ネット喫茶.com

オリジナル小説や二次創作、エッセイ等、自由に投稿できるサイトです。

メニュー

黄色頭に恋をした。

原作: その他 (原作:鬼滅の刃) 作者: のばのば
目次

決心

.




手当てをしてもらったあの日から数週間後のこと、


刀鍛冶の里が鬼に侵入されたとの通達が入った。



すぐに私達はそこへ向かってみると、

そこにはすでに柱たちが闘っていたが、
鬼の数も多かった。



『なんでこんなことに…、』

いつも穏やかな景色が変わり果てていたことに唖然としながら、


私達も闘いに応戦した。



私達の武器の原点でもあるこの場所には、
やはり上弦の鬼たちも侵入していた。





苦戦をしながらも、なんとか炭治郎たちと
上弦の首をあと一歩で仕留めれそうなとき、

少しずつ陽が射し込んでいくのがわかった。


いつの間にか夜が明け始めていた。

陽が射し込むと鬼は跡形もなく消えてしまう。


陽が射す場所で一緒に闘っていた禰豆子。

禰豆子を日陰に行かせないと

禰豆子が、禰豆子が危ない!


すると、


「禰豆子!!日陰に隠れるんだ!!」

そんな炭治郎の叫びに反して
日陰どころかこっちに向かってくる禰豆子。


『禰豆子!!こっち来ないで!!』

陽に当たってしまったら禰豆子が消えてしまう…!!

つい、禰豆子のほうに集中してしまい、
鬼が私に襲いかかってくる気配に気づかなかった。

その為、思いっきり腕を切り刻まれてしまった。

『っ!!!』

その瞬間、痛みが全身に伝わっていく。

禰豆子は私のすぐ後ろに移動していた鬼を倒そうとして自分の命に関わらず助けに来ようとしてくれていた。


ジュゥ…と焦げたような音が聞こえると共に、
禰豆子が苦しみ始めた。

その隙間に、炭治郎が鬼の首を切ってくれたが、



『…っ!!禰豆子…!』

代わりに禰豆子が犠牲になってしまった…。

地面に手をつき、ぽたぽたと涙が地面へと流れ落ちる。


すると、

「お、は…よぉ」

え?と顔を上げるとそこには口笠が取れ、陽の下でも消えずにさらには言葉までもを喋る禰豆子の姿があった。



『禰豆子…!』


禰豆子は太陽をいつの間にか克服していた。







屋敷に戻り、
原因は分からないけれど間違いなく人間に戻りつつある禰豆子。


まだ言葉は幼児並みとなぜかつたないけれど、
素直に嬉しかった。



しばらく禰豆子に桜子の名前を言う練習をさせていると(呼んでほしかったの、)


善逸が驚いた表情でこちらへ走ってきた。


「禰豆子ちゃん!人間に戻ったの!?」

嬉しそうに笑う善逸。

「まだよく分からないが、でも太陽を克服したんだ」

理由が分からないからか少し戸惑いつつも、
そう言って喜ぶ炭治郎。


うん。良かった。

けど、

少しだけ…。少しだけ複雑なんだ…。

素直に喜べない自分に無性に腹が立つ。


『っ…』

鬼に切られた所が痛んできた。

手当てをしてもらったけれどしのぶさんに薬をもらったほうがいいのかも。


なんて思っていると、少し痛みで眉間を歪ませていた私の異変に気づいた善逸。

「桜子ちゃん、大丈夫!?絶対これ痛いよね!?」

オロオロと動揺しながら青ざめた顔をして泣きだすいつもと変わらない善逸にクスッと笑いながら、

『相変わらず大袈裟だな〜(笑)でも、しのぶさんにお薬もらいに行ってこようかな』


そう言って屋敷を出て、
しのぶさんの所に向かおうとしたら、


向こうから冨岡さんが歩いてくるのが分かった。


『あ。冨岡さん。今日もご活躍でしたね』

ニコッと笑ってそう言ったけど、冨岡さんは私を見ただけで無言のまま。

「……」

相変わらず無愛想だな〜。

なんて思っていると、


「炭治郎の妹が太陽を克服したようだな」

本当に冨岡さんは核心ばかりついてくる。


『もう冨岡さんは相変わらず女心がわかってませんねー』

「俺はちゃんと分かっている」

あ。また強がりなのか本心なのかわからないことを言って。

なんて思いつつ、そろそろしのぶさんの所に行こうと思い、

『じゃあ、私はこれで…』

そう言いかけたとき、



「そんなにつらいんだったら俺のところへ来い、」

冨岡さんは突然私の手を握りそう呟いた。


『…え、』

「これ以上、善逸のそばにいるのは限界なんだと本当は自分でも気づいているんだろう?」

その言葉にだんだん涙が溢れてくる。

『っ、だからなんで冨岡さんはそんな次々と核心をついてくるんですか…?』

もう本当に女の子から嫌われますよ?

なんて言いかけた途端、握られてた手を引かれ
気づけばギュッと優しく冨岡さんに腕の中へと包み込まれていた。

冨岡さんの温かい体温が体に伝わってくる。

なんだかその体温がすごく優しくて、

『っ…っ…』

私は涙が止まらなかった。














しのぶさんにお薬をもらい、
屋敷に戻るまでの間、

冨岡さんからの言葉が頭から離れられなかった。



"そんなにつらいんだったら俺のところへ来い"




本当は禰豆子が人間に戻れることになったら、

善逸たちから離れようとしていた。

禰豆子が人間に戻れば、
善逸と結ばれることは十分にあり得るし、

もしそうなった場合、私のこの気持ちは邪魔でしかない。



だから 冨岡さんのあの言葉に揺らいでしまう。


これは逃げになるのかな?

冨岡さんを利用してしまうかもしれない。


そんなの私の中では許せなかった。



一つ、深い呼吸を吸って吐いた。

『(よし、)』


ぐっと口に力を入れ、
私は止めていた足を再び屋敷に向かって歩き始めた。





最後に、せめて善逸に


好きだと伝えよう。



私は 逃げない。




.
目次

※会員登録するとコメントが書き込める様になります。