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ガンダムNT:S007

原作: 機動戦士ガンダム 作者: よしふみ
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ACT199    『スターダスト』




「……はい。では、次の大型装備の説明をさせていただきますね……」
「宇宙戦ではなく、アステロイド帯での装備か。デブリ・ポイントといった方が正確だが」
「そうですね。障害物が多い場所では、フェネクスも最大速度を抑えるハズです。高速と機動力は反比例します。そんな場所に誘い込めれば……戦略的な有利を獲得することが出来るハズですよね」
「そうだな。襲撃されたコロニーや、戦艦の残骸が漂うような宙域に、フェネクスを誘い込めれば、我々には有利となるはずだ」
「ええ……この装備での特徴は、接近戦での強度です」
「さっきのよりは小型なのね」
 ディスプレイを目を細めた視線でのぞき込みながら、ミシェル・ルオは印象を言葉にしていた。
「そうでうすね。それでも、一般的なモビルスーツに比べれば、巨体ですよ。追加装備のおかげで、やせっぽちのナラティブガンダムもマッチョに見えます」
「それは良かったわね。で。能力は?」
「……つけましたよ、感応波で制御された攻撃端末」
「……っ!まさか、ファンネルか?」
「そうですよ……」
 どうしてか、工場長の表情は暗いものであった。
「どうしたんだ?」
「いえね……まあ、悪くはない装備なんですがね……このファンネル、設計通りに作りましたけど……ちょっとダサいところがありますよね……」
「……ああ。有線というところね」
「そうなんです!……ダサい……ッ。いや、分かりますよ?……通常のファンネルを無数に操作するなんてのは、よほどの能力者でなければ出来ません。ファンネルって、それぞれに対して、マニューバを送る必要があるんですよ?……そんなこと、訓練期間の少ないヒトには、ムリです。才能があろうがなかろうが、どうにもなりませんよ、そこは」
「ジュナにファンネルの群れを操るなんてことは、難しいでしょうね。それに、問題もあるのよね」
「……ファンネルがすたれつつある理由か。威力が低いからな。小型につくり過ぎれば、威力は犠牲になるし、使用時間も限られる」
「そうです。ガンダリウム合金を超えるサイコフレームのカタマリですからね、ユニコーンガンダム3号機は。しかも、1号機や2号機よりも、進化している可能性が高い……無限大のエネルギーをどこからか入手して動くような、モンスターです。ファンネルに内蔵された小型のビーム攻撃では、フェネクスに有効打になりそうにないです」
「……だから、大型化しているわけだ」
「そうですね。そして、有線でエネルギーを送り込む。ゆえに、かなりの威力を発揮しますよ……使い方次第ですけれど、この有線ファンネルなら、強度の高いIフィールドを展開することも可能です」
「いいこと尽くめというわけだな。悪い選択ではない……弱点はモロにあるが」
「ええ。機動性が悪い。ファンネルの売りである、超高機動……そういう能力は、この有線式ファンネルには、デザインされているものではありません……このファンネルは、かなり遅いわけですよね……はあ、そこに、エンジニアとしてのロマンが萎えるんですよ」
「萎えてもいいわ。要は、有効な武器であるかどうかということよ。その点は、大丈夫なんでしょう?」
「は、はい……この有線から十二分なエネルギーを送り込みますから、フェネクスのサイコフレームが相手でも、破壊することは難しいコトはありません。ビームを直撃させれば部位を破壊することは可能……あるいは、接触して絡め取ることで、機動力を殺すというのも手でしょう」
「……そういう戦術は、出来ているのね?」
「もちろんだ。そういう特殊な状況をメイクするのも、実行するのも、我々、シェザール隊は慣れているんだ。だからこそ、スカウトしたわけだろう、ミシェル・ルオよ?」
「そうよ。期待しているの。だから、ミスしないでね。私に、フェネクスとリタを手に入れさせてくれるかしら」
「……可能な限り、努力をする」
「ならば、十分よ……さて。三番目の装備は……?」
「ええ。地味ですが、全体的に追加装甲を施しています。まるで、通常のモビルスーツに見えますね」
「そうね」
「……変わった装備はありません。スピードを強化し、装甲を上げている。サイコフレームを多く使っていますから、頑丈ですし、軽くて動きやすさがあります」
「……ふむ。オーソドックスなガンダムだな」
「νガンダムの99%ぐらいの性能はありますよ。最新鋭機のユニコーンガンダムに比べれば、かなり劣ることになりますが、スペックでシンギュラリティ・ワンと戦ったところで、どうにもなりませんからね……とにかく、これはオーソドックスで、汎用性が高いです。ジェガンやジェスタの、シリーズ・オプション装備と同様な存在です」
「なるほど。ファイティング仕様のオプション・パーツにそっくりだな」
「売りはとくにありませんが、能力は高いですよ。どんな場所や状況でも、それなり以上に戦えるのが売り」
「ジュナ・バシュタ少尉には向いているな。格闘戦も射撃も、機動も十分だ……しかし、これは……」
「はい。捕獲用の装備は少なく、撃破することを選んだ場合の装備です。フェネクスの手足や翼を壊すことで、動きを殺せば……撃破せずに捕獲も出来はするでしょうがね」


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