそうだが。むしろその口から出た言葉に。
なぜ、弾が入っていることを知っている!?
「きっかけは前半戦のあんたの言葉だった」
「『くく・・・暴発せんようにな』」
「なんてことない台詞だったが、これは俺が勝負の前に銃を落とした所から繋がってる台詞だろ?
つまりお前は、あの時落とした銃があの銃だってことを認識していたんだ」
確かにレインが銃を落とした時、ショットはこう言っていた。
『おいおい・・・緊張して手でも滑ったか?壊れて暴発させないようにな』
落としたせいで壊れたかも?という可能性がある銃だということを、ショットはわかっていたのだ。
「な・・・な・・・」
「要するに衝立の向こうで落とした銃を判別する方法があるってこと。
そんなことができるんなら、俺の銃に弾が入っているかどうかもわかったことだろうな」
前半戦、ショットは見事レインの弾をシールドで受けるという理想的な選択をしている。
これは、そもそも弾が入っていることを知っていたからなのだ。
「じゃあそれはなんだって話だが・・・」
「ま、まさかお前、気づいて」
「音だろ?」
「ぐがっ・・・!」
図星を突かれたのか、ショットは声にならぬ驚きを上げる。
「音・・・?」
後ろでそのやりとりを聞いているハルマだが、レインの言っていることはさっぱり理解できていない。
「この銃、恐らくひとつひとつ微妙に素材を弄って、全体の”音”を調節しているんだろう。
わかりやすいところで言えば、レバーなんかの音を違う音が出るようにしたりとかだな
お前は銃が落ちた音であの銃を判別していたんだ」
そうなれば、通し番号がついているのは、当初レインが思っていた理由とは全く違ったものになる。
番号ごとの音を覚えておけば、銃口を向けられた際に番号の刻印を見れば一発でどの銃なのかがわかるからである。
「ま、銃を落としたのはイレギュラーだからな。本命はレバーを引いた時の音・・・。
この地下室、二人で静かに準備してたんじゃどうしたって装填の時の音は聞こえるからな
今までもそうやってこのギャンブルを勝ち抜いてきたんだろ」
「で、でもよぉレイン。なんで今ショットが持ってる銃に弾が入ってるなんてことがわかるんだ?
お前にも音で判別できるのか?」
「いや・・・そもそもここまでわかってれば自明の理なのさ。
音に違いがあるというのなら、間違いなく取る選択がある」
「ん・・・?」
「音の違いを相手に悟られないように、同じ番号の銃を選ぶのさ」
「あああああ!」
耳の鋭い者ならば、レバーを引いた際の音の違いに気づいてしまう恐れがある。
それを防ぐためには、”全く同じ音が響く”銃を選んでしまうのが最良である。
そう、今回の戦いのように。
「・・・・く・・・くっくくく。はっはっは!馬鹿かお前は!!レイン!!!!」
並べられたレインの理論に驚愕し、黙り込んでいたショットだったが、
途端に高笑いを始め、レインを罵る。
「弾が入っているとわかってんのに左腕で受けてどうする!言っとくがもう変更は認めないぞ!必ず弾を受けてもらう!」
「・・・ハルマさん、ここで俺が弾を受けた場合、点数はどうなると思う?」
「え?」
「ゲームの点数だよ。計算してみてくれ」
そう言われ、ハルマは指を折って計算する。
まず1戦目、レインはシールドを選択している。ルール上はパスでなければ10ポイント加算のため、まずここで10。
そして、確かルールでは実弾をパスやシールドで受けなかった場合、以降の追加ポイントが20点になるという取り決め。
これは恐らく弾を入れるタイミングで悩ませるルールなのだろう、とハルマは流していたが・・・
計算すると、残り6丁の銃×20ポイント、つまりこれだけで120ポイント。
先ほどの10ポイントと合わせて・・・130ポイント。
「あ・・・・!」
前半戦、ショットの獲得したポイントは120である。
つまり、
「この勝負・・・俺の勝ちなんだよ、ショットさんよ」
「け、けどお前、今から左腕を!」
「まぁ見てなって」
そう言うと、レインは変わらず握っている銃口を、急かすように自らの左腕へ誘導する。
「さぁ、撃てよ」
「こ・・・のガキ。私がビビって撃つのを躊躇うとでも思ったか・・・?残念だが・・・」
引き金にかかった指に、絞るように力がかかる。
人差し指はどんどん曲がっていき、やがて・・・
撃鉄を起こす。
「吹っ飛べ!!!」
ガァン!
