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何故だろう。鍛錬が足りていないからか。
少し落ち着くのを待っていたが自分の足元に血溜まりができていた。
ただそれをボヤッと見つめるだけでだんだんと体の力が抜けていくような気がした。
どこか怪我をしたような…。相変わらず私はだめだ。そう自分を責め立てながら視界はゆっくりと地面に近づいて行った。
その頃、甘露寺は考えていた。
甘露寺『あの時突き飛ばされたのは私を庇ったんじゃなかったかしら…。もしそうなら…』
甘露寺はハッとして顔を青ざめた。
甘露寺「私も用があるからちょっと失礼するわ!」
伊黒が不思議そうに見つめていたが軽く別れの挨拶を柱達と交わすと来た道を戻ることにした。
甘露寺「ゆりえちゃん!!」
甘露寺が見つけたのは血溜まりの中に横たわる彼女の姿だった。
甘露寺「ゆりえちゃん!しっかりして!」
甘露寺に何度も呼ばれ目を覚ましたゆりえはぼうっとする頭を働かせた。
「恋柱様…?どうかされましたか…?忘れ物なら私がとりに戻りますよ…」
甘露寺「ごめんなさい!私っ…!」
そう言って抱きつかれそうになったものだから咄嗟にゆりえは甘露寺と距離を取った。
「今私汚いので、触らない方がいいです。」
そう言ってゆっくり立ち上がる彼女はたっているのがやっとのようたった。
「私といると、不快にさせてしまうので、早く皆さんのところに戻ってください。お気遣い頂き、ありがとうございます。」
甘露寺「ちがうのっ!わたしはそんなつもりじゃなくてっ…!」
「ご迷惑おかけしてすみませんでした。」
そう言い切ったところで彼女はふっとその場に崩れ落ちた。
甘露寺「ゆりえちゃんっ!!」
甘露寺はゆりえを抱えて蝶屋敷へと急いだ。
腕の中にいる彼女はとても軽く、青白い肌とすっかり白くなってしまった髪が死人のようで抱えた腕にはおびただしい量の血液が垂れてくるのがわかった。
甘露寺「しのぶちゃんっ…!誰かっ!誰か助けてっ!」
甘露寺の叫ぶ声に門を開けたのは蝶屋敷で回復訓練をうけている炭次郎だった。
炭次郎「甘露寺さんっ?!」
甘露寺「はやくっ、はやくしのぶちゃんを呼んでっ!お願いっ…!ゆりえちゃんが死んじゃうっ…!」
炭次郎は甘露寺の腕の中にいる彼女の濃い血液の匂いにサッと血の気が引いた気がした。
甘露寺を連れて炭次郎はしのぶのいる部屋へと走った。
炭次郎「しのぶさん!」
しのぶ「どうしたんですか?随分と騒…」
しのぶは炭次郎の隣に立つ甘露寺の腕の中にいる人物に驚きを隠せなかった。
甘露寺「しのぶちゃんっ!!お願い!助けてっ…!ゆりえちゃんが死んじゃう…!」
しのぶは一瞬の出来事に固まってしまったがすぐに彼女を別室へと案内し、処置を始めた。
しのぶが処置をしてくれている間、甘露寺と炭次郎は外で待っていた。
甘露寺「どうしようっ…!私、私ゆりえちゃんに酷いことしちゃった…!」
炭次郎「大丈夫ですよ、しのぶさんがきっと助けてくれます。」
甘露寺「でもっ…!」
炭次郎「大丈夫です。何があったのかは詳しく分かりませんけど…ゆりえさんの匂いはとても優しい匂いです。暖かくて、誰かといる時はとても嬉しそうな匂いがします。だからきっと、許してくれます。」
甘露寺「炭次郎くん…」
炭次郎『本当はさっき、ゆりえさんから何の匂いも感じなかったのは黙っておこう…。きっとゆりえさんは甘露寺さんを責めるようなことは望んでいないはずだ…』
暫くしてしのぶが処置室から出てきた。
甘露寺「しのぶちゃんっ!」
炭次郎「ゆりえさんはっ…」
しのぶ「一命は取り留めました。意識も戻っています。」
そういうしのぶの顔はどこか暗かった。
炭次郎「よかった…」
甘露寺「しのぶちゃんっ…ありがとっ…」
しのぶ「…私はどこで判断を間違えたのでしょう…」
炭次郎「しのぶさん…?」
しのぶ「いえ…。…先程意識が戻ったばかりですので今はそっとしておいてあげて下さい。」
しのぶはそう言って静かにその場を去ってしまった。
翌日、甘露寺はゆりえに会いに行こうとしのぶの元を訪れた。
甘露寺「しのぶちゃん、ゆりえちゃんに会ってもいい?」
しのぶ「…はい」
甘露寺「しのぶちゃん…?」
しのぶ「どれ程我慢させてしまっていたのでしょうか…。」
甘露寺「え…?」
しのぶ「…いえ。…ゆりえさんの病室はこちらです。」
しのぶは意味深な言葉を呟いてから甘露寺を部屋へと案内した。
しのぶ「何かあれば呼んでください。」
そう言って去っていくしのぶの顔はうかない表情だった。
甘露寺が病室に入るとゆりえはゆっくりと起き上がった。
甘露寺「あっ!まだ起き上がっちゃだめよ!」
甘露寺に静止されるもゆりえはそれを聞かずに枕に背中を預けるようにして起き上がった。
「…」
甘露寺「ゆりえちゃん…ごめんなさいっ…!!」
甘露寺はそう言ってその場で土下座した。
するとゆりえはトントンと優しく甘露寺の肩を叩いた。
それに顔を上げた甘露寺は目の前で首を横に振る彼女に違和感を覚えた。
ゆりえはサイドテーブルにあった紙に文字を書き始めた。
