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真選組の女の子

原作: 銀魂 作者: 神崎しおり
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山崎のコーラ

そう言ってあっという間に3人分のクッキーを食べてしまった。

「なんで全部食べちゃうのー……」

「どうせ土方なんかにあげたところで、犬の餌にされるのがオチでさァ。それじゃあまりにも可哀相だと思いやして」

クッキーが。


犬の餌って、マヨネーズかけられて食べられるってこと?確かに、あの人ならしそうだけど。クッキーの味なんてわからなくなるほどマヨネーズかけて食べそうだけど。

そう考えると、土方さんにはあげなくてもよかったのかな?なんて思えてきてしまう。

「だから感謝しなせェ」

でもこう呟く総悟に、いまいち納得もできなくて私は頭にクェスチョンマークを浮かべる。


なんかよくわからなくなってきたなー、あ、ていうか、人の手作りクッキー食べておいてお礼の言葉も無いのかしらこの人は。と思ったので、図々しいかもだけど聞いてみる。

「ねぇ、ありがとうとかないわけ?」

「なんで俺がお礼なんて言わなきゃいけないんでさァ、俺が言われたいぐらいですぜ」

私はこの言葉にむっとする。

「でも、ザキは笑顔でありがとうって言ってくれたもん。喜んでくれたもん」

すると今度は総悟の目が一瞬丸くなる。

「山崎にあげたんですかィ!?」

「あげたけど、それが何か?」

そう言うと、総悟は立ち上がり、部屋から出ていった。

なんなのよ、もう。

とりあえず、出てってくれたから着替えをすますことにしよう。

身支度を整え終わり、部屋を出て会議が行われる広間へと向かう。でも、久しぶりの隊服でスカーフがうまくできなかったので歩きながら仕度をすることにした。何これ、見た目以上に複雑じゃない?

途中、バズーカの音とザキの悲鳴が聞こえてきたのは気のせいだと思いたい。

スカーフって、意外と難しいな。首元だから見えないし。前はうまくできたのに!

なかなかうまくできないスカーフに焦っていると、前から土方さんがやってきた。

「何やってんだ、お前は。ほら、やってやるよ」

そう言ってスカーフに手を伸ばしてくる土方さん。

「え、あ、」

ほら、終わり。なんて言ってあっという間にできあがったけど、顔が近くてなんだか恥ずかしかった。

「だいたい何でお前が隊長服着てんだか。広間行くんだろ?一緒に行くぞ」

「え、あ、はい」

私は自分でもわかるぐらいに赤くなった頬を、両手でぺちぺちと叩いた後、土方さんの後を追うようについていった。

屯所内大広間。

会議の内容は、山崎の張っていた攘夷浪士が動き出しただの、最近隊の乱れが目立つなど、そのような話しだった。

会議はすぐに終わり、今日の私は仕事は割り当てられていないので、再び部屋へと戻ろうとした。

が、土方さんに呼び止められた。

「おい北条、書類整理頼むな」

「え、はい」

そういえば、私が万事屋にお世話になる前に、そんなことを頼まれ作業していたのを思い出す。

あの量なら、すぐに終わるだろう。中途半端なままだったんだよね、確か。

そう考えていた私に、土方さんは驚きの一言を投げかけてきた。

「お前がここにいなかった時に溜まった分も、もちろんやるんだぞ」

……はい?

ほれ、これだ。と、どこから出したのか膨大な量の書類を私に手渡す。

せいぜい頑張るんだな、と言う土方さんだが私は状況がうまく飲み込めずにいる。

「え?あれ?私、休みじゃなかったの?」

「誰が休みをとらせるなんて言ったよ」

「じゃあ、有給休暇!有給休暇じゃなかったの!?」

「有給休暇も糞もあるか!」

いだっ

なぜか殴られた。理不尽だ。

流石鬼の副長……この量、いつ終わると思ってるのよ。

あーあ、ザキにでも手伝わせようかしら。

とか思っても、今日は彼は仕事らしい。

むー、思い通りにいかないもんだ。

特段今日の私はやることがなかったので、その書類を部屋に持ち帰り渋々作業に取り掛かることにした。


「はぁー……やっと終わった!」

どうしても今日中に終わらせたかった私は夜ご飯を食べる時間も惜しんで書類整理を終わらせた。

書類整理が終わったと同時にどっと疲れがきて、私はいつの間にか眠りについていた。


――次に目が覚めた時には、深夜1時だった。

布団に潜りもう1度寝ようと試みるが、なかなか眠れない。

今日は昼頃まで寝てた&変な時間に睡眠したからなぁ……

これ、朝まで寝れないパターンかな?

どうせ眠れないなら、とりあえずお風呂にでも入ってこよう。

そう思い私は立ち上がった。


お風呂でさっぱりし、余計に眠気がふっとんでしまった。

喉が渇いたから、何か飲もう。

そうして私は共同で使っている冷蔵庫を開ける。

「土方用……」

冷蔵庫の中にはたくさんのマヨネーズ。ここ、あなただけの冷蔵庫じゃないんですけどね。


名前なんか書かなくても、マヨネーズをそんなに使う方は土方さんぐらいしかいませんよー

そんな独り言を呟いていると、缶コーラを発見する。

「よーし、君に決めた!」

そして私は缶コーラを取り出し、冷蔵庫を閉め、飲んだ。

誰のかわからないけど、山崎って書いてあったから飲んでも大丈夫だよね。うんうん、きっと大丈夫に違いない。
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