19
翌朝本部に向かうといつも通り彼女は相変わらずの体制でキーボードをカタカタと叩いていた。
降谷「おはようございます。」
「んー。おあようごあいあす」
降谷「はぁ。」
何度言ってもゼリーを咥えながら仕事をする癖が直らない上司に降谷は大きくため息をついた。
そんな様子に風見も渋い顔をしながら近寄ると挨拶をした。
丁度風見もいることだし。と降谷は弁当を取り出した。
降谷「風見。また作り過ぎた。処理を頼む」
降谷がそう言って押し付けるように弁当を渡せば風見は開いた口が塞がらないと言った具合に口をポカンと開けていた。
風見「あ、ありがとうございます」
そして降谷はちらりとゼリーを咥えたままの上司を見るとパソコンの画面を遮るように弁当を差し出した。
風見「降谷さん…一体何者…」
どうせ無反応だろうと思っていた降谷はここに置いておきますねと言おうとしたが直ぐに彼女はゼリーをゴミ箱にシュートさせるとばっと降谷の方を振り返った。
「お、お弁当…ですか…!」
予想外の反応に降谷も風見も驚いた顔をしていた。
降谷「そうですけど…」
「食べていいんですか!!」
降谷「むしろ食べてください」
降谷がそう言うとありがとうございます!と弁当を受け取り早速タッパーの蓋を開け始めた。
「まさか…手作り…」
物珍しいものを見るようにいろんな角度からお弁当を見る様子はまるで子供のようだった。
降谷「そうですけど…」
「降谷さんすごいです!!…いただきます!!」
そう言うなりサンドイッチを手に取ると彼女は味わって美味しそうに食べていた。
「ご馳走様でした!!」
ぺろりと弁当を平らげた彼女はにっこりと満足げに手を合わせていた。
「すっごく美味しかったです!」
いつものようなクールな様子はなく、美弥妃はキラキラと目を輝かせて子供のようだった。
降谷「お口に合ったようでよかったです」
「はい!お弁当とか人生で初めて作ってもらったんで!すっごく嬉しいです!」
風見「初めて…?」
「あー、はい。弟に作ってあげる事はあったんですけど自分が誰かに作ってもらう事はなかったので」
風見「え?弟さんいらっしゃるんですか?」
「まぁ血は繋がってないんですけどね」
さらりと爆弾を投下した彼女は降谷に今度何かお礼させてくださいというとまたいつもの体制で仕事を始めた。
その日の彼女はかなり元気で、目にも止まらぬスピードで仕事を終えていった。
全員が定時で帰る中、いつも念入りに仕事をしていた彼女が今日はみんなと同じように帰り支度を始めたのだった。
剛田「珍しいっすね?」
「そうなんです。今日は降谷さん自家製のお弁当を食べたのでいつもより疲れなくて。」
剛田「え!降谷さんが…弁当を…手作り…」
「私降谷さんみたいなお母さんが欲しいです。」
剛田「降谷さんが…料理…俺も料理始めようかな…」
「是非。剛田さんもお母さん候補ですね」
剛田「え?お母さん?」
「内緒ですよ、私今日こっそり心の中で降谷さんのことお母さんって呼んでたんです。降谷さんってなんだかお母さんみたいじゃないですか。…ちなみに風見さんは風見パパです。嫁の尻に敷かれる夫をイメージしてみました。」
美弥妃はこそこそと剛田に耳打ちした。
それを聞いた剛田は笑ってはいけないと思いながらも堪えきれずに大笑いしてしまった。
そんな様子を見たのか風見が二人の元に寄ってきた。
風見「何かよからぬ話でもしているんですか」
降谷を怒らせることはしないでくれと言わんばかりに風見が眉間に皺を寄せながら二人の元に来た風見に剛田は風見パパを思い出して咳き込むほど笑っていた。
剛田「か、ククっ…か、かざ…風見…ふはっ…かざ、風見パパ…アハハハハ!!ダメだ!あははは!!」
風見「矢神さん…剛田に何を吹き込んだんですか。」
風見は呆れ顔でため息をついた。
「風見さんが風見パパで、降谷さんがお母さんって言っただけですよ?…だってほら、降谷さんって料理できてお弁当作ってくれて、お母さんっぽいじゃないですか。だからその相棒は風見パパかなって」
風見「それ、絶対に降谷さんの前で言わ…」
降谷「誰がお母さんですか。」
風見が言いかけた時既に遅し。降谷が風見の後ろからぬっと現れた。
「あ、おか…降谷さん」
剛田「ぶあははははは!!!」
降谷「剛田。何がそんなにおかしい」
降谷が冷たくそういうと剛田は突然ピシッと立ってなにもおかしくありません!と言うものの、風見と降谷をセットで見るとぶふっと笑いをこらえきれていなかった。
降谷「矢神さん、部下に変なことを吹き込むのはやめてください。」
「すみません…でも降谷さん、きっと本当に良いお母さんになれますよ」
剛田「ぎゃははははは!!!ひぃー!ぶあははははは!!!矢神さん、それは反則です!!ひはははは!!!」
剛田はツボに入ったのか笑いを堪えきれず、お疲れ様ですと笑いながら言うとさっさと逃げ帰ってしまった。
降谷「僕は男です。」
「でもお母さんになれます!風見パパもいますし!」