少し落ち着くのを待っていたが自分の足元に血溜まりができていた。
ただそれをボヤッと見つめるだけでだんだんと体の力が抜けていくような気がした。
どこか怪我をしたような…。相変わらず私はだめだ。そう自分を責め立てながら視界はゆっくりと地面に近づいて行った。
その頃、甘露寺は考えていた。
甘露寺『あの時突き飛ばされたのは私を庇ったんじゃなかったかしら…。もしそうなら…』
甘露寺はハッとして顔を青ざめた。
甘露寺「私も用があるからちょっと失礼するわ!」
伊黒が不思議そうに見つめていたが軽く別れの挨拶を柱達と交わすと来た道を戻ることにした。
甘露寺「ゆりえちゃん!!」
甘露寺が見つけたのは血溜まりの中に横たわる彼女の姿だった。
甘露寺「ゆりえちゃん!しっかりして!」
甘露寺に何度も呼ばれ目を覚ましたゆりえはぼうっとする頭を働かせた。
「恋柱様…?どうかされましたか…?忘れ物なら私がとりに戻りますよ…」
甘露寺「ごめんなさい!私っ…!」
そう言って抱きつかれそうになったものだから咄嗟にゆりえは甘露寺と距離を取った。
「今私汚いので、触らない方がいいです。」
そう言ってゆっくり立ち上がる彼女はたっているのがやっとのようたった。
「私といると、不快にさせてしまうので、早く皆さんのところに戻ってください。お気遣い頂き、ありがとうございます。」
甘露寺「ちがうのっ!わたしはそんなつもりじゃなくてっ…!」
「ご迷惑おかけしてすみませんでした。」
そう言い切ったところで彼女はふっとその場に崩れ落ちた。
甘露寺「ゆりえちゃんっ!!」
甘露寺はゆりえを抱えて蝶屋敷へと急いだ。
腕の中にいる彼女はとても軽く、青白い肌とすっかり白くなってしまった髪が死人のようで抱えた腕にはおびただしい量の血液が垂れてくるのがわかった。
甘露寺「しのぶちゃんっ…!誰かっ!誰か助けてっ!」
甘露寺の叫ぶ声に門を開けたのは蝶屋敷で回復訓練をうけている炭次郎だった。
炭次郎「甘露寺さんっ?!」
甘露寺「はやくっ、はやくしのぶちゃんを呼んでっ!お願いっ…!ゆりえちゃんが死んじゃうっ…!」
炭次郎は甘露寺の腕の中にいる彼女の濃い血液の匂いにサッと血の気が引いた気がした。
甘露寺を連れて炭次郎はしのぶのいる部屋へと走った。
炭次郎「しのぶさん!」
しのぶ「どうしたんですか?随分と騒…」
しのぶは炭次郎の隣に立つ甘露寺の腕の中にいる人物に驚きを隠せなかった。
甘露寺「しのぶちゃんっ!!お願い!助けてっ…!ゆりえちゃんが死んじゃう…!」
しのぶは一瞬の出来事に固まってしまったがすぐに彼女を別室へと案内し、処置を始めた。
しのぶが処置をしてくれている間、甘露寺と炭次郎は外で待っていた。
甘露寺「どうしようっ…!私、私ゆりえちゃんに酷いことしちゃった…!」
炭次郎「大丈夫ですよ、しのぶさんがきっと助けてくれます。」
甘露寺「でもっ…!」
炭次郎「大丈夫です。何があったのかは詳しく分かりませんけど…ゆりえさんの匂いはとても優しい匂いです。暖かくて、誰かといる時はとても嬉しそうな匂いがします。だからきっと、許してくれます。」
甘露寺「炭次郎くん…」
炭次郎『本当はさっき、ゆりえさんから何の匂いも感じなかったのは黙っておこう…。きっとゆりえさんは甘露寺さんを責めるようなことは望んでいないはずだ…』
暫くしてしのぶが処置室から出てきた。
甘露寺「しのぶちゃんっ!」
炭次郎「ゆりえさんはっ…」
しのぶ「一命は取り留めました。意識も戻っています。」
そういうしのぶの顔はどこか暗かった。
炭次郎「よかった…」
甘露寺「しのぶちゃんっ…ありがとっ…」
しのぶ「…私はどこで判断を間違えたのでしょう…」
炭次郎「しのぶさん…?」
しのぶ「いえ…。…先程意識が戻ったばかりですので今はそっとしておいてあげて下さい。」
しのぶはそう言って静かにその場を去ってしまった。
翌日、甘露寺はゆりえに会いに行こうとしのぶの元を訪れた。
甘露寺「しのぶちゃん、ゆりえちゃんに会ってもいい?」
しのぶ「…はい」
甘露寺「しのぶちゃん…?」
しのぶ「どれ程我慢させてしまっていたのでしょうか…。」
甘露寺「え…?」
しのぶ「…いえ。…ゆりえさんの病室はこちらです。」
しのぶは意味深な言葉を呟いてから甘露寺を部屋へと案内した。
しのぶ「何かあれば呼んでください。」
そう言って去っていくしのぶの顔はうかない表情だった。
甘露寺が病室に入るとゆりえはゆっくりと起き上がった。
甘露寺「あっ!まだ起き上がっちゃだめよ!」
甘露寺に静止されるもゆりえはそれを聞かずに枕に背中を預けるようにして起き上がった。
「…」
甘露寺「ゆりえちゃん…ごめんなさいっ…!!」
甘露寺はそう言ってその場で土下座した。
するとゆりえはトントンと優しく甘露寺の肩を叩いた。
それに顔を上げた甘露寺は目の前で首を横に振る彼女に違和感を覚えた。
ゆりえはサイドテーブルにあった紙に文字を書き始めた。
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