10
"ここまで運んで来させてしまってすみませんでした。…頭を下げるのはこちらの方です。"
そう書かれた紙を甘露寺に見せるとその場で頭を下げた。
甘露寺「ゆりえちゃんっ…!」
甘露寺が目に涙を溜めて紙をぎゅっと握り締めた時だった。
「…っゴホッ…」
突然咳き込み出したゆりえは苦しそうに肩を上下させていた。
甘露寺「ゆりえちゃんっ!どうしたのっ?!苦しいの?」
『嗚呼…また迷惑をかけてしまった…』
甘露寺の呼びかけに応じたいのか、片手は心臓のあたりを強く握りしめたまま、反対の手で紙に"すみません。"と書いて蹲った。
甘露寺「し、しのぶちゃんを呼んでくるから待っててっ!」
甘露寺はそう言い残し急いでしのぶを呼びに行った。
しのぶ「ゆりえさんっ!」
しのぶと甘露寺が慌てて彼女の部屋に戻ると耳まですっぽりかくれた布団を小刻みに上下させてこちらに背を向けている彼女の姿があった。
近寄ると事前に書いたのか
"お騒がせしてすみません。大丈夫です。"
と書かれた紙が残されていた。
甘露寺「大丈夫じゃないわ!」
しのぶ「薬を用意しますから飲んでください。」
しのぶがそう声をかけると布団の中でもぞもぞと動く気配がすると腕だけが伸びてきてまた紙を見せた。
"私ごときがこれ以上迷惑をかけられません。少し落ち着いたら出ていきますのでご心配なく。"
そして布団を頭までがっぽりかぶってしまった。
しのぶ「薬は置いていきます。いいですか、飲んでくださいね。」
しのぶはそう言ってから甘露寺を連れて部屋を出た。
甘露寺「しのぶちゃん…」
しのぶ「私達は。どこで間違えてしまったのでしょうか。」
甘露寺「っ…」
しのぶ「ゆりえさんの体はボロボロでした。身体中に痣や切り傷。…どんな薬を調合しても効かなくなるほど何かしらの毒の耐性をつけているのでしょう。(それに私以上に藤の花の毒を摂取している…)」
甘露寺「そんな…」
しのぶ「それに、先ほどの発作も…」
甘露寺「私のせいだわっ…!やっぱりゆりえちゃんはあの時私を庇ってくれたんだわ…!口を聞いてもらえなくて当然だわ…」
しのぶ「甘露寺さんだけのせいじゃありません。私も…。…口を聞かないのは自分の声が人を不快にするからと。…それが原因かはわかりませんが声が出せないのか、出さないのか…」
甘露寺「私…なんてことをっ…」
しのぶ「今は…」
しのぶがそう言いかけた時だった。
ゆりえのある部屋の扉が突然開いた。
そこには隊服に着替え刀を持った彼女がいた。
しのぶ/甘露寺「「ゆりえさん/ちゃん?!」
ゆりえは二人の姿を見て丁寧に一礼をするとスタスタと歩いて行ってしまったので二人はあわててその後を追った。
しのぶ「まだ安静にしていないといけません!」
甘露寺「そうよっ!」
しかし二人の言葉に止まることはなく、門の前まで来てしまった。
二人は門の前の様子を見て彼女が突然動き出したことに納得した。
少し体調が落ち着くまで目を瞑っていようとしたのですが、私の鎹烏の黒が門の前でアオイ様が音柱様に抱えられていて面白かったと呟いたので嫌な予感がして早速向かうことにしました。
案の定音柱様がアオイ様を担ぎ上げて無理矢理任務に同行させようとしておりましたので私は思わず阻止しました。
紙に"私に行かせてください。"と書いて音柱様に見せました。
すると音柱様は舌打ちを一つしてから私の髪を掴み引っ張りました。
しのぶ「待って下さい宇髄さん。」
少し怒りを含んだ声で蟲柱様は呼び止めました。
宇髄「なんだぁ?」
しのぶ「ゆりえさんはまだ怪我が治っていません。外出は認めていませんよ。」
甘露寺『しのぶちゃん、怒ってるみたい…かっこいい…!』
宇髄「ハッ!甘露寺も胡蝶も任務があるはずだ。こいつがだめなら、そっちの女を寄越せ。」
そういって音柱様はアオイ様を指差したので蟲柱様は言葉に詰まってしまわれました。
そこで私は音柱様の腕から髪を無理やり引っこ抜いて蟲柱様に手紙を残しました。
"遊郭にアオイ様や蟲柱様、恋柱様に行かせる訳にはいきません。ご迷惑おかけしてすみませんでした。"
すると私は再び音柱様に髪を掴まれ、蟲柱様は顔を歪めていらっしゃいました。
私が弱いから足を引っ張るのではと懸念されているのでしょうか。申し訳ないです。
私はそのまま音柱様に連れて行かれ、騒ぎを聞いていた竈門様達も一緒に来ることになったようです。
私は皆様の雑談には混ざらず、1歩離れたところからついて行きました。音柱様以外の3人が私を気にかけてくださって話しかけようとして下さったのですが私と関わっているなどと他の隊員の方に知られてはまずいだろうと思いさらに距離を開けておりました。
藤の宿に着くと音柱様は3人の方達になんとも…個性的な化粧をして女装をさせました。
私も着替えと化粧道具を渡されたのですが、以前音柱様の奥様方にお化粧をして頂いたのを思い出しながら少しだけ化粧をし、着替えて出ると舌打ちをされたあと、腕を乱暴に引っ張られて座らされました。
