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君と僕との

原作: その他 (原作:君の膵臓をたべたい) 作者: rokomoko
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そして日はまた昇る

委員会が終わり僕は、図書委員の仕事が終わった彼女と町を歩いていた。
彼女からしてみれば誰かと一緒に歩いてどこかに行ったり、誰かと話しながら何かを食べたりするのは日常茶飯事なんだろうけれど、僕にはとても苦痛というかなんというか、誰かと一緒に歩いている自分窓ガラスに写るたび、気持ち悪くてしょうがなかった。

「どうしたの?気分でも悪い?」
「いや、別に…」
「別になによ?そこで黙っちゃったら分からないでしょ!むー!」
「今私は君と一緒にいたいの!なのに君がそんなんだったら楽しくないでしょー!」 
「あぁ、ごめん…」
「うーん、腑に落ちないけど。」
「まぁ、悩み事はカルビでも食って沈めたまえよ(笑)」
「…」
「なんで、食べ放題?」
「そっちの方がカルビいっぱい食べれるでしょ?(笑)」
「それに私が食べたいから食べてるだけ。」
「病気による食事制限とかないの?」
「特にはね」
「そうだ!そんなことより、君はさクラスに仲のいい人とかいないの?」
「クラスのみんなは多分僕を地味なクラスメイトかそれ以下としか見てないと思うよ。」
「そんなのわかんないじゃない」
「言ったろ。僕は、人間観察が趣味なんだって。それで、他人に僕がどう思われているのかが分かるって。」
「ただの、想像でしょ?間違ってることだってあるかもしれないじゃない」
「正解か間違いかなんてどっちでもいいんだ。僕は、その想像だけでこの16年間を生きてきたからね」
「じゃあ、私は君の事をどう思ってると思う?」
「同じだろ。地味なクラスメイトか秘密を知ってるクラスメイトか。」
「うーん。どうだろうね?(笑)」
「だから、正解不正解はどちらでもいいんだって。」
「足るを知る者は富む」
「なにそれ??」
「僕は、家族以外の人間関係を頭の中だけで完結してきた」
「その想像だけで僕は生きてきたから、相手に好かれるも嫌われるもどっちでもいいんだ。別に僕には関係のない話だ。危害が加われなければね。」
「だから僕は、他人に興味がなくて。他人も僕には興味がない。」
すると彼女はムッとした顔で、
「私は興味あるもん!」
「興味がない人を食事に誘ったりしない!」
「バカしないで!」
「バカかもしれないと思ったことはあるけど、バカにしたことはないよ」
「君はそのつもりはないみたいだけどね。」
「でも、私は機嫌を損ねました!」
「そんなに要らないって。」
彼女は不機嫌そうに僕の皿に大量のカルビをのせた。

「あーあ、いい天気ー。こんな日に死のうかなー。」
「まだ、ふてくされてるの。」
「ふてくされてないし!」
食べ放題の店を出てから、彼女はずっとこんな感じだ。
なんで、そんなことで怒ってるんだよ。
「あーあー。」
「美味しいパフェでもご馳走してくれたらなぁー。」
「あーあー。」
「夏休みどこかへ行きたいなぁー。」
「それはもうお願いというか、脅しだよね?」
「別に無理になんて一言もいってないでしょ!」
また、彼女の沸点が上がってきたような気がした。
「はぁ、わかったよ。パフェでもどこへでも連れていきなよ。」
「やった!こっち!こっち!」
彼女に手を掴まれ、2~3分走しるとそこにはオシャレなカフェがあった。
「ここ!ここ!前から来たかったんだよね!」
「お店の名前も可愛いし、桜ってこの季節にピタリじゃない?」
「あぁ」
「さっさっ!喉も乾いたし入ろ!」
そこのカフェの名前は「Cafe Spring」
この季節にはちょうどよく、彼女になぜかよく似合うと思った。
「うわー!いいとこ見つけちゃったなぁー!」
「外観しか見たことなかったからなぁ!内装も可愛い!」
「…」
「んー!このパフェ美味しい!」
「…」
「どうしたの?ずっと黙って?あっ、もしかしてパフェ欲しいの?」
「要らないよ。君一人で食べなよ」
「えー!そんなこと言ってー(笑)遠慮しなさんさって!はい!あ~ん!」
「いや、本当に要らないんだって。」
「むー!可愛い女の子に恥をかかせるの!?君は!」
「…」
「(ジー)」
「はぁ。わかったよ。パクっ」
「うんうん!よろしい!」
「もう僕は、要らないからいいよ。君が頼んだのだから君が食べなよ」
「私が君に食べてもらいたいからいいの!はい!」
「パクっ」
「君それを言えばなんでもしてくれると思ってるだろ」
「そんなことないよーだ!」
「そんなことより、メアド交換しようよ!」
「嫌だよ」
「いいから、死ぬまで短い付き合いなんだから!」
「…」
「連絡は密に取らないと、もったいないじゃない!」
「…」
その言葉を聞くと僕はどうすることもできずに。
「…わかったよ。」
彼女に僕の携帯のメアドを見せるしかなかった。

(ピロン)
家に帰ると早速彼女からメールが送られてきた。
「今日はありがと!凄く楽しかった!死ぬまでの短い付き合いだけど、仲良くしてね!それじゃ!」
「死ぬまでの…」
僕には何かできないのか。という戸惑いと、僕が何かをして彼女の何かを変えることはできるのか。という不甲斐なさが僕の心に残っていた。

次の日、学校では僕が予想していた通り、僕と彼女の関係についてという噂がクラスのほとんどで持ちっきりだった。

「何?何?桜が…」
「えー、もったいないよ!桜は選べるもん持ってるんだから!」
「別にそんなんじゃないよ!ただ、仲良しなだけ!」
「うーん、あっ!ほらほら、クラスの委員長の…」

僕は、また本のページを開いた。
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