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Moon face

原作: 名探偵コナン 作者: takasu
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そして死んでいるのを確認するとボスがこちらに銃を向けているのも御構い無しにボスの方に駆け出した。

何発か銃弾をかすったがそれすらも御構い無しにボスに殴りかかり馬乗りになると相手を殴りつけてフードを剥ぎ取った。

「やっぱり…あんたが…!!」

そこに見えた顔は黒江だった。

黒江「はは、君はやはり良い。たのしい兄弟愛だったよ。」

「なんでっ…私さえ我慢すれば…二人のことは助けてくれるんじゃなかったんですか!!」

美弥妃の様子に部下達は誰一人として動くことができなかった。


我を失ったように黒江を殴りつける美弥妃を止めたのは降谷だった。

降谷は片手で美弥妃の細い腕を掴んだ。

すると何も言わずにすっと腕の力を抜いた美弥妃はゆっくりと立ち上がり上着を脱ぎながら口を開いた。

「黒江さんがこの組織のボスだったようです。捕獲と護送おねがいします。」

降谷にそう伝えるなり涼と雪のもとに駆け寄りもう無駄だとわかっているはずなのに自分の上着を二人の傷口に当てがった。

「涼、雪、大丈夫だからね。いま止血してるから…大丈夫だから…病院、連れて行くからね…」

そう言うと剛田の前まで歩いて頭を下げた。

「あなたが一番体が大きいでしょう…。涼と雪を…病院に連れて行って下さい。お願いします」

その様子に全員が目をそらした。

なぜなら彼女が止血しようとしていた涼はとっくに息絶えていることは見てわかっていたのだ。

剛田「矢神さん…もう彼は…」

「お願いします!!涼も…雪も…早く….早く外に連れて行ってあげて下さい。…お願いします…」

美弥妃は言って剛田にすがりついた。

剛田「わかりました…おい、ちょっと手伝え。」

剛田は近くにいた同僚に声をかけると静かに二人の遺体を運び出した。

そしてそれに続くように黒江を抑えた降谷が歩いてきた。

「…みなさんはこのまま外で待機して下さい。FBIと合流して万が一に備えてください。公安も、FBIも、絶対に私が指示するまで1歩も動かないでください。…それと、風見さん、少し手伝っていただけますか」

風見「はい」

美弥妃は身近にいた風見を連れて酒口の元へ向かった。


「風見さん、彼を連行して下さい。」

美弥妃は柱に繋いでおいた酒口の手錠を外し改めて掛け直すと風見に彼を預けた。

そして負傷していると言うのにまだ動き出しそうな彼女に風見は声をかけた。

風見「矢神さんはどうするんですか?!」

「私は残りの爆弾を解除しに向かいます。」

風見「一人でなんて無茶です!!ただでさえ負傷しているというのに!!」

「大丈夫です。風見さんは早く酒口を連れて出てください。…そして待機です。」

風見「しかしっ…!」

「いいから言ってください!!時間もあまりないんです!!」

美弥妃はそういうと風見の背中を押した。

風見「…わかりました」

風見は渋々頷くと酒口を連れて外に出た。

そして美弥妃は一人でどんどん中に進んでいき爆弾を一つづつ解除していった。

しかしそれも全て間に合ったわけでなく、あらゆる場所で爆発が起き、建物が崩壊し始めたのだった。

『早く出ないと…!!』

飛び降りれる高さなら飛び降りようか。そう思い外を見下げると降谷が部下を引き連れ血相を変えて中に入ってくるのを見た美弥妃はその場で立ち止まり、降谷達がくる場所を想定して走り出した。

『このままでは降谷さん達が崩壊に巻き込まれる…!!』


降谷「矢神さん!!どこですか!!いるなら返事をして下さい!!矢神さん!!」

部下「矢神さーん!!」

…ドオンッ!!…

降谷達が彼女を呼び続けるもまた新たな爆発がそう遠くない場所で起こった。

降谷「チィッ」

剛田「降谷さん!このまま矢神さんを探すのは危険です!!」

降谷「なら矢神さんを見捨てろと?!」

降谷が今にも殴りかかりそうな勢いでそう言った時だった。

「剛田さんの意見に賛同です。…よいしょっと」

剛田「矢神さん!!」

先程の爆発で崩れた瓦礫の中からひどく汚れた美弥妃が出てきた。

「ふぅ。なんとか間に合ったみたいですね」

砂埃を叩きながら降谷達の方に歩いてきた彼女を見るなり降谷は怒りをあらわにした。

降谷「矢神さん!貴女は…!」

怒っている降谷に美弥妃は降谷の顔の前に待ったと言わんばかりに手を出した。

「お説教は後にしてください。まずはここからの避難が先です。皆さんこちらの道をまっすぐ進んでください。ここのルートの爆弾は全て解除済みです。」

そう言うなり美弥妃は剛田を先頭につかせて部下達に先を歩かせた。

「さ、降谷さんも早く行ってください。」

最後まで残っていた降谷にそう声をかけた美弥妃を降谷はキッと厳しい目を向け、腕を掴んだ。

降谷「貴女も行きますよ」

しかしその腕はさらりと解かれた。

「私にはまだやることがあります。」

降谷「そんなこと言っている場合じゃないでしょう!今は避難が最優…」

降谷はそう言いかけた言葉を飲み込んだ。

なぜなら彼女が目を向けた先に爆弾が残っていたからだ。

しかも今までとは違う大型爆弾。
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