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ずっとずっと

原作: その他 (原作:ハイキュー) 作者: ノムさん
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エピローグ

side岩泉

この物語はまるでハッピーエンドのように見える。だけど、それは違う。この先も俺と及川の人生は続くし、きっとこれまで以上に辛い出来事がたくさんあるだろう。及川がこの時俺を選んだことによって、俺が及川を選んだことによって。でも、それでも俺は及川といたいと思ってしまった。あの時初めてあった時から、こうなる結末が決まっていたように思えて仕方がない。詰まるところ、俺たちは運命なんじゃないかって、そう思うーーーってことなんだけど、気恥ずかしいことを考えてしまったな。
婚姻届を書いて、公表すると、それはもうバッシングをうけた。でも、応援してくれる人もたくさんいた。俺たちの結婚報告に勇気づけられたと、同性で婚姻届を書く人も増えた。もちろんそれは出せないので、俺たちカップルを含め、その方達は実際は結婚していない。けど、精神的には結婚したも同然だ。俺たちの婚姻届も、部屋に眠ってるが、そんなことは関係なかった。公的には結婚できないけれど、指輪や、家が二人をつないでくれた。

side及川
岩ちゃんーー、いつまで経ってもこの呼び名で呼んでしまうんだけどーー、岩ちゃんは本当にいいパートナーだった。いつも俺のためにたくさんのことをしてくれた。練習場所へ送ってくれたり、食事制限への対応だったり。とにかく、バレー選手としての俺を理解して支えてくれてる。こんなにいいパートナーは他にいないと思う。
あの時ブラジルに岩ちゃんが来てくれなかったら、どうなってたんだろうと思う時がある。岩ちゃんはそのままいろんな彼女と付き合って、普通に結婚して、働いて、そして俺のことなんていつか忘れて。そんな人生だったのかもしれない。俺も、いつか岩ちゃんのことを忘れてたのかも。あの時はとにかく岩ちゃんが好きで、そんなことは頭をよぎりもしなかったけど。とにかく、あの時岩ちゃんがブラジルに来てくれてほんとによかった。
なんだか、俺たちが初めてあった時から仕組まれてたんじゃないか?ってくらいにも思っちゃう。だって、くっついて離れてくっついてーーー、まるでチープな恋愛ドラマみたいだ。前髪を何度も掴み損ねて、それでも俺と岩ちゃんは最後には一緒になった。これって、神様よりも強い力が働いてたようにしか思えない。月並みだけど、”運命”とか、そう言う。待って、これものすごく恥ずかしいことを考えてるんじゃないかな。
まあ、とにかく。俺と岩ちゃんは一応結婚していて、それを祝福する人たちもいてくれて(マッキーとまっつんなんか、嬉し泣きしてた)、本当に俺は幸せな人生だ。

こうして、及川徹と岩泉一の物語はずっと続いていく。

「同性婚法改正!第一号として、”バレーの貴公子”及川選手とパートナーが選ばれました!彼らはすでに婚姻届を提出し、法律上も結婚が認められた形になります。いやー、おめでたいですね。それでは、及川選手とお相手を中学生の頃より知っていると言う影山選手にお話を伺いたいと思います。」
「はい。よろしくお願いします」
「お相手はどのような方でしたか?」
「真面目で、まあ・・・及川さんの飼い主みたいな感じでした」
「飼い主!凄いですねーーー」

***

「及川選手、華麗なるトスでーーー、牛島選手が決めたーーーーー!!!日本、ワールドカップ決勝、勝ちました!!!悲願の優勝です!なんと日本がアメリカを下し、ワールドカップを優勝しました!これは日本史上初めての快挙となります!いやー凄い。」
「特に及川選手のトスが凄かったですね。完全にブロックを振り切っていました」
「それのおかげで牛島選手がほとんどフリーで打てた、と言うのは大きい」
「いやー、凄い。今回のMVPは間違いなく及川選手でしょう」

***

「及川選手引退へーーーバレーの貴公子としても知られる及川選手が、現役引退を発表。これからは後任育成にあたるそうです。今回は、なんとスタジオに及川選手ご本人をお呼びしております」
「こんにちは。よろしくお願いします」
「及川選手は、ワールドカップ優勝の功労者とも言われています。今の率直なお気持ちをお聞かせください」
「そうですね。ずっとバレーと一緒にいたものですから、少し寂しいような、悲しいような。ほっとしたような、そんな複雑な気持ちです。でも、とにかくこれは伝えたいです。今まで応援してくれたみなさんに感謝を」
「パートナーの方にも?」
「もちろんです。ずっと感謝してますよ。こんな俺をずっと支えてくれて。もう30年以上になりますからね。普段はこんなことは言えないけど、いつもありがとうって思ってます」

***

「岩ちゃん。ずっと一緒にいてくれてありがとう。先に逝って待ってるからね。ずっと待ってるから、遅れておいでね」
「ばっかやろう、俺もすぐいくから待ってろよ」
「遅れて来いって」
「すぐ行くわ」
「はは、最後まで俺たちはこうだ」
「俺たちらしいだろ」
「そうだね。じゃあまた、あとで・・・」


ずっと、ずっと、ありがとう。
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