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黄色頭に恋をした。

原作: その他 (原作:鬼滅の刃) 作者: のばのば
目次

別れ

(善逸side)





しばらくすると、
桜子ちゃんがしのぶさんの所から戻ってきた。


すると、そのまま俺のほうへ向かってきて、


『善逸、』

「おかえり、桜子ちゃん!なに〜?」

『少し話があるんだけど、いいかな?』


なんだかいつもの桜子ちゃんじゃないような気がして少しドキッとした。






屋敷の外へと連れられてきたけど、やっぱり今日の桜子ちゃんは少したどたどしい気がした。

なんだか、緊張してる…?


え。なんか俺も緊張してきた…!

ええー!こーゆうときどーしたらいいのォ!?

なんて若干焦っていると、桜子ちゃんが口を開いた。


『…あのね、善逸』

『善逸は私の出会った頃の記憶覚えてる…?』


忘れるはずなんかないじゃないか。

目が覚めると、首が斬られた鬼がいて、

そして桜子ちゃんがいた。

怖がりな俺は、弱い俺は、
いつの間にか気を失ってたから、

きっと桜子ちゃんが助けてくれたんだと。


『いつもはヘタレで泣き虫で、女の子はすごい大好きだし、』

桜子ちゃんの何気ない言葉がグサグサと胸をつつかれる(ぐはっ。キツイお言葉…!)


『…だけど、人一倍優しくて頑張ってる善逸がずっとずっと好きでした、…』

少し言葉を震わせながら言う桜子ちゃんの姿に

びっくりと同時に顔が一気に赤らんでいくのがわかった。


「あ、…えっと、」

桜子ちゃんが俺のことを好き!?

思いがけない告白に正直驚きでいっぱいで何も言葉が出なかった。



本当は、

俺も桜子ちゃんが好きだ!

と今すぐ言葉にして伝えたかった。

けど、なんでだろう。


言葉がつまって、

「…………、」

なにも返せてあげれない自分がいた。



そんな俺に、桜子ちゃんはニコッと微笑み、

『…ごめん。伝えたかっただけなの。気にしないで、』


そんな泣きそうな顔するなよ…。

グッと拳に力が入る。
本当は思いっきり桜子ちゃんを抱きしめたい。


だけどだめなんだ。

だって俺といたって桜子ちゃんの邪魔になるだけで…、


幸せなんか してあげられない…。




『…それじゃ、』

さよなら、と言って去っていく桜子ちゃんを俺は見守ることしかできなかった。













ー翌朝、

「(いやもう、全然寝られなかったんだけど…)」

伊之助にひでー顔だな!!と罵られても、
普段なら言い返してたけど今日はそんな気分になれなかった。



まるで抜け殻になったような俺に、
炭治郎が困った顔をしながら話しかけてきた。

「…あ。善逸…。あのさ、びっくりするかもしれないんだが……」


え、なに?これ以上俺に何のトドメをさすつもりなんだ炭治郎…。

なんて思いつつ、炭治郎の話に耳を傾けると思いもよらなかった言葉に気づけば足を走らせていた。




"あのさ、びっくりするかもしれないんだが……"






"桜子、出て行ったぞ…"



うそだ、うそだ、うそだ……!!


桜子ちゃんがいるはずの部屋をバンッと勢いよく開けると、

いつもそこにいるはずだった桜子ちゃんの姿がなかった。



なんだかスーッと力が抜けてきて、
気づけばその場にしゃがみ込んでいた。


「…どこに行ったんだよ、…桜子ちゃん、」

ポロポロと流れる涙。

素直に好きと言えなかった俺は、



ただただ、後悔だけが残った。





もし、素直に好きと言えていれば、

こんなことにはならなかったのに…。













そして、桜子ちゃんが俺達の前からいなくなって早くも数カ月が経とうとしていた。


風の噂では冨岡さんのもとで訓練を行ってるかなんか聞いたけれど、定かではないし、

鬼殺隊だからいつも死とは隣り合わせだ。

ただ桜子ちゃんが生きていてくればいい。
そう願うしかなかった。


俺達は今、しのぶさんのもとで強化訓練を行っている。


炭治郎や伊之助は痩せこけるような毎日の鍛練だけど、

「あいつ、やばい奴だぜ…」

「きつくないのか、善逸……」

そんな二人とは裏腹に女の子との訓練って言うだけで嬉しそうに行う俺の姿に、

二人はなんとも言えない目で俺を見ていた。


相変わらず、正直やっぱり女の子には弱い。


だけど、いつか強くなって、

桜子ちゃんを迎えに行くんだ。



でもこんなふうに女の子と戯れて嬉しそうに訓練してる俺の姿なんかみたら、

桜子ちゃんに引かれるだろうな…。


あ"あ"ぁぁぁぁー!それはそれでダメだぁ"ぁー!


一人で一喜一憂している俺に周りのみんなはすごい冷ややかな目でみていた(もー!自分でもどーしたらいいかわかんないのォー!)(会いたいのに会えないしー!もー!い"や"ーー!!)



「…あいつ、やっぱり頭おかしいぜ」

「伊之助、そんなことを言うんじゃない…(汗」



















(桜子side)



『ふぅ〜…』


雪がぱらぱらと舞う。

空を見上げると雪がまんべんなく落ちてくるのがわかった。


善逸たちから姿を消したあの日から気づけばもう半年が過ぎていた。


あのときは暑かったもんな〜。

今はこんなに寒くなって、
季節があの頃とはだいぶ変わったな。


『…みんな、元気かな』


なにも言わずに出て行ったから怒ってるよね。

みんながいてくれたから私、ここまで鬼滅隊としてやってこれたのに。

お礼も言えないままだったな…。

もう私のことなんて嫌いになっちゃったかな。

なんて思いつつ、
改めて月日が流れていたのを実感しながら、




私は冨岡さんがいる屋敷へと戻った。




そう。私は善逸たちと別れてから、
冨岡さんのもとにいる。







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