降谷「おはようございます。」
「んー。おあようごあいあす」
降谷「はぁ。」
何度言ってもゼリーを咥えながら仕事をする癖が直らない上司に降谷は大きくため息をついた。
そんな様子に風見も渋い顔をしながら近寄ると挨拶をした。
丁度風見もいることだし。と降谷は弁当を取り出した。
降谷「風見。また作り過ぎた。処理を頼む」
降谷がそう言って押し付けるように弁当を渡せば風見は開いた口が塞がらないと言った具合に口をポカンと開けていた。
風見「あ、ありがとうございます」
そして降谷はちらりとゼリーを咥えたままの上司を見るとパソコンの画面を遮るように弁当を差し出した。
風見「降谷さん…一体何者…」
どうせ無反応だろうと思っていた降谷はここに置いておきますねと言おうとしたが直ぐに彼女はゼリーをゴミ箱にシュートさせるとばっと降谷の方を振り返った。
「お、お弁当…ですか…!」
予想外の反応に降谷も風見も驚いた顔をしていた。
降谷「そうですけど…」
「食べていいんですか!!」
降谷「むしろ食べてください」
降谷がそう言うとありがとうございます!と弁当を受け取り早速タッパーの蓋を開け始めた。
「まさか…手作り…」
物珍しいものを見るようにいろんな角度からお弁当を見る様子はまるで子供のようだった。
降谷「そうですけど…」
「降谷さんすごいです!!…いただきます!!」
そう言うなりサンドイッチを手に取ると彼女は味わって美味しそうに食べていた。
「ご馳走様でした!!」
ぺろりと弁当を平らげた彼女はにっこりと満足げに手を合わせていた。
「すっごく美味しかったです!」
いつものようなクールな様子はなく、美弥妃はキラキラと目を輝かせて子供のようだった。
降谷「お口に合ったようでよかったです」
「はい!お弁当とか人生で初めて作ってもらったんで!すっごく嬉しいです!」
風見「初めて…?」
「あー、はい。弟に作ってあげる事はあったんですけど自分が誰かに作ってもらう事はなかったので」
風見「え?弟さんいらっしゃるんですか?」
「まぁ血は繋がってないんですけどね」
さらりと爆弾を投下した彼女は降谷に今度何かお礼させてくださいというとまたいつもの体制で仕事を始めた。
その日の彼女はかなり元気で、目にも止まらぬスピードで仕事を終えていった。
全員が定時で帰る中、いつも念入りに仕事をしていた彼女が今日はみんなと同じように帰り支度を始めたのだった。
剛田「珍しいっすね?」
「そうなんです。今日は降谷さん自家製のお弁当を食べたのでいつもより疲れなくて。」
剛田「え!降谷さんが…弁当を…手作り…」
「私降谷さんみたいなお母さんが欲しいです。」
剛田「降谷さんが…料理…俺も料理始めようかな…」
「是非。剛田さんもお母さん候補ですね」
剛田「え?お母さん?」
「内緒ですよ、私今日こっそり心の中で降谷さんのことお母さんって呼んでたんです。降谷さんってなんだかお母さんみたいじゃないですか。…ちなみに風見さんは風見パパです。嫁の尻に敷かれる夫をイメージしてみました。」
美弥妃はこそこそと剛田に耳打ちした。
それを聞いた剛田は笑ってはいけないと思いながらも堪えきれずに大笑いしてしまった。
そんな様子を見たのか風見が二人の元に寄ってきた。
風見「何かよからぬ話でもしているんですか」
降谷を怒らせることはしないでくれと言わんばかりに風見が眉間に皺を寄せながら二人の元に来た風見に剛田は風見パパを思い出して咳き込むほど笑っていた。
剛田「か、ククっ…か、かざ…風見…ふはっ…かざ、風見パパ…アハハハハ!!ダメだ!あははは!!」
風見「矢神さん…剛田に何を吹き込んだんですか。」
風見は呆れ顔でため息をついた。
「風見さんが風見パパで、降谷さんがお母さんって言っただけですよ?…だってほら、降谷さんって料理できてお弁当作ってくれて、お母さんっぽいじゃないですか。だからその相棒は風見パパかなって」
風見「それ、絶対に降谷さんの前で言わ…」
降谷「誰がお母さんですか。」
風見が言いかけた時既に遅し。降谷が風見の後ろからぬっと現れた。
「あ、おか…降谷さん」
剛田「ぶあははははは!!!」
降谷「剛田。何がそんなにおかしい」
降谷が冷たくそういうと剛田は突然ピシッと立ってなにもおかしくありません!と言うものの、風見と降谷をセットで見るとぶふっと笑いをこらえきれていなかった。
降谷「矢神さん、部下に変なことを吹き込むのはやめてください。」
「すみません…でも降谷さん、きっと本当に良いお母さんになれますよ」
剛田「ぎゃははははは!!!ひぃー!ぶあははははは!!!矢神さん、それは反則です!!ひはははは!!!」
剛田はツボに入ったのか笑いを堪えきれず、お疲れ様ですと笑いながら言うとさっさと逃げ帰ってしまった。
降谷「僕は男です。」
「でもお母さんになれます!風見パパもいますし!」
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