第4話
「うむ。せいかくには、すこしちがうのじゃが……」
そう言って悩む眼の前の幼女。
しかし、しばらくして「まあいいか」とつぶやき、会話を続けた。
「まあ、だいたいそんなかんじじゃな」
「だいたいて」
そんな適当なことがあっていいのだろうか?
創造主とやらは、理由を創造することすらできないのだろうか。とんだ創造主もいたものだ。
「とにかく、じゃ! その『絶対神』に、われらかみさまのうちのなんにんか、というより、ななじゅっぱーせんとほどが、はんらんをおこしたのじゃよ」
「70パーセントって……」
3分の2以上じゃないか。よほどその絶対神とやらは人望がないのか?
「しゃるは、はんらんをおこしたかみさまのなんにんかが、この『エロマンガ島』をねらっておるというじょーほーをえての、こうしてあらわれたというわけじゃ」
えっへんとまな板を張る幼女。
どうでもいいが舌っ足らずのせいか少し聞きづらい。なんとかならないかな。神様よ……。
「なんでその反乱を起こした神様たちは、このエロマンガ島を狙ってるんだよ?」
「さっき少し言うたがの、しゃるたちかみさまは、このせかいのにんげんとがったいすることで、そのにんげんに『能力』をあたえられるのじゃ」
「能力……? なんだそれ……?」
「まあ聞くのじゃ。とにかく、かみさまたちはそれをりようして、にんげんにとりひきをもちかけるのじゃよ」
「取引? 神様ってのもえらい姑息な手をつかうんだな。もっとこう、洗脳とか、神の威光で従わせるとかしないのか?」
「お主はかみさまにたいして、どういうイメージをもっておるのじゃ……」
まったく、とため息の幼女。
割と普通なイメージを持っていると思っていたんだけど、もしかして普通じゃないのか? なにそれこわい。
「『力を与える代わりに、我らの願い、神への反乱を手伝え』とな。このしまのにんげんは、『妄想力』という、ふしぎなちからをもっておるのじゃろ? ふつうのにんげんとくむより、ここのにんげんのほうがいいとかんがえておるんじゃろうな」
「…………ふむ」
仮に、だ。
その与えられる能力とやらが、漫画やアニメみたいに、世界を崩壊させるほどのものだとしたら?
この島は、この国は、この世界は、終わってしまうんじゃないか?
……それって、ヤバいんじゃないのか?
「これでせつめいはおわりじゃ。ではあすか。きょうりょくしてくれるかの?」
「……だが断る!」
「そうじゃろうそうじゃろう。それでこそしゃるがえらんだ――なっ!? なぜじゃっ!?」
驚愕するシャルロット。
ちょっと唾が飛んできた。汚い。
「とりあえず、あたしを下ろせ。この体勢はけっこうキツイ」
唾液を服の端で吹きながらそう頼む。
「う……う、うむ」
あたしを宙に浮かべたときと同じように、怪しげな呪文を唱えだすシャルロット。
すると、あたしの身体は支えを失い、勢いよくベッドの上に落ちた。痛い。
「そ、それでじゃ! きょうりょくしてくれるな?」
「…………」
あたしは、シャルロットの問いかけに答えず、布団をかぶる。
「ど、どうしてふとんをかぶるのじゃっ!?」
あたしは、妄想力もろくに使えない、一般人なんだ。
世界を救うだの、神様の反乱だの、急に言われても困る。
結局、今のあたしにできる最善のことは、『これは夢だ』と思い込み寝ること。
いわゆる現実逃避だ。
そうすれば、ここにいるシャルロットも、あたしに協力を求めるのを諦めて、他の人間のところに行くだろうから。
そっちの方がいい。あたしのためにも、世界のためにも。
「じゃあね、シャルロット。いままでありがとう。短い間だったけど、きみのことは忘れないよ。さよなら」
「えっ!? ちょ、ちょっとまってほしいのじゃ! あすかにねられると、しゃるがこまるのじゃ!」
泣き叫ぶシャルロット。
当然無視。
だって、これは夢なのだから。
明日になれば、全てなくなっていることなのだから。
「うーん……」
翌日。
あたしは、セットしていた目覚ましで目を覚ました。
「……あ」
でも、今日は土曜日だけど学校が休みの日だということを思い出し、二度寝しようと目を瞑る。
いつも通りの土曜日の朝。
そう、いつも通りだ。
「…………」
あたしは、ゆっくりと目を開け、おそるおそる部屋の中を見回す。
部屋の中には、昨日の幼女、シャルロットの姿はなかった。
「……よかったぁ~。やっぱり夢だったんだ」
あたしは安堵のため息をもらす。
だけど、
『うむ! 起きたか、飛鳥。おはようだ』
夢じゃない、とでも言うように、あたしのおっぱいが喋り出した。
この声は、昨日聞いたシャルロットのものと同じ。
ああ、やっぱり夢じゃなかったんだなと、今度は諦めのため息をついた。
そう言って悩む眼の前の幼女。
しかし、しばらくして「まあいいか」とつぶやき、会話を続けた。
「まあ、だいたいそんなかんじじゃな」
「だいたいて」
そんな適当なことがあっていいのだろうか?