ショットの威勢を象徴するかのような豪快な音が響いた。
薬莢が飛び、火薬が炸裂する。
グシャ…ボト…
至近距離でショットガンを食らったレインの左腕は、文字通り弾け飛んだ。
皮が破れ、中身を盛大にぶちまけることになる。
しかし・・・、宙に舞い飛散するその左腕を見て、ショットとハルマは驚愕する。
飛んだのは血液でも、血管でも、肉でもない。
ボルトやら、ケーブルやら、金属片やらが飛び散っていたのだ。
「おま・・・お前・・・」
「悪いな、義手なんだよ。俺の左腕は」
ショットは口をパクパクさせると、絨毯に膝を突いた。
40代ぐらいに見えていた男は、あまりのショックに一気に老け込む。
「というわけで・・・用意してもらおうか。130ポイント分の賞金、1億3千万ウルを」
レバーを引いた音が衝立の向こうから聞こえた。
後半戦、ショットが攻め、レインが守り。
まずはどのショットガンに弾を装填するかの選択だが、ショットは大して悩まず、すぐに決定した。
自分がレバーを引いた時と全く同じ音が聞こえたのを聞いて、レインは覚悟を決めた。
次は自分が、撃たれる場所を選ぶ番なのだと。
準備が終わり、衝立を回り込み、再び両者が相まみえる。
泣いても笑ってもギャンブルに決着がつく、最後の勝負が始まった。
「さぁ、どこを選ぶんだ?」
この銃の扱いは慣れたものなのだろう。
ショットは軽い調子で銃口をレインに向けた。
・・・その瞬間、心臓を握られたような感覚。
至近距離で、銃口を向けられるということは、ここまで恐ろしいものなのかと。
ハルマは思わず緊張でむせる。あまりのプレッシャーに喉がカラカラになり、タバコの煙も喉を通ってくれない。
レインは向けられた銃の先をじっと見つめる。
その黒い穴の中には、弾が入っているのか否か。
「シールドだ」
「お?」
「俺は1戦目、シールドを選ぶ」
「シールド!?」
シールドということは、レインはこの1戦目に弾が入っていると読んだということだ。
その判断の根拠はどこからきたのかと本気で不安になるハルマだったが、もうひとつの可能性が頭をよぎる。
「く・・・ふ・・くっくくくくく、もしや怖気づいたんじゃないだろうねぇ?」
嘲笑するショット。
そう、シールドかパスを選べば、まず銃で撃たれることはなくなるのだ。
つまり、”読み”がないのであればただの”逃げ”の選択であるということ。
「今までもいっぱいいたよ。土壇場となるとみんなパスかシールド。お金より命が欲しくなるんだ」
そう言いつつ、ショットは壁へ銃を向ける。
「弾なんて入ってないのにな」
カチッ。と、無慈悲な音がわずかに響く。
この銃は空だったのだ。
これでもうシールドを使うことはできない。
次に弾が来た時にパスを選択しなければ、レインに凶弾が放たれることとなる。
「くっくく。せいぜい腕や足を外して、頭に撃つ、なんてことにならないといいねえ。さすがに脳漿をぶちまけるのは目覚めが悪い」
使い終わった銃を置くと、すぐにショットは次の銃を持ち、
レインの真似をして煽っているのか、指を引っ掛け銃身を回転させる。
そして、銃口をレインへ。
「さぁ、次はどうする!?」
「・・・・・」
ハルマは、気づけば手にもっていたタバコの箱をぐしゃぐしゃに握りつぶしていた。
手を開けば、汗まみれの手のひらに空気が通って心地よさを覚える。
レインは銃身をじっと見つめたまま動かないし、喋らない。
もしここでパスをして、実弾でなければ必ず銃を食らうことになる。
かといって、ここで身体を指定してもし弾が入っていたら・・・。
胃がギリギリと締め付けられ、吐き気を覚える。
何も動きを見せないレインが心配で心配でしょうがなかった。
「・・・あんた、やっぱり人を殺したこともあるのか?」
ようやく口を開いたレイン。
それはショットへの問いかけだった。
「ん?そりゃまぁ、こんなギャンブルをしていたらな。文字通り命賭けだもの」
「そうか・・・」
それを聞くと、レインは目を閉じ、ゆっくりと深呼吸を始めた。
深く息を吸い、静かに吐く。
そして、覚悟は決まったとばかりに目を開いた。
「あんたはここで必ず倒す」
「やってみろ!レインくん!お前の力を見せてみろよ!」
「・・・左腕だ」
「ほう」
「レイン・・・!」
レインは潔く、ショットがやっていたのと同じように左腕を差し出した。
その細い腕は、おそらく衝撃で粉々に砕け散ることだろう。
もし、弾が出れば。
「ここは出ない。そう読んだわけかい。なるほどなるほど」
ショットは銃を、いやレインの左腕を弄ぶように、銃口をゆらゆらと揺らす。
しかし、
「いや、逆だ」
ショットはその揺れて定まらぬ銃身を右手で掴むと、自らの左腕の前で固定する。
自分で自分の左腕に、狙いを定めろと運んだのだ。
「入ってんだろ?弾」
「な、なにをやってる!?」
その行為に、ショットは今日初めて狼狽する。
目の前の男が自分の左腕に銃を突きつけさせているのもそうだが。むしろその口から出た言葉に。
なぜ、弾が入っていることを知っている!?
「きっかけは前半戦のあんたの言葉だった」
「『くく・・・暴発せんようにな』」
「なんてことない台詞だったが、これは俺が勝負の前に銃を落とした所から繋がってる台詞だろ?
