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原作: その他 (原作:キングオブプリズム) 作者: iou
目次

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愛しているからって、
いつまでも誠実ではいられない。

でも、それと同時に自分がそれくらい弱いって、わかってる。




ルヰは自分の秘部へアレクをあてがった。

一瞬暗闇の中、目の前がチカチカとする。
ミシミシと音が鳴りそうなくらいにソレは固く、熱を持っていた。

恐怖と好奇心と、罪悪感と。



自分と繋がってもいない人間、
自分を一番に愛しているかもわからない人間
自分と愛し合ってると契約してもいない人間に
誓いを立ててどうする?

勝手な貞操を持ってどうする?




これは禊だ。



ぬるぬると、アレクから出る先走りを自分にこすりつけ、ならしていく。



ルヰに羞恥心はなかった。
それよりも、早くこの悲しみや寂しさから逃れたかったのだ。

アレクも同じだった。
二人は自分が愛した人間へ、思いを伝えることができない恐怖に打ち勝つことができなかったのだ。
そして、この恋が実らないかもしれないという現実が受け止めきれなかった。


どう努力したって
今すぐには結果が出ることはないだろう。

結果の出ないことに対して、挑めるほど、待てるほどに
自分を過信はしていない。

僕たちは幼かったのだ。





「・・・っんゥ・・ッ!」

一気に腰を落とすと

ズプリ

とアレクが自分の中に入ってくるのがわかる。


内臓が押し上げられる感覚をルヰは感じた。

「ッ・・・ハ」

この圧迫感と挿入口のひりひりと抉るような痛みから耐えるように、
腰を思わず逃がしてしまう。



大丈夫か?

アレクの優しい声が聞こえる。


「ふふっ」


ルヰはアレクにまたがった自分の姿が鏡に映ってしまっているのを見つけると
この光景が滑稽で、思わず笑ってしまう。
でも、これは惨めなのだろうか?


同じ思いをして、同じ傷を舐めあう仲間がいる。
実にくだらない仲間なのかもしれない
でも、今は彼が必要だった。

僕には寂しさを埋める権利がある。
彼の優しさは、僕の体も心も温めるだろう。







「動いて、いいよ。」


冷や汗のにじんだルヰの青白い顔が見える。



アレクはルヰの腰を突き上げる。
ルヰは大きな衝撃に甘美な声が出る。



乱暴にしてほしい。
全部を忘れるくらいに。


解答が欲しいんだ。
的確な答えが

間違っていることをしているのはわかっている。

僕たちは自分の気持ちに誠実ではない。


「ん・・・っぁっ、ハッ」

ルヰの声は妖艶で、耳にびりびりと響いた。
太い腕できつく抱きしめると、
ガタイのいい褐色の肌がルヰの白さをますます際立たせて見せた。

女のような細い腰に手をかけ、自身を中へ押し当てるように身体を密着させる。
中の熱さに心がぐらつく。



これは過ちなのか?




ぴちゃぴちゃと水音が部屋の中で跳ねる。
同時に頭の中でガラガラと、堕ちていく音が聞こえる。


狂わせて、欲しい。




アレクのピストンが早くなる。
自分の体ごと、持っていかれそうだ。
シンだったら、どうするかな?

ルヰは必死に縋りながら、こんなことをしていても忘れられていない自分に絶望した。


アレクと目が合う。

あ、ごめん。とでも言いたげな人相だ。
いつもは怖い顔をしているのに


「やめないで、
もっと、
お願い。忘れさせて・・っ」



でも、いいんだ。
もう。




天使のような微笑みを浮かべるルヰの髪を撫でて額にキスを落とすと
そのまま抱きしめてグッと腰を奥まで打ち付けた。

ルヰの体が魚のように跳ねる。



アレクはルヰを組みしいて、我を忘れるように腰を振る。
二人の汗が交じり合って、どちらの精液かわからなくなるくらいに
体がどろどろになって溶けあっていく。


「んっぅ・・ぁあ」




窓に手形がつきそうなくらい、部屋の湿度が高まる。
互いの体をむさぼりあう。
獣のように。
二人の理性は止まらない。




「っ・・・はぁ」



そうだ、今夜は寒い。


寒いから、体を温め合わなければとてもじゃない
眠れない。

ルヰはあれくにしがみつく。
打ち付けられる腰の音がやけ生々しくて耳をふさぎたくなる。



この凍える寒さから逃がして、
心も体も冷え切って死んでしまいそうな二人をどうか神様見逃して。
ルヰはアレクの下で涙を流して願った。



「シン・・・っ」


ルヰは聞こえないよう小さく呟く。
必死にアレクから与えられる快楽から腰を逃がさぬように。





愛しい人を思って、悲しんだり苦しんだりするなんて思わなかった。
寂しいと孤独を感じるなんて、考えたことはなかった。

「・・・ぅ」

ルヰの内壁に引き込まれる自身の高鳴りをアレクはぐっとこらえる。
その歪んだ表情に思わずルヰは笑みがこぼれた。

心地がいい、この感情とぬくもりに
もう、寂しくないと思った。



「いいよ、アレク君、
僕の事を仁科カヅキって呼んでも」

僕の事を、仁科カヅキ君だと思って。

ルヰが耳元で囁く、
アレクは一瞬驚いた表情になったが、
ルヰの頬を優しく撫でると額をくっつけた。

そして、深いキスをした。

ルヰはアレクが小さく笑ったのを感じて、
この心地よい暖かさの中に身を任せた。



外には雪が降っている。
もう、夜明けだ。





あぁ、シン愛しく思うよ。
今僕は、君を思いながら愛し合ってる。
君と合わせる顔がない。

シン、嘘でもいいんだ。
僕を愛しているといって。




君が誰を好きでもかまわない。

今だけは僕に夢中になって
僕も今だけは君に夢中になる。



「愛してる」





いいよ、神様
僕たちを許さないで。

それでもこの雪たちは、
きっと僕たちの罪を隠してくれるだろう永遠に。




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