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Moon face

原作: 名探偵コナン 作者: takasu
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いつもは頑なに敬語を使い続ける彼女が珍しく取り乱していた。

赤井「こちらの情報に誤りがあったか?」

「その情報は確かなの?!答えて!!FBI!!」

美弥妃の様子に部下達は驚くばかりだが赤井だけは冷静だった。

赤井「君が持っている情報と違うところがあるのか?」

「…ないから確かめてるのよ…!!」

赤井「なら問題はないだろう。確かな情報だ。君ほどの情報収集能力を持って調べた情報だろう。間違いはないだろう。」

「…………そうですね。すみません。取り乱したりして。続けてください」

明らかに美弥妃の様子はおかしかった。

だが赤井は淡々と会議を進行させた。

会議が終わり全員がゾロゾロと部屋を出ていく中、美弥妃だけは資料から目を離さず、その資料を握りしめていた。

赤井「どうした。君らしくもない」

「赤井さん…。…今回の件、爆発だけで終わらない。…恐らく、爆発に乗じて暗殺が行われるはずです。…あいつは…あいつならきっとそうするから。」

赤井「あいつ?」

「…いえ。何でもありません。…その件は私が必ず何とかします。FBIは私の部下達をお願いします。…戦闘能力であなたの右に出るものはいないですから。いざとなればあなたのお得意のライフルも使ってください。…後のことはこちらが責任を取りますから。」

そういって美弥妃は部屋を出て行こうとすると赤井がその腕を掴んで止めた。

赤井「待て。知っていることがあるなら報告し合うべきだろう。」

「これは私の領域(エリア)です。誰一人巻き込むつもりはありません。…失礼します。」


それからというもの(名前)の様子はずっと変だった。

FBIと合同の会議中も気が立っている様子だった。

そんな時、彼女は会議中にバイブが鳴った携帯を見るなり顔色を変えて会議を放棄して飛び出そうとした。

一番近くにいた降谷がそれを引き止めた。

降谷「どこに行くんですか!会議中ですよ?!最近の貴女は様子が変です」

降谷がそう言うと美弥妃はキッと降谷を睨みつけた。

「離して!!行かなきゃいけないの!!」

降谷「会議中ですよ?!もう首脳会談まで日もないのに。最近の貴女はおかしいです!!」

「おかしくて結構!!離して!!」

そんな様子に部下達がざわつき始めると赤井も(名前)の方に来た。

赤井「出て行くならそれなりの事情を話すべきだろう。降谷くんの言う通り最近のお前さんはおかしいぞ。」

「煩い!!」

美弥妃はそう叫ぶと降谷の手を振りほどいて出ていってしまった。

仕方なく進められた会議はしんと静まり返っていた。

会議の後、降谷は赤井に声をかけた。

降谷「赤井」

赤井「君から声をかけてくるとは珍しいこともあるんだな」

降谷「不本意ですが。上司があの様子じゃ仕方ないでしょう。…一体矢神さんに何があったか知らないか。」

赤井「今調べているところさ。」

降谷「普段はタメ口も使わないような人だ。いつも冷静なのにあれほど取り乱したのは初めて見た…。わかったことがあれば教えてくれ。このままじゃ今回の案件でよからぬことが起きかねない」

赤井「同感だ。今回ばかりは手を組んでくれないか?なんせ君の上司があれじゃあこちらも安心して指示を貰えない。」

降谷「決まりだな。」

降谷と赤井はそう言って握手を交わした。

その様子をこそこそと見ていた風見は胃が痛くなったとか。


その日、FBIが帰ってからも彼女が本部に戻ってくることは無かった。

風見「降谷さん…矢神さんどうしたんでしょう」

定時は過ぎたのに荷物は置きっ放しで、何の連絡もないことに不安を覚えた部下達が降谷の元に集まっていた。

剛田「普段はあんな喋り口調じゃないのに…やっぱり俺達が一度裏切ったことがあったからピリピリしてるんすかね…」

しゅんとする剛田達に降谷は意外にも優しい言葉をかけた。

降谷「それだけじゃないだろう。あれからお前達はよくやってるさ。何か違う原因がありそうだな…」

全員が頭を抱えて来た時、怒鳴りつける声が聞こえて来た。

「ふざけるな!!どうして雪に教えたの!!どうして!!答えろ!!………何のための監視よ!!これじゃあ意味がないじゃない!!」

風見「矢神さんの声じゃ…」

風見がそう言うと降谷はその声の方に走り出そうとした時だった。

…pipipi…

降谷「チッ…!こんな時に…赤井か!後にし…」

赤井「彼女があれ程までに取り乱した理由がわかったぞ」

降谷「なに…?」

降谷は赤井の言葉に立ち止まった。

部下達の視線は降谷のスマホに注がれた。

赤井「今回抑える組織の幹部の一人…出雲涼だが…。彼女の血の繋がっていない弟の本当の兄弟だそうだ。」

降谷「は…?」

赤井「まだ詳しくはわかっていないが恐らく関係しているんだろう。そして、彼女の弟が入院中の病院から今日姿を消したらしい。時間から見て丁度彼女が会議を出て言った頃だろう。」

降谷「情報提供感謝する。…後でまた連絡する。」

…pi…

降谷は電話を切るなり怒鳴り声の元に駆け出した。

風見「降谷さん!赤井はなんと?!」

降谷「後で説明する!全員待機していろ!」
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