創造主とやらは、理由を創造することすらできないのだろうか。とんだ創造主もいたものだ。
「とにかく、じゃ! その『絶対神』に、われらかみさまのうちのなんにんか、というより、ななじゅっぱーせんとほどが、はんらんをおこしたのじゃよ」
「70パーセントって……」
3分の2以上じゃないか。よほどその絶対神とやらは人望がないのか?
「しゃるは、はんらんをおこしたかみさまのなんにんかが、この『エロマンガ島』をねらっておるというじょーほーをえての、こうしてあらわれたというわけじゃ」
えっへんとまな板を張る幼女。
どうでもいいが舌っ足らずのせいか少し聞きづらい。なんとかならないかな。神様よ……。
「なんでその反乱を起こした神様たちは、このエロマンガ島を狙ってるんだよ?」
「さっき少し言うたがの、しゃるたちかみさまは、このせかいのにんげんとがったいすることで、そのにんげんに『能力』をあたえられるのじゃ」
「能力……? なんだそれ……?」
「まあ聞くのじゃ。とにかく、かみさまたちはそれをりようして、にんげんにとりひきをもちかけるのじゃよ」
「取引? 神様ってのもえらい姑息な手をつかうんだな。もっとこう、洗脳とか、神の威光で従わせるとかしないのか?」
「お主はかみさまにたいして、どういうイメージをもっておるのじゃ……」
まったく、とため息の幼女。
割と普通なイメージを持っていると思っていたんだけど、もしかして普通じゃないのか? なにそれこわい。
「『力を与える代わりに、我らの願い、神への反乱を手伝え』とな。このしまのにんげんは、『妄想力』という、ふしぎなちからをもっておるのじゃろ? ふつうのにんげんとくむより、ここのにんげんのほうがいいとかんがえておるんじゃろうな」
「…………ふむ」
仮に、だ。
その与えられる能力とやらが、漫画やアニメみたいに、世界を崩壊させるほどのものだとしたら?
この島は、この国は、この世界は、終わってしまうんじゃないか?
……それって、ヤバいんじゃないのか?
「これでせつめいはおわりじゃ。ではあすか。きょうりょくしてくれるかの?」
「……だが断る!」
「そうじゃろうそうじゃろう。それでこそしゃるがえらんだ――なっ!? なぜじゃっ!?」
驚愕するシャルロット。
ちょっと唾が飛んできた。汚い。
「とりあえず、あたしを下ろせ。この体勢はけっこうキツイ」
唾液を服の端で吹きながらそう頼む。
「う……う、うむ」
あたしを宙に浮かべたときと同じように、怪しげな呪文を唱えだすシャルロット。
すると、あたしの身体は支えを失い、勢いよくベッドの上に落ちた。痛い。
「そ、それでじゃ! きょうりょくしてくれるな?」
「…………」
あたしは、シャルロットの問いかけに答えず、布団をかぶる。
「ど、どうしてふとんをかぶるのじゃっ!?」
あたしは、妄想力もろくに使えない、一般人なんだ。
世界を救うだの、神様の反乱だの、急に言われても困る。
結局、今のあたしにできる最善のことは、『これは夢だ』と思い込み寝ること。
いわゆる現実逃避だ。
そうすれば、ここにいるシャルロットも、あたしに協力を求めるのを諦めて、他の人間のところに行くだろうから。
そっちの方がいい。あたしのためにも、世界のためにも。
「じゃあね、シャルロット。いままでありがとう。短い間だったけど、きみのことは忘れないよ。さよなら」
「えっ!? ちょ、ちょっとまってほしいのじゃ! あすかにねられると、しゃるがこまるのじゃ!」
泣き叫ぶシャルロット。
当然無視。
だって、これは夢なのだから。
明日になれば、全てなくなっていることなのだから。
「うーん……」
翌日。
あたしは、セットしていた目覚ましで目を覚ました。
「……あ」
でも、今日は土曜日だけど学校が休みの日だということを思い出し、二度寝しようと目を瞑る。
いつも通りの土曜日の朝。
そう、いつも通りだ。
「…………」
あたしは、ゆっくりと目を開け、おそるおそる部屋の中を見回す。
部屋の中には、昨日の幼女、シャルロットの姿はなかった。
「……よかったぁ~。やっぱり夢だったんだ」
あたしは安堵のため息をもらす。
だけど、
『うむ! 起きたか、飛鳥。おはようだ』
夢じゃない、とでも言うように、あたしのおっぱいが喋り出した。
この声は、昨日聞いたシャルロットのものと同じ。
ああ、やっぱり夢じゃなかったんだなと、今度は諦めのため息をついた。
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