そう書かれた紙を甘露寺に見せるとその場で頭を下げた。
甘露寺「ゆりえちゃんっ…!」
甘露寺が目に涙を溜めて紙をぎゅっと握り締めた時だった。
「…っゴホッ…」
突然咳き込み出したゆりえは苦しそうに肩を上下させていた。
甘露寺「ゆりえちゃんっ!どうしたのっ?!苦しいの?」
『嗚呼…また迷惑をかけてしまった…』
甘露寺の呼びかけに応じたいのか、片手は心臓のあたりを強く握りしめたまま、反対の手で紙に"すみません。"と書いて蹲った。
甘露寺「し、しのぶちゃんを呼んでくるから待っててっ!」
甘露寺はそう言い残し急いでしのぶを呼びに行った。
しのぶ「ゆりえさんっ!」
しのぶと甘露寺が慌てて彼女の部屋に戻ると耳まですっぽりかくれた布団を小刻みに上下させてこちらに背を向けている彼女の姿があった。
近寄ると事前に書いたのか
"お騒がせしてすみません。大丈夫です。"
と書かれた紙が残されていた。
甘露寺「大丈夫じゃないわ!」
しのぶ「薬を用意しますから飲んでください。」
しのぶがそう声をかけると布団の中でもぞもぞと動く気配がすると腕だけが伸びてきてまた紙を見せた。
"私ごときがこれ以上迷惑をかけられません。少し落ち着いたら出ていきますのでご心配なく。"
そして布団を頭までがっぽりかぶってしまった。
しのぶ「薬は置いていきます。いいですか、飲んでくださいね。」
しのぶはそう言ってから甘露寺を連れて部屋を出た。
甘露寺「しのぶちゃん…」
しのぶ「私達は。どこで間違えてしまったのでしょうか。」
甘露寺「っ…」
しのぶ「ゆりえさんの体はボロボロでした。身体中に痣や切り傷。…どんな薬を調合しても効かなくなるほど何かしらの毒の耐性をつけているのでしょう。(それに私以上に藤の花の毒を摂取している…)」
甘露寺「そんな…」
しのぶ「それに、先ほどの発作も…」
甘露寺「私のせいだわっ…!やっぱりゆりえちゃんはあの時私を庇ってくれたんだわ…!口を聞いてもらえなくて当然だわ…」
しのぶ「甘露寺さんだけのせいじゃありません。私も…。…口を聞かないのは自分の声が人を不快にするからと。…それが原因かはわかりませんが声が出せないのか、出さないのか…」
甘露寺「私…なんてことをっ…」
しのぶ「今は…」
しのぶがそう言いかけた時だった。
ゆりえのある部屋の扉が突然開いた。
そこには隊服に着替え刀を持った彼女がいた。
しのぶ/甘露寺「「ゆりえさん/ちゃん?!」
ゆりえは二人の姿を見て丁寧に一礼をするとスタスタと歩いて行ってしまったので二人はあわててその後を追った。
しのぶ「まだ安静にしていないといけません!」
甘露寺「そうよっ!」
しかし二人の言葉に止まることはなく、門の前まで来てしまった。
二人は門の前の様子を見て彼女が突然動き出したことに納得した。
少し体調が落ち着くまで目を瞑っていようとしたのですが、私の鎹烏の黒が門の前でアオイ様が音柱様に抱えられていて面白かったと呟いたので嫌な予感がして早速向かうことにしました。
案の定音柱様がアオイ様を担ぎ上げて無理矢理任務に同行させようとしておりましたので私は思わず阻止しました。
紙に"私に行かせてください。"と書いて音柱様に見せました。
すると音柱様は舌打ちを一つしてから私の髪を掴み引っ張りました。
しのぶ「待って下さい宇髄さん。」
少し怒りを含んだ声で蟲柱様は呼び止めました。
宇髄「なんだぁ?」
しのぶ「ゆりえさんはまだ怪我が治っていません。外出は認めていませんよ。」
甘露寺『しのぶちゃん、怒ってるみたい…かっこいい…!』
宇髄「ハッ!甘露寺も胡蝶も任務があるはずだ。こいつがだめなら、そっちの女を寄越せ。」
そういって音柱様はアオイ様を指差したので蟲柱様は言葉に詰まってしまわれました。
そこで私は音柱様の腕から髪を無理やり引っこ抜いて蟲柱様に手紙を残しました。
"遊郭にアオイ様や蟲柱様、恋柱様に行かせる訳にはいきません。ご迷惑おかけしてすみませんでした。"
すると私は再び音柱様に髪を掴まれ、蟲柱様は顔を歪めていらっしゃいました。
私が弱いから足を引っ張るのではと懸念されているのでしょうか。申し訳ないです。
私はそのまま音柱様に連れて行かれ、騒ぎを聞いていた竈門様達も一緒に来ることになったようです。
私は皆様の雑談には混ざらず、1歩離れたところからついて行きました。音柱様以外の3人が私を気にかけてくださって話しかけようとして下さったのですが私と関わっているなどと他の隊員の方に知られてはまずいだろうと思いさらに距離を開けておりました。
藤の宿に着くと音柱様は3人の方達になんとも…個性的な化粧をして女装をさせました。
私も着替えと化粧道具を渡されたのですが、以前音柱様の奥様方にお化粧をして頂いたのを思い出しながら少しだけ化粧をし、着替えて出ると舌打ちをされたあと、腕を乱暴に引っ張られて座らされました。
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