つまりお前は、あの時落とした銃があの銃だってことを認識していたんだ」
確かにレインが銃を落とした時、ショットはこう言っていた。
『おいおい・・・緊張して手でも滑ったか?壊れて暴発させないようにな』
落としたせいで壊れたかも?という可能性がある銃だということを、ショットはわかっていたのだ。
「な・・・な・・・」
「要するに衝立の向こうで落とした銃を判別する方法があるってこと。
そんなことができるんなら、俺の銃に弾が入っているかどうかもわかったことだろうな」
前半戦、ショットは見事レインの弾をシールドで受けるという理想的な選択をしている。
これは、そもそも弾が入っていることを知っていたからなのだ。
「じゃあそれはなんだって話だが・・・」
「ま、まさかお前、気づいて」
「音だろ?」
「ぐがっ・・・!」
図星を突かれたのか、ショットは声にならぬ驚きを上げる。
「音・・・?」
後ろでそのやりとりを聞いているハルマだが、レインの言っていることはさっぱり理解できていない。
「この銃、恐らくひとつひとつ微妙に素材を弄って、全体の”音”を調節しているんだろう。
わかりやすいところで言えば、レバーなんかの音を違う音が出るようにしたりとかだな
お前は銃が落ちた音であの銃を判別していたんだ」
そうなれば、通し番号がついているのは、当初レインが思っていた理由とは全く違ったものになる。
番号ごとの音を覚えておけば、銃口を向けられた際に番号の刻印を見れば一発でどの銃なのかがわかるからである。
「ま、銃を落としたのはイレギュラーだからな。本命はレバーを引いた時の音・・・。
この地下室、二人で静かに準備してたんじゃどうしたって装填の時の音は聞こえるからな
今までもそうやってこのギャンブルを勝ち抜いてきたんだろ」
「で、でもよぉレイン。なんで今ショットが持ってる銃に弾が入ってるなんてことがわかるんだ?
お前にも音で判別できるのか?」
「いや・・・そもそもここまでわかってれば自明の理なのさ。
音に違いがあるというのなら、間違いなく取る選択がある」
「ん・・・?」
「音の違いを相手に悟られないように、同じ番号の銃を選ぶのさ」
「あああああ!」
耳の鋭い者ならば、レバーを引いた際の音の違いに気づいてしまう恐れがある。
それを防ぐためには、”全く同じ音が響く”銃を選んでしまうのが最良である。
そう、今回の戦いのように。
「・・・・く・・・くっくくく。はっはっは!馬鹿かお前は!!レイン!!!!」
並べられたレインの理論に驚愕し、黙り込んでいたショットだったが、
途端に高笑いを始め、レインを罵る。
「弾が入っているとわかってんのに左腕で受けてどうする!言っとくがもう変更は認めないぞ!必ず弾を受けてもらう!」
「・・・ハルマさん、ここで俺が弾を受けた場合、点数はどうなると思う?」
「え?」
「ゲームの点数だよ。計算してみてくれ」
そう言われ、ハルマは指を折って計算する。
まず1戦目、レインはシールドを選択している。ルール上はパスでなければ10ポイント加算のため、まずここで10。
そして、確かルールでは実弾をパスやシールドで受けなかった場合、以降の追加ポイントが20点になるという取り決め。
これは恐らく弾を入れるタイミングで悩ませるルールなのだろう、とハルマは流していたが・・・
計算すると、残り6丁の銃×20ポイント、つまりこれだけで120ポイント。
先ほどの10ポイントと合わせて・・・130ポイント。
「あ・・・・!」
前半戦、ショットの獲得したポイントは120である。
つまり、
「この勝負・・・俺の勝ちなんだよ、ショットさんよ」
「け、けどお前、今から左腕を!」
「まぁ見てなって」
そう言うと、レインは変わらず握っている銃口を、急かすように自らの左腕へ誘導する。
「さぁ、撃てよ」
「こ・・・のガキ。私がビビって撃つのを躊躇うとでも思ったか・・・?残念だが・・・」
引き金にかかった指に、絞るように力がかかる。
人差し指はどんどん曲がっていき、やがて・・・
撃鉄を起こす。
「吹っ飛べ!!!」
ガァン!
ショットの威勢を象徴するかのような豪快な音が響いた。
薬莢が飛び、火薬が炸裂する。
グシャ…ボト…
至近距離でショットガンを食らったレインの左腕は、文字通り弾け飛んだ。
皮が破れ、中身を盛大にぶちまけることになる。
しかし・・・、宙に舞い飛散するその左腕を見て、ショットとハルマは驚愕する。
飛んだのは血液でも、血管でも、肉でもない。
ボルトやら、ケーブルやら、金属片やらが飛び散っていたのだ。
「おま・・・お前・・・」
「悪いな、義手なんだよ。俺の左腕は」
ショットは口をパクパクさせると、絨毯に膝を突いた。
40代ぐらいに見えていた男は、あまりのショックに一気に老け込む。
「というわけで・・・用意してもらおうか。130ポイント分の賞金、1億3千万ウルを」
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