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山姥切国広極めたらもう一人増えました

原作: その他 (原作:刀剣乱舞) 作者: レジス
目次

骨喰藤四郎


衝撃的な告白をされた翌朝、私は長義に話したのと同じ内容の話を祭さんに話した。
出て行こうとしていたくだりを長義に暴露されると彼と同じように私の肩を掴んで祭さんは反対した。
「国姫はもううちの子なんだからぁああああ」
だそうだ。
全てを分かったうえで受け入れてくれると言ってくれたことに感謝を伝えると泣かれてしまった。

そしてお願いをして今政府の施設に例の骨喰藤四郎に会いにきている。
「彼も国姫と同じように戦場を彷徨っている所を保護されたの。同じ境遇だから会わせてみたらどうだろうって思って……まさか同じ本丸の刀剣だったとは思ってなかったのよ」
「普通はそこに結びつかないですからね」
ある一室の前で立ち止まる。
当たり前だが私の一歩後ろをいつものように歩いていた長義も一緒に立ち止まった。
長義のあの言葉を気にしないようにしているがどうも存在が気になってしまう。
「ここに骨喰藤四郎がいるわ。保護されてからほとんど何も喋っていないそうなの」
「……わかりました」
そう言ってドアを開ける。
中は簡単に椅子、机、ベッドが設置されただけの部屋だった。
そこのベッドに骨喰藤四郎は静かに腰掛けている。
こちらをちらりとも見ようとしない。
私は意を決して話しかけることにした。
そうして骨喰藤四郎の前に跪く。
「骨喰、俺だ。わかるか?」
「……くに、ひろ?」
視線だけがこちらを向いた。
「そうだ。お前と同じ本丸にいた山姥切だ」
そう言えばそれを否定するように首が横に振られる。
「嘘だ……彼は、折られた……」
「あぁ。だがある人の協力を得てここにいる。俺を折ったのは『長義』だろう?」
「な?!」
背後で長義が驚いたのが分かった。
そう、言わなかったけれど山姥切国広を折ったのはあの本丸にいた山姥切長義なのだ。
本丸を摘発する寸前、事態に気が付いた審神者によって呪術をかけられた山姥切長義に彼は折られてしまった。
「でも、その姿は……」
「ある人の協力を得ているって言っただろう?その結果でこうなっている」
「……じゃあ、本当に?本当に国広なのか?」
「あぁ。大丈夫だ。ここに俺たちの敵はいない」
骨喰藤四郎の小さな手が頬に添えられる。
その手はわずかに震えていた。
「あぁ、良かった……俺は、貴方を探していた」
「どういうことだ?」
山姥切国広は折れたと言っていながら探していたのは山姥切国広?
意味が分からず困惑していると骨喰藤四郎は言葉を続ける。
「あの本丸には今、祟り神がいるんだ」
「なんだって?!」
「祟り神、刀剣男士が堕ちるとなることがあると言われているわね。そこまで酷い話はほとんど聞いた事無いのだけど」
祭さんが教えてくれた。
良かった。ちょっと意味がわからなかったんだ。
しかし一体何があって祟り神なんてものが本丸にいるんだろう。
まさか審神者が呪術に失敗したのか?
「山姥切を折った後、怒った長義が審神者の呪縛を解いて審神者を刺したんだ」
「長義が審神者を?」
骨喰藤四郎は頷く。
そして話を続けた。
「誰もがやっと開放されると喜んだ……だが、審神者が放った呪術によって長義が祟り神に堕ちてしまった」
「長義が……」
おのれ審神者め。どこまでも面倒なことをしてくれる。
「そこからは悪夢のようだった。祟り神になった長義は瀕死の審神者を取りこんだあと次々と刀剣を飲み込み始めたんだ……そこで俺は一兄に門から逃がされた」
その時のことを思い出したのか俯いてしまった骨喰藤四郎の手に私の手を重ねる。
「お願いだ。長義を静められるのは山姥切しかいない……一兄を、皆を助けてくれ」
「なんで俺じゃないとダメなのか分からないが……できるだけのことはしよう」
「ありがとう」
話疲れたのか緊張が解けたのか分からないが眠そうにしていたので骨喰藤四郎を寝かせることにして私たちは退室した。
「国姫、大丈夫?」
祭さんが聞いてくる。
その言葉に私は頷いた。
「私を探していたというより山姥切国広を探していたみたいですね」
「そうだな。そして折れたはずの山姥切が会いに来た。喜ばないはずがない」
まさか審神者が刺されていて、長義が祟り神に堕ちていたなんて驚きだったけど仲間を救うという山姥切国広の願いは変わらない。
「主、該当本丸に私を送ることは可能ですか?」
正直言って祟り神相手に何ができるかわからないけれど、何をすればいいのかわからないけれど行かないといけない。
「国姫、一人はダメだ」
「そうだよ。一人でなんて行かせないから!ちゃんと部隊を編成して他の審神者にも協力を頼みましょう?」
「え、でも……」
「でもは無し。貴女はもう1人じゃないの。私たちを頼ってくれていいのよ」
「そうだぞ。もっと俺を頼れ」
そう言って長義が後ろから抱き付いてくる。
その様子に一緒にいた祭さんと山姥切が「ひゅ~」と囃し立てた。
「ちょちょちょちょっと?!長義離れて!」
慌てながらも言うと渋々といった感じで離れてくれる。
突発的な事はしてくるけど嫌がればやめてくれるんだから……
「じゃあ私と山姥切は関係各所に連絡しに行ってくるから長義と国姫は一度本丸に戻って第一部隊に声を掛けておいて」
「わ、わかりました」
「了解だよ」
じゃ、と手を上げて祭さんは駆けだしていく。
職員の人に走らないでと注意されているがお構いなしだ。
「じゃあ俺たちも行こうか」
「う、うん……さっきみたいに急に抱き付いてくるとか無しで」
「……仕方ないな」
なんでそんな残念そうなんですかね?
長義はそれじゃあと言った感じで私の手を引いて歩き出す。

手を繋ぐくらいなら、多めに見てあげてもいいかもしれない。
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