ネット喫茶.com

オリジナル小説や二次創作、エッセイ等、自由に投稿できるサイトです。

メニュー

超時空恋愛音-LOVE Sound-

原作: その他 (原作:マクロスシリーズ) 作者: ういはる
目次

第1話「捜索命令、発令」

西暦2067年

ウィンダミア王国・空中騎士団の聖騎士長「ロイド・ブレーム」を倒し、ラグナに一時の平穏が訪れた。

デルタ小隊のパイロットやワルキューレのメンバー、ラグナに住む人々の表情は明るくなり、社会経済も回復してきている。しかし、

全く問題が解決されたわけでは無く、今でも暴動やトラブルが起こることもある。そんな中、ケイオス・ラグナ支部宛てに1通のメッセージが送信された。その内容は……

“ごきげんよう デルタ小隊とワルキューレの皆さん”
“私は 世界の音を愛する者 デス”
“この度は ヴァールシンドロームの鎮静化 誠に ありがとうございます”

当然、見覚えのない宛先からだった。それにラグナの平穏を喜ぶ者が、わざわざメッセージで伝えてくるのも怪しく思い、皆の緊張感が漂い始めた。

「ワルキューレの皆にも知らせるべきだな。ミラージュ中尉、頼めるか?」
「はいっ、了解しました!」
「いや、どうやらその必要は無さそうだぜ、隊長、教官!」

 アラドがミラージュに伝言役を頼んだが、それと同時にミーティングルームに4人の女性が駆け込んできた。その表情は、不安や心配を感じさせるものでハヤテは、その雰囲気に一早く気付いた。彼女たちは、戦術音楽ユニット・ワルキューレのメンバー。歌でヴァールシンドロームを鎮めた、まさに銀河の女神である。

「どうした。そんなに慌てて?」
「それにフレイアは、一緒じゃないのか?」
「アラド隊長、ハヤテ少尉。彼女たちの様子を見るに、緊急の用だと察しました。話を聞きましょう!」
「まあ、このメッセージの件もあるしな。ちょうど良い」

 謎のメッセージとワルキューレのメンバーの慌てた様子……まるでまた、戦争が始まるのではないかと思うくらい、事のタイミングが出来すぎているように感じた。

 そして、ハヤテが真っ先に気付いた、フレイアがこの場に来ていないことも不安要素の1つだった。

ワルキューレのリーダー、カナメ・バッカニアが放った言葉……それは、今回のハヤテの行動を決める一言になるのであった。

「フレイアが行方不明なの!」
「なっ……何だって!?」
「落ち着きなさい、ハヤテ少尉!」
「冗談じゃない! 艦長さんよ、フレイアの捜索命令を俺に出してくれ!!」
「落ち着けと言っているでしょうが!」

 カナメの言葉で動揺するハヤテ、それを彼女なりになだめるミラージュ。

「……悪いな、ハヤテ・インメルマン少尉。今は、GOともSTOPとも言えん」
「でも、フレイアが!」
「わきまえろ! ハヤテ少尉!!」
「くっ!?」

 決してアーネスト艦長が非情なのではない。今はまだ情報が少ないし、何よりフレイアと一番近い距離で過ごしてきたワルキューレのメンバーの話も整理したい。

そんな様子の中、今度はアラドがメッセージについて話を続ける。

「ちょうど良い。ワルキューレの皆も見てくれ」
「世界の音を愛する者……」
「この文章……ぜんぜん、チクチクしない」
「全然イケてない~~~」

 アラドがモニタに表示したメッセージに、カナメ、レイナ、マキナの3人は、興味を持ちたくなかったが、何とも言えないモヤモヤ感が心に残った。それは、送信者への嫌悪に近い感情だった。それに微弱だが、生体フォールド波に気になる反応が出ていた。そして、

「とてもじゃないけど、言葉にセンスを感じないわ。言葉の音も気持ちの良いものじゃないし……
でもね、感じない? フレイアの音、想いのようなものを」

 美雲の言葉に、周りは「あっ、そうか」と気が付いた! この場の雰囲気が少し変わったように感じ、それは、いつの間にかハヤテを激励するものになっていた。

「生体フォールド波が反応しているってことは、とりあえずフレイアは生きているハズよ!」
「ハヤハヤ! 感じるでしょ、フレフレの鼓動が」
「この鼓動の音、ハヤテを求めてる」
「分かるでしょ、ハヤテ? フレイアの気持ち」
「ああ、分かるぜ……ルンを感じる。あいつ、寂しがってる……1人で、泣いてる……」
「ハヤテ少尉……」

 ワルキューレのメンバーの鼓舞と、ミラージュの甘酸っぱい気持ちを含んだハヤテへの心配が、彼を決意させるキッカケとなった。そして、アーネスト艦長からも

「ハヤテ・インメルマン少尉!」
「は、はいっ!」
「これより少尉には、戦術音楽ユニット・ワルキューレのメンバー、フレイア・ヴィオンの捜索を命じる」
「了解だ!」
「いいか、少尉。絶対に見つけて、このラグナへ2人一緒で帰ってくるんだ! 分かったな?」
「ああ、もちろんだ」

 フレイア捜索の命令を正式に発令した。

「ハヤテ少尉! フレイアさんに何かあったら、絶対に許しません!! 肝に銘じておいてください」
「はいはい。相変わらずだな、教官様は」
「ケンカ売ってるんですか!?」
「心配すんなって。必ず、フレイアを見つけて2人で帰ってくるから」
「約束……ですよ」

 ミラージュは、割り切ったつもりでも、まだハヤテへの恋心は健在だった。そして、恋のライバルだったフレイアがいないシナリオも、彼女の中にはなかった。

 そして時空を超える、ハヤテの旅が始まる……
目次

※会員登録するとコメントが書き込める